【 ガラスが割れるその時まで 】 初出-2010.02.13
蛇に会いたかった少年が、薬漬けにされて壊れていく話。
高校二年生になった今でも僕はあの白い蛇が忘れられずにいた。
だからこそ、こうして動植物園へと足を運ぶ日々がずっと続いているのだ。
さすがに掴まえようとか、写真を撮って投稿しようって訳じゃない。
ただ会いたいのだ。あの蛇に。幻じゃなかった、そう思いたい。それだけ。
明後日には、僕は父親の転勤でこの街から離れることになっていた。
だから、今日が最後。そのつもりでやって来たのだけれど。
気配すら掴むことは出来ず、いつものように別の池も確認してから帰ることにした。
そんな訳で立ち寄った池の亀たちを見ていたのだが、もう閉園時間ギリギリのようだった。
見渡しても僕と一組の親子しか人が居ない。
急ぎ足で歩いて行く親子の背を見ながら、僕は溜息を吐いて椅子から立ち上がった。
(帰ろう。これで諦めなきゃ。明日は忙しいし、明後日からは新天地なんだ)
気が付くと、今にも雨が降りそうな天気に変わっており、自然と歩くスピードが速くなっていく。
門を抜け、家への道を歩き出してすぐに黒い雲が空全面を埋め尽くして大きな雷が鳴った。
大きな音と濡れるのが苦手な僕は、右手にある喫茶店に入ろうと方向を変えた。
それがいけなかったのだ。そのまま家に帰れば良かったのに。
見ることはあっても入ったことのなかった喫茶店は閉まっていた。
本日閉店の札が掛かっている。
「うわ~。最悪。仕方ないか。ここで少し雨宿りさせてもらおう」
20分近く、そうして軒先に立っていただろうか。
一向に止まない雨に諦めを感じて濡れて家に帰ろうとしたその時、僕の身体が後ろへと倒れ込んだ。
「えっ。えっ、えっ」
何がどうなったのか考える間もない内に誰かに身体が受け止められていた。
そうなって初めて誰かが床に倒れ込む僕をギリギリで助けてくれたことに気付く。
お礼を言おうと、僕は変な格好で恐々と背後を振り返った。
陽に焼けた大きなガタイの男が無表情で僕を見下ろしていた。
男は驚いたままの僕を、店の奥にあるソファへと引き摺るようにして座らせると、カウンターの上に乗っていたタオルの山から一枚、白いタオルを掴んで僕へと放り投げた。
「あ、ありがとうございます」
何も言わない男は恐ろしかったけれど、こうして拭くものを渡してくれたのだから優しい人なのだろう。そう、思った。何の疑いもなく。
だから、注いでくれたコーヒーも有り難く頂いたのだ。立ち上る湯気に誘われるようにして。
美味しかった。暖かくて、少しだけほろ苦くて。
飲み終わっても漂う良い匂いに目を閉じ、ほっと身体の力を抜いていた。
この店の留守番だという男は、店の奥に引っ込んで姿を見せない。
ほんわかと熱くなった身体と柔らかいソファの感触が僕を眠気へと誘っていく。
気付かないうちに僕は身体を横たえて目を瞑ってしまった。
留守番の男の存在も忘れて。
何が周囲で起こっているのか、何も分からないままに僕は穏やかな気持ちで眠り続けていた。
▲
真上で動く男の汗が滴り、僕の身体にポタポタと零れては皮膚を滑り落ちていく。
ぬめっとした舌が僕の乳首の天辺をかすめた後、ぬちゅぬちゅと何度も何度もそこを集中して舐め続けた。
イヤで堪らないのに快感に正直な身体がクネクネと動いてしまう。
男の手は、勃起した僕のペニスの根元を握り締め、もう片方の無骨な指で先端の穴を塞いでいた。
ぬちっ、ぬちゅっ。ぬちっ、ぴちゅっ。
ぐちゅ、ぬちゃ、ぬちゃぁ。ぐちっ、ぴちゃっ。
