『永遠の誓い』 初出-2009.08.13
水色のワンピースを指差して、丈(じょう)さんがそれを着るよう指示を出した。
僕は一歩足を踏み出すと、それを外商の彩木さんから受け取った。
どういう顔をすればいいのか分からず立ち竦んでいると、彩木さんが優しい声で話し掛けて来くれた。
「お嬢様、あちらの試着室をお使い下さい。きっとお似合いですわ」
男の僕に『お嬢様』という言葉はおかしいと思う。
でも、僕にはそれを訂正することが許されていないかった。
傍には丈さんが立っている。
口を開いた瞬間、連れ出され酷い目に遭うと脅されていたからだ。
彩木さんの言葉に、丈さんが頷いて僕に視線を当てた。
「そうだな、着て見るといい」
口調は優しかったが、何度も言わせるな、とその目が命じていた。
見栄っ張りの丈さんのことだから、コレと決めたら購入するのは間違いない。
だからここで着る必要なんてないのに。
彩木さんを待たせていたし、丈さんはもう少しで怒り出すだろう。
ワンピースを手に試着室に向かうしかなかった。
背後にピタリと丈さんが張り付いているから、今のところ女装だとバレずにすんでいる。
そのことだけが唯一の救いだった。
カーテンを開けると、ハイヒールを脱いで中に入った。
目に鮮やかな爪先が映り、羞恥に頬が朱に染まっていく。
これは今朝、出掛けに彼の母親が塗ってくれたものだ。
面白そうに僕を見る丈さんに気付いて、出て行って下さい、と小さな声で頼んだ。
何も言わず出て行く丈さんにホッとすると、覚悟を決めて服を脱いでいった。
着て来たものは、隅に置いてある袋に全部突っ込んでおく。
畳む余裕などないし、どうせそのまま持って帰ってすぐ捨てられる運命なのだ。
手早くワンピースに着替えて姿見で確認すると、指で裾を伸ばした。
鏡に映った服は思った以上に膝上で恥ずかしかった。
じゅくっ、じゅくっ。
静かな試着室に僅かだが、けれど確実に恥音が聞こえてハっとした。
(いぃひいぃい~~っ!・・・だ・・・だ、だめぇ~~っ。駄目なのぉ~~っ)
とっさに蹲って音を出す場所を閉じ込めようと足掻いた。
じゅぶっ、じゅぶっ。じゅくっ、じゅぶっ。
(やあ~~っ、やだぁ、あっ、あああぁ~~。た、たすけ、たすけてぇ~~)
その時、いきなりカーテンが引かれて、丈さんが試着室に踏み込んで来た。
床に蹲る僕を見て、厭らしい顔で嗤う。
「立て。そのまま帰るぞ」
僕の腕を引っ張って立ち上がらせると、振り向いて誰かに話し掛けていた。
「では、カードは屋敷へ直接お願いします」
「はい。かしこまりました」
野木原家を担当する彩木さんの声だった。
穏やかなその声に僕は正気を取り戻すと、ヨロヨロと壁に手を当てながら立ち上がっていた。
どうやら僕が蹲っている姿を見ていないようだ、とホっとする。
「行くぞ。結婚報告のカードは期日には間に合うよう手配した。家に戻る」
「・・・は、い」
紙袋を渡され、よろけながらも丈さんの後ろを必死に付いて歩いて行く。
彩木さん他数名に丁寧なお辞儀で見送られて、丈さんの運転する車が発進した。
彼らの姿が視界から消え、ようやく僕は安心して呻くことが出来た。
「ぃひっ・・・、ひっ、ひっ、ぃぎいいいいい~~いいっ! ・・・は、はぁっ、・・・はあっ」
俯いて悲鳴を抑えようとする僕に、丈さんが手に隠し持ったリモコンで身体に入っている淫具の出力を上げてきた。
「い、いやっ、いやあぁあああ~~~っ!」
どんなに叫んでも助けてはくれない。
それでも悲鳴は止まらなかった。
「じょ、う、さんっ! ひっ、ひぎっ、ひ、ひっ・・・。や、やめ、・・・お、願いし、ますぅ~~。あっ、ああぁ、・・・やっ、ぃや~~~っ」
「駄目だ。これはアイツから頼まれて調教してるんだからな」
止めて欲しい、という僕の懇願を無視して丈さんは続けた。
「お前の飼い主は誰だ? 俺じゃない。そうだろう?」
家に戻って、彼に哀願しろと僕に言っているのだ。
「ひいぃい~~っ。い、いやっ、いやだっ。・・・あがっ、あぐぅう、ぎっ、ぎひぃいいい~~っ」