卑猥な音が耳に届くたび興奮した僕のペニスは射精を望み、男の指を外そうと腰を振り続ける。
それを楽しそうに見続ける男と僕の目が合い、自分の頬が熱をもったことで真っ赤になっているのを知った。
「あ、つい、よ~~。た、すけてっ。おねっ、が、いぃいい~~。ねぇ、ねぇっ!」
ペニスから指をどけて欲しくて媚びるように男へと唇を寄せていた。
相手が興奮しているのが分かって気持ちがイイ。
普段は無口で、ほとんど話すこともない僕たち。
男は僕の両親の知り合いで、両親が迎えに来るまでの間、この自宅で預かってくれているのだ。
どうして僕と男がこういう行為をしているのか。
何故か、その最初のキッカケを思い出すことが出来なかった。
いつの間にか、こうなっていたのだ。
ぐりぐりっ、と乳首を舌で舐められ、気持ちがよくて喘いだ僕の声は男の口の中へと消えていった。
ぬちゃぁ~、んちゅっ。ぴちゃっ、ぬちっ、ぬちっ。
男の片方の手が僕のペニスから外され、腰の下に入り込んで僕のお尻の穴を目指して進んで行く。
手伝うように僕は自身の腰を浮き上がらせると、男の指をそこへと導いた。
いい子だ、と褒めるように男が僕の尿道に埋めた指をぐりっと動かしてくる。
「ふぎゅ~~~~~~~! はぐぅっ、はっ、あぐっ」
長く節くれだった指が何度も回されて僕は籠った喘ぎを男の口内で発した。
互いの唾と涎を飲み合うと、真っ赤になった頬を男が嬉しそうに見つめていた。
ついに男の指がお尻の穴に入り、揺れる腰のリズムに合わせて弄り始める。
ぐちゅぐちゅ、ぴちゃ。ぬちゅ、ぬちゃぁ~。
ぐっ、ぐぷっ。ぬぽっ、ずっ、ずぼっ、ぬぷりっ。
お尻の中を出入りする指の動きが気持ちイイ。けれど、もっと大きなモノで塞いで欲しかった。
そう、もっと大きなモノで。
縋るように見上げた僕の目で分かったのだろう、男が薄く嗤った。
「自分で拡げるんだな」
その一言に小さく頷いて、僕は男の指がお尻の中から抜けないよう注意しながら両脚をゆっくりと上げていった。
赤ちゃんがおしめを替えてもらうような格好を自ら取り、男の動きを待つ。
「見えねぇな」
冷たい一言を発した後、もう一度、男は僕の唇を奪うと尿道の指を回し始めた。勿論、お尻の穴の指も一緒にだ。
いつまで経っても動いてくれない男に焦れ、僕は更に大きく足を開いていく。
大胆な格好を取っていることにさえ気付かなかった。そんな余裕などあるはずもない。
ようやく満足したのか、お尻の穴から男が指を引き出してくれた。
期待に震える僕を焦らすように片方の足首を掴むと、勢いよく引っ張ってその足を僕の顔の横に持っていく。
そうして男はまた僕のお尻の穴に指を戻してしまった。
口腔を舌で嬲りながら男が僕の目を見つめてくる。
その視線で男の命令を読み取った僕は熱い身体を更に火照らせた。
(許してっ、あれは恥ずかしいから、やだよぉ~~っ)
けれど、僕が男の好む格好を取らない限り、欲しくて堪らないモノは与えてもらえないのだ。
躊躇は一瞬だけ。僕は、男が、男のモノが欲しかった。どうしても。
だから、もう片方の足を自分の意思で顔の横へと持ち上げて行く。
両方の足で僕の顔を挟むようにして揃えて爪先を床に置いた瞬間、男が動いた。
お尻から指を抜き出すと大きく勃起している男のモノを数回しごいて、開いたままの穴に突き入れたのだ。
「ふぎゃぁあああぁぁああああああ~~っ。あがぁああ~~、あがっ、ぐぅっ。あっ、あぎぃいいっ、ふっ、ふぎぃっ」
痛くて、でも気持ちが良くて。
大きな声を出して叫びたかった。気持ちがいい。もっと、もっとして、と。
同時に、今のように男の口に塞がれたまま叫ぶのも好きだった。男の全てに包まれたようで。
ガンガンと突き込んでは、ぬぽぬぽっ、と淫らな音が響き渡る。もっとその音が聞きたかった。
男が僕を、僕の身体を欲しがっている、その証である音を。
抱かれて嬉しいはずなのに、いつしかこの胸に広がる漠然とした不安。
それを消したかった。だから。
僕は男を誘うように両手を広げて男の背中へと回していった。
▲
極秘処理される筈だった白い蛇。
それが逃げ出したのが、全ての始まりだった。
馬鹿な男が都会のど真ん中で輸入禁止の蛇を飼育し、飼いきれなくなったのだ。
さすがに街中に捨てるのは気が咎めたのか、俺の勤めていた動植物園にやって来ると言った。
「頼むよ。なあ、金なら払えるだけ払うからさ。引き取ってくれよぉ」
地面に座り込んで土下座する男は、俺にとって恩人と言ってもよい存在だ。
以前、厄介事に巻き込まれ、その際に彼の知人を紹介されて揉め事が解決したことがあるのだ。
恩人のような男が土下座までしているのだ、さすがに見捨てる訳にもいかなかった。
結局、俺は男から蛇と金を受け取った。それしかないじゃないか。
もしも断ったら、この男は街のどこかで蛇を放してしまうだろう。
そしてその蛇が問題を起こし、男が警察に捕まって、腹いせに俺の名前を出したら。
もう一度、面倒な事に巻き込まれるなんて御免だった俺は、早く帰ってくれと男を追い出した。
昼食がまだだった俺は、急いで弁当の中を空にしていった。
仕事は分刻みで決まっており、やることなら幾らでもあるのだ。蛇の処分をしている暇などなかった。
男が持ってきたケージに布を掛けて、とりあえず部屋の床に置いておくことにした
見えないように、誰も触らないようにガラクタの中に紛れ込ませておく。
「ちょっと手を貸してくれ」
食べ終わる前に同僚に呼ばれ、仕事を一つ片付けて部屋へ戻って来たのだが何やら嫌な予感がした。
ケージを持ち上げて手前に引っ張り出し、ゆっくり布を取ると、思った通りケージが空になっている。
そう、蛇が逃げ出してしまったのだ。
俺は焦った。今日は、近所の小学生、それも低学年の子たちが来園しているのだ。
必死に探し回り、ようやく蛇を見つけた時、その蛇の傍には一人の男の子が居た。
蛇は池の中へと入り込み、その小学生もその場を離れて行く。
その後姿を睨みながら俺は舌打ちした。あの子は誰かに言うだろうか、と。
数日を掛けて蛇を捕らえた時は、心底ホっとした。
誰にもバレないように処分を終えると、やれやれと大きく息を吐く。
男の子は、あれから毎日、あの池を見る為に来園していた。
口止めした方がイイか、と考えているうちに、その子が訪れる間隔が徐々に長くなっていった。
3日に一度から7日に一度に。そして二週間に一度。
今では、2ヶ月に3回程度だろうか。
それにしても気の長い、いや執着心の強い子だった。
10年以上も蛇会いたさに訪れるとは。
ひ弱な体型の男の子は大きくなっても貧弱な体型のままで、その成長を間近で見てきた俺は時々苛々していた。
「もっとたくさん肉を食え」
面と向かってそう言いそうになるたびに、必死に自分の足を引き止めたものだ。
その少年が、今、引っ切り無しに喘いでいた。
俺の身体の下で。淫らに。
もう、何回目、いや何十回目だろうか。
あの日、喫茶店の軒先で雨宿りしていた少年を俺は薬で眠らせて陵辱したのだ。