口答えした罰だとでも言うように更に出力を上げられてしまい、僕は家へ戻るまでの間、車中で終わることのない刺激と拷問に悶え続けた。
喘ぎ続けたせいだろう。流れる涙と汗、淫液で真新しいワンピースは酷い有様だった。
「早くしろ! このクズが」
丈さんが苛立って僕に命じてくる。
「・・・ぅっ・・・。ご、ごめんな、さい・・・」
屑折れそうな脚をガクガク震わせながら、僕は車から降りて玄関を潜った。
「遅かったね、兄さん」
「ああ、ただいま。遅くなって悪かった。彰(しょう)、具合はどうだ?」
「大丈夫、熱もないしね」
兄弟は仲良く言葉を掛け合って笑っている。
僕の身体を兄から弟へと渡し、兄はワンピースを捲り上げて尻穴へと指を差し入れてきた。
渡された弟は、同じようにワンピースを捲り上げると、刺激に勃起しているチンポを弄りながら僕の唇へと舌を差し入れてきた。
(・・・ んぐぅっ・・・。ひいっ、いやあぁ~~、やめてっ・・・ソコっ、弄っちゃ・・・)
丈さんは僕に対して何も感情を持っていないから、突き入れた指は乱暴だった。
彰の方は、僕の飼い主だという自覚からか、手を緩めない厳しさと壊さない程度の飴を混ぜて弄ってくる。
「ありがとう、丈兄さん。お願いしてた調教、上手くいったみたいだね」
「いや。・・・お前の好きなブルーにしたんだけどな。皺くちゃになっちまった」
出掛ける前に差し込まれていた尿道の淫具へと、いつしか彰の関心が移ってしまった。
淫具が、ずぶっ、ずるっ、ずんっ、と抜き出されては突き込まれていく。
これまでの淫虐に耐え何度も何度も揉まれて感じ易くなった双尻を、彰の手助けをするように丈さんが撫で回してくる。
(いぎいぃいい~~~っ! ・・・あっ・・・、あぁ~~っ、はあっ、はあぁ~~っ)
嫌なのに気持ちが良くて声が出そうだった。
「さてと、俺は会社に戻るか。・・・じゃあな、沙利。後は頼んだぞ」
丈さんはそう言って、ワンピースの上から双尻の狭間に指を突き入れてきた。
ぐり、ぐりぃっ。ずぶり、ずぶりっ。
「や、・・・やめてぇっ。 ・・・じょう、さ、ん・・・」
濡れた目で振り返り、丈さんに懇願した僕を、彰が強引に自分の方へと向けさせる。
「ははは。飼い主に忠実に使えろよ、牝犬沙利」
じゃあな、と好青年にしか見えない笑顔で丈さんは会社へと戻ってしまった。
この家に残されたのは、僕たち2人だけ。
濡れた淫靡な恥音と見っとも無い嬌声だけが玄関に響き続けた。
▲▲▲
野木原彰は、4ヶ月前まで僕が家庭教師として教えていた子だ。
両親の事故死で天蓋孤独の僕には羨ましいほど、家族全員の仲が良かった。
会社役員の父親、教育アドバイザーの母親、父親とは別の会社で働く兄の丈さん。
幼い頃から病弱で、高校にも行かず家で勉強している彰は家族の中心人物だった。
家族全員で彼を守ろうとする意志と態度は誰が見ても明白で、僕もその一端に加えられるんだなあ、なんて甘いことを考えていたんだ。
彼自身も年が近い僕に懐いてくれて、家庭教師として遣り甲斐があった。
そう、あの日までは。
いつものように夕食を一緒に食べて家族の帰りを待っていた。
楽しく冗談を言い、笑い合う。
そんな僕の箸から里芋の煮物がポロっと落ちてしまい、テーブルの下に転がってしまった。
「あっ。ご、ごめん」
急いで席を立とうとする僕を手で止め、彰がテーブルの下に潜り込んだ。
(悪いなぁ)
僕は暢気にそんな事を思っていたのだ。
ぴちゃっ。 ぬちゅぅっ。
(えっ・・・)
足先を、いや、足の指を何かザラっとしたもので舐められてビクっと身体を震わせる。
慌ててテーブルの下を覗き込んだ僕の目に映ったものは。
病弱の割りに、しっかり筋肉の付いている彰の姿。
彼が僕の爪を、足の指を、舌を伸ばして舐めていたのだ。
それも、ワザと唾を溜めてそこにまぶしているのが分かった。
「やめろっ! 彰、何のつもりだっ! ・・・止めろって!」
笑えない冗談だ、と叫んで立ち上がろうとした。
それなのに。
ガシっ、ずるずるっ、・・・ドンっ!