知り合いに頼まれて、休日だというのに店の留守番を引き受けざるを得なかった、その苛立ちのままに。
長年、動向を見つめてきた少年だったから、というのも少しはあるかも知れない。
今は黙っているが、いつか誰かにあの蛇のことを言う可能性も残っているからだ。
俺が秘密裏に蛇を処分し、金を受け取ったことがバレるのは御免だった。
だから、俺はこの少年を縛りつける。誰にも会わせないように監禁して。
強姦のショックで呆然となった少年を、一人暮らしの俺の家で飼育することに決めた。
少年の家族は引越しを終えており、すでに余所の街へと移動していた。
警察は未だに少年を捜しているが、一歩も家から出さなければ大丈夫だろう。
そう、それに
淫らに喘ぐ少年は、精神が少しオカシクなっていた。
この俺のことを親切な人だと思い込み、普通に話し掛けて来るのだ。
大量に与えている薬の副作用かも知れなかった。
俺は少年の両親の知人であり、急な用で何日か留守にする間だけ預かっている、という設定のようだ。
多分、男に監禁、陵辱されている現実を受け止めることが出来なかったのだろう。
両親が迎えに来るのを待っているだけなのだと、自身に言い聞かせているのだ。
そんないつ壊れてもおかしくない少年を、俺は気に入っていた。
淫乱になった身体も、ガラスのように繊細な心の在りようも。
だからこそ。俺は、今日も少年を陵辱し続ける。何度も何度も。
いつの日か、ガラスにヒビが入り、粉々に壊れる瞬間を見てみたい。
屑折れる時、その時こそ、少年は本物の動物になるのだから。
何も考えることのない、俺の与える餌だけを頼りにする飼育物に生まれ変わるのだ。
遠くない未来を思って、俺は笑った。
痛みに悲鳴を上げ、快感に泣く少年の頬を撫でながら。
蛇に会いたかった少年が、薬漬けにされて壊れていく話。
高校二年生になった今でも僕はあの白い蛇が忘れられずにいた。
だからこそ、こうして動植物園へと足を運ぶ日々がずっと続いているのだ。
さすがに掴まえようとか、写真を撮って投稿しようって訳じゃない。
ただ会いたいのだ。あの蛇に。幻じゃなかった、そう思いたい。それだけ。
明後日には、僕は父親の転勤でこの街から離れることになっていた。
だから、今日が最後。そのつもりでやって来たのだけれど。
気配すら掴むことは出来ず、いつものように別の池も確認してから帰ることにした。
そんな訳で立ち寄った池の亀たちを見ていたのだが、もう閉園時間ギリギリのようだった。
見渡しても僕と一組の親子しか人が居ない。
急ぎ足で歩いて行く親子の背を見ながら、僕は溜息を吐いて椅子から立ち上がった。
(帰ろう。これで諦めなきゃ。明日は忙しいし、明後日からは新天地なんだ)
気が付くと、今にも雨が降りそうな天気に変わっており、自然と歩くスピードが速くなっていく。
門を抜け、家への道を歩き出してすぐに黒い雲が空全面を埋め尽くして大きな雷が鳴った。
大きな音と濡れるのが苦手な僕は、右手にある喫茶店に入ろうと方向を変えた。
それがいけなかったのだ。そのまま家に帰れば良かったのに。
見ることはあっても入ったことのなかった喫茶店は閉まっていた。
本日閉店の札が掛かっている。
「うわ~。最悪。仕方ないか。ここで少し雨宿りさせてもらおう」
20分近く、そうして軒先に立っていただろうか。
一向に止まない雨に諦めを感じて濡れて家に帰ろうとしたその時、僕の身体が後ろへと倒れ込んだ。
「えっ。えっ、えっ」
何がどうなったのか考える間もない内に誰かに身体が受け止められていた。
そうなって初めて誰かが床に倒れ込む僕をギリギリで助けてくれたことに気付く。
お礼を言おうと、僕は変な格好で恐々と背後を振り返った。
陽に焼けた大きなガタイの男が無表情で僕を見下ろしていた。
男は驚いたままの僕を、店の奥にあるソファへと引き摺るようにして座らせると、カウンターの上に乗っていたタオルの山から一枚、白いタオルを掴んで僕へと放り投げた。
「あ、ありがとうございます」
何も言わない男は恐ろしかったけれど、こうして拭くものを渡してくれたのだから優しい人なのだろう。そう、思った。何の疑いもなく。
だから、注いでくれたコーヒーも有り難く頂いたのだ。立ち上る湯気に誘われるようにして。
美味しかった。暖かくて、少しだけほろ苦くて。
飲み終わっても漂う良い匂いに目を閉じ、ほっと身体の力を抜いていた。
この店の留守番だという男は、店の奥に引っ込んで姿を見せない。
ほんわかと熱くなった身体と柔らかいソファの感触が僕を眠気へと誘っていく。
気付かないうちに僕は身体を横たえて目を瞑ってしまった。
留守番の男の存在も忘れて。
何が周囲で起こっているのか、何も分からないままに僕は穏やかな気持ちで眠り続けていた。
▲
真上で動く男の汗が滴り、僕の身体にポタポタと零れては皮膚を滑り落ちていく。
ぬめっとした舌が僕の乳首の天辺をかすめた後、ぬちゅぬちゅと何度も何度もそこを集中して舐め続けた。
イヤで堪らないのに快感に正直な身体がクネクネと動いてしまう。
男の手は、勃起した僕のペニスの根元を握り締め、もう片方の無骨な指で先端の穴を塞いでいた。
ぬちっ、ぬちゅっ。ぬちっ、ぴちゅっ。
ぐちゅ、ぬちゃ、ぬちゃぁ。ぐちっ、ぴちゃっ。
卑猥な音が耳に届くたび興奮した僕のペニスは射精を望み、男の指を外そうと腰を振り続ける。
それを楽しそうに見続ける男と僕の目が合い、自分の頬が熱をもったことで真っ赤になっているのを知った。
「あ、つい、よ~~。た、すけてっ。おねっ、が、いぃいい~~。ねぇ、ねぇっ!」
ペニスから指をどけて欲しくて媚びるように男へと唇を寄せていた。
相手が興奮しているのが分かって気持ちがイイ。
普段は無口で、ほとんど話すこともない僕たち。
男は僕の両親の知り合いで、両親が迎えに来るまでの間、この自宅で預かってくれているのだ。
どうして僕と男がこういう行為をしているのか。
何故か、その最初のキッカケを思い出すことが出来なかった。
いつの間にか、こうなっていたのだ。
ぐりぐりっ、と乳首を舌で舐められ、気持ちがよくて喘いだ僕の声は男の口の中へと消えていった。
ぬちゃぁ~、んちゅっ。ぴちゃっ、ぬちっ、ぬちっ。
男の片方の手が僕のペニスから外され、腰の下に入り込んで僕のお尻の穴を目指して進んで行く。
手伝うように僕は自身の腰を浮き上がらせると、男の指をそこへと導いた。
いい子だ、と褒めるように男が僕の尿道に埋めた指をぐりっと動かしてくる。
「ふぎゅ~~~~~~~! はぐぅっ、はっ、あぐっ」
長く節くれだった指が何度も回されて僕は籠った喘ぎを男の口内で発した。
互いの唾と涎を飲み合うと、真っ赤になった頬を男が嬉しそうに見つめていた。
ついに男の指がお尻の穴に入り、揺れる腰のリズムに合わせて弄り始める。
ぐちゅぐちゅ、ぴちゃ。ぬちゅ、ぬちゃぁ~。
ぐっ、ぐぷっ。ぬぽっ、ずっ、ずぼっ、ぬぷりっ。
お尻の中を出入りする指の動きが気持ちイイ。けれど、もっと大きなモノで塞いで欲しかった。
そう、もっと大きなモノで。
縋るように見上げた僕の目で分かったのだろう、男が薄く嗤った。