僕の太腿を掴んだ彰が、椅子から床へと僕を引き摺り落としてしまった。
「いてぇ~~っ」
痛みに顔をしかめる僕は、それが悪ふざけだとまだ信じていた。
「おい、彰。なんで、こん・・・」
「黙れ」
冷たい声が聞こえたような気がした。けれど、それは彰の次の行動で耳に残らない。
床に押し倒されて呻く僕の上に乗った彰が、舌を差し込むキスを仕掛けてきたのだ。
(うっ、うぅむうううう~~~っ)
苦しくて息が出来ない。
どうにかして彰を引き剥がそうと、上からどけっ、と胸をドンドン叩いたのだが、予想外の強さで逆に押さえ込まれてしまう。
長い長いキスだった。
舌を強引に絡ませるキスに、いつしか抵抗を忘れていた。
何分にも感じたのは気のせいだろうか。
痺れる唇に手の甲を当てると、そこは熱をもって膨れていた。
「しょ、彰っ。い、一体何の冗談なんだっ」
そこでようやく彰の顔を見た僕は、ギョっとして無意識に後ずさった。
そこに居たのは、1匹の飢えた狼。
鋭い目で僕を見つめ、ワザと舌舐めずりしながら近寄ってくる。
「い、ぃやだっ、やだあ~~っ。・・・だ、誰かっ、誰か、助けてくれっ」
じゅるっ、と涎の滴る音が何処かで聞こえた気がした。
気付くと外は真っ暗になっていた。
数時間も彰に陵辱されていたのだろう。
指一本動かせない僕の耳に玄関を開ける音が聞こえてきた。
(よかった・・・)
丈さんか、この家の奥さんだろう。
助かった。そう、思った。
たとえ、僕が誘ったと勘違いされ、怒鳴られたとしても構わない。
この野獣から僕を助け出してくれるなら。
けれど、どうしてだろう。家族の誰かが戻って来たというのに、叱られるに決まっているのに。
彰は僕の上から全く退こうとしなかった。
それどころか、力強いストロークで僕のお尻を貫き続けている。
カチャっ。
この部屋のドアが開かれ、そして丈さんと奥さんが入って来た。
「彰」
「彰ちゃん」
のっそりと顔を上げた彰に、2人は信じられない言葉を発した。
「おっ、犯ったか。・・・どうだ、その穴の具合は?」
「あら、まあ。どうして床でなんか。風邪引いちゃうわ。彰ちゃん、貴方は身体が弱いんだからちゃんとベッドでなさいな」
ピキっと固まる僕を無視して、何事も無かったように彼らは彰に声を掛けている。
兄は頭を撫で回し、母親は暖房を入れようかしら、と呟いているのだ。
「お母さんっ。・・・想像以上に気持ちイイ~~っ。やっぱり僕っ、コレを、この牝犬を飼いたいな。駄目?」
「へえ~。そんなに気持ちイイのか。後で僕にも貸してくれよ」
兄弟の恐ろしい言葉を、その母親は叱るでもなく優しく諭していく。
「まあ、丈さん。ちゃんと調教が終わってからになさいな。犬には誰が飼い主なのかキッチリ分からせなきゃ」
信じられない言葉の連続に、僕の思考はまとまることなくグルグルと回り続けた。
「飼っていいんだ! ありがとうっ。お母さん、僕っ、コレで退屈を紛らわすよ」
いい子ねぇ、と母親から頭を数回撫でられて彰が無邪気に笑っている。
目を細めて、そんな2人を見ている丈さんの目は優しかった。
絶望に震える僕を振り返った彰は、ニンマリ嗤うと太い杭で穿ちを再開したのだった。
その後、家に帰って来た父親も、彰の体調を気遣うだけで、僕の上から退くように言うことは無かった。