「自分で拡げるんだな」
その一言に小さく頷いて、僕は男の指がお尻の中から抜けないよう注意しながら両脚をゆっくりと上げていった。
赤ちゃんがおしめを替えてもらうような格好を自ら取り、男の動きを待つ。
「見えねぇな」
冷たい一言を発した後、もう一度、男は僕の唇を奪うと尿道の指を回し始めた。勿論、お尻の穴の指も一緒にだ。
いつまで経っても動いてくれない男に焦れ、僕は更に大きく足を開いていく。
大胆な格好を取っていることにさえ気付かなかった。そんな余裕などあるはずもない。
ようやく満足したのか、お尻の穴から男が指を引き出してくれた。
期待に震える僕を焦らすように片方の足首を掴むと、勢いよく引っ張ってその足を僕の顔の横に持っていく。
そうして男はまた僕のお尻の穴に指を戻してしまった。
口腔を舌で嬲りながら男が僕の目を見つめてくる。
その視線で男の命令を読み取った僕は熱い身体を更に火照らせた。
(許してっ、あれは恥ずかしいから、やだよぉ~~っ)
けれど、僕が男の好む格好を取らない限り、欲しくて堪らないモノは与えてもらえないのだ。
躊躇は一瞬だけ。僕は、男が、男のモノが欲しかった。どうしても。
だから、もう片方の足を自分の意思で顔の横へと持ち上げて行く。
両方の足で僕の顔を挟むようにして揃えて爪先を床に置いた瞬間、男が動いた。
お尻から指を抜き出すと大きく勃起している男のモノを数回しごいて、開いたままの穴に突き入れたのだ。
「ふぎゃぁあああぁぁああああああ~~っ。あがぁああ~~、あがっ、ぐぅっ。あっ、あぎぃいいっ、ふっ、ふぎぃっ」
痛くて、でも気持ちが良くて。
大きな声を出して叫びたかった。気持ちがいい。もっと、もっとして、と。
同時に、今のように男の口に塞がれたまま叫ぶのも好きだった。男の全てに包まれたようで。
ガンガンと突き込んでは、ぬぽぬぽっ、と淫らな音が響き渡る。もっとその音が聞きたかった。
男が僕を、僕の身体を欲しがっている、その証である音を。
抱かれて嬉しいはずなのに、いつしかこの胸に広がる漠然とした不安。
それを消したかった。だから。
僕は男を誘うように両手を広げて男の背中へと回していった。
▲
極秘処理される筈だった白い蛇。
それが逃げ出したのが、全ての始まりだった。
馬鹿な男が都会のど真ん中で輸入禁止の蛇を飼育し、飼いきれなくなったのだ。
さすがに街中に捨てるのは気が咎めたのか、俺の勤めていた動植物園にやって来ると言った。
「頼むよ。なあ、金なら払えるだけ払うからさ。引き取ってくれよぉ」
地面に座り込んで土下座する男は、俺にとって恩人と言ってもよい存在だ。
以前、厄介事に巻き込まれ、その際に彼の知人を紹介されて揉め事が解決したことがあるのだ。
恩人のような男が土下座までしているのだ、さすがに見捨てる訳にもいかなかった。
結局、俺は男から蛇と金を受け取った。それしかないじゃないか。
もしも断ったら、この男は街のどこかで蛇を放してしまうだろう。
そしてその蛇が問題を起こし、男が警察に捕まって、腹いせに俺の名前を出したら。
もう一度、面倒な事に巻き込まれるなんて御免だった俺は、早く帰ってくれと男を追い出した。
昼食がまだだった俺は、急いで弁当の中を空にしていった。
仕事は分刻みで決まっており、やることなら幾らでもあるのだ。蛇の処分をしている暇などなかった。
男が持ってきたケージに布を掛けて、とりあえず部屋の床に置いておくことにした
見えないように、誰も触らないようにガラクタの中に紛れ込ませておく。
「ちょっと手を貸してくれ」
食べ終わる前に同僚に呼ばれ、仕事を一つ片付けて部屋へ戻って来たのだが何やら嫌な予感がした。
ケージを持ち上げて手前に引っ張り出し、ゆっくり布を取ると、思った通りケージが空になっている。
そう、蛇が逃げ出してしまったのだ。
俺は焦った。今日は、近所の小学生、それも低学年の子たちが来園しているのだ。
必死に探し回り、ようやく蛇を見つけた時、その蛇の傍には一人の男の子が居た。
蛇は池の中へと入り込み、その小学生もその場を離れて行く。
その後姿を睨みながら俺は舌打ちした。あの子は誰かに言うだろうか、と。
数日を掛けて蛇を捕らえた時は、心底ホっとした。
誰にもバレないように処分を終えると、やれやれと大きく息を吐く。
男の子は、あれから毎日、あの池を見る為に来園していた。
口止めした方がイイか、と考えているうちに、その子が訪れる間隔が徐々に長くなっていった。
3日に一度から7日に一度に。そして二週間に一度。
今では、2ヶ月に3回程度だろうか。
それにしても気の長い、いや執着心の強い子だった。
10年以上も蛇会いたさに訪れるとは。
ひ弱な体型の男の子は大きくなっても貧弱な体型のままで、その成長を間近で見てきた俺は時々苛々していた。
「もっとたくさん肉を食え」
面と向かってそう言いそうになるたびに、必死に自分の足を引き止めたものだ。
その少年が、今、引っ切り無しに喘いでいた。
俺の身体の下で。淫らに。
もう、何回目、いや何十回目だろうか。
あの日、喫茶店の軒先で雨宿りしていた少年を俺は薬で眠らせて陵辱したのだ。
知り合いに頼まれて、休日だというのに店の留守番を引き受けざるを得なかった、その苛立ちのままに。
長年、動向を見つめてきた少年だったから、というのも少しはあるかも知れない。
今は黙っているが、いつか誰かにあの蛇のことを言う可能性も残っているからだ。
俺が秘密裏に蛇を処分し、金を受け取ったことがバレるのは御免だった。
だから、俺はこの少年を縛りつける。誰にも会わせないように監禁して。
強姦のショックで呆然となった少年を、一人暮らしの俺の家で飼育することに決めた。
少年の家族は引越しを終えており、すでに余所の街へと移動していた。
警察は未だに少年を捜しているが、一歩も家から出さなければ大丈夫だろう。
そう、それに
淫らに喘ぐ少年は、精神が少しオカシクなっていた。
この俺のことを親切な人だと思い込み、普通に話し掛けて来るのだ。
大量に与えている薬の副作用かも知れなかった。
俺は少年の両親の知人であり、急な用で何日か留守にする間だけ預かっている、という設定のようだ。
多分、男に監禁、陵辱されている現実を受け止めることが出来なかったのだろう。
両親が迎えに来るのを待っているだけなのだと、自身に言い聞かせているのだ。
そんないつ壊れてもおかしくない少年を、俺は気に入っていた。
淫乱になった身体も、ガラスのように繊細な心の在りようも。
だからこそ。俺は、今日も少年を陵辱し続ける。何度も何度も。
いつの日か、ガラスにヒビが入り、粉々に壊れる瞬間を見てみたい。
屑折れる時、その時こそ、少年は本物の動物になるのだから。
何も考えることのない、俺の与える餌だけを頼りにする飼育物に生まれ変わるのだ。
遠くない未来を思って、俺は笑った。
痛みに悲鳴を上げ、快感に泣く少年の頬を撫でながら。
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