あれからのことは考えたくなかった。
頭のおかしい家族会議で僕を飼い犬にすることが決定されたのだ。
「最初の躾けは肝心だぞ。反抗しないよう徹底的に調教して従順にさせるんだ」
父親の言葉に、丈さんが頷き、こう発言した。
「彰は、この家の庭で飼いたいのか? それとも空いている部屋で飼うつもりかな?」
自分のことなのに発言権などない僕は、彰の手によってタオルの猿轡と縄による両手の縛りの所為で黙って聞いているしかなかった。
「庭でもいいけど、病気になったら困るわ。彰ちゃんにうつると嫌だし、捨てる場所にも困っちゃう」
恐ろしい言葉なのに、誰もそれを気にしないのがこの家族の異常性を物語っていた。
「そうだね。じゃあ、本当は庭で飼おうと思ったけど、空いている部屋を使おうかな。お父さんも兄さんも手伝ってくれる?」
楽し気にお願いする彰に2人が鷹揚に頷くのが見えた。
こうして驚愕する僕を置き去りに、空いている部屋に監禁され、気紛れに連れ出されては3人の男によって調教されることになった。
一度も自分のアパートに戻ることは許されなかった。
毎日毎日、顔を合わせるたびに家族全員が僕の胸を掴み上げては、大きくなるよう揉み続けた。
父親も丈さんも僕の身体を弄って遊ぶことはあっても、自分のモノで僕の尻を貫くことはなく、それだけが救いだった。
触られ、弄られ、叩かれては、常に感謝を言葉にしろと命令されて、反抗する度に折檻された。
犬だから全裸だ、と四つん這いと合わせて基本にされてしまい、泣く泣く従うしかなかった。
母親は僕を中心に家族が楽しそうに遊んでいるだけで嬉しいらしい。
四つん這いの姿勢が崩れた時のみ注意するだけだった。
いつしか、女性のように膨れた胸と、咥え易いように伸ばされた乳首。
ウエストを細くする為だと、男性3人に腰を掴まれては激しく動かされた。
「よし、ここまで細くなれば、もう大丈夫だろう」
僕の睾丸を紐で結び、コロコロと掌の中で転がして遊ぶ父親が、女のように細くなってしまった腰を見て言った。
「うん。僕も待ちきれないや」
背後からその腰を掴み、激しく穿っている彰がピッチを上げながら笑った。
「お母さん、例の衣装は予定に間に合うのかな?」
ピアスごと乳首を揉み潰し、痛みに顔を顰めた僕を見ていた丈さんが母親に尋ねる。
「ええ、明後日には届くわ。楽しみね、牝犬の花嫁姿」
母親が、弄られ喘ぐ僕を見ながら晴れやかに笑った。
(いぎぃいい~~~! ひっ、ひきゃあぁああ~~~~っ。あ、あっ、・・・あはぁっ。あっ、あんっ、ああ~~っ)
彰が嬉しいと叫び、強引に引き抜いた杭を恐ろしい勢いで押し込んできた。
悲鳴を上げて抵抗したいのに僕専用だと購入された淫具が口腔を占領していた。
それを外せないよう取付けてある金具が後頭を締め付けている。
狂っている家族の中で、僕だけが正気を保っているなんて無理だったのだろう。
すでにこの身体は暴力的な調教で、彼らが与える全ての行為を悦びに変化させ、感謝さえするようになっていた。
▲▲▲
僕は、数日後に丈さんと結婚式を挙げることになっていた。
沙利とは、丈さんの婚約者の名前だ。
その本当のお相手は、以前から付き合っている彼氏と駆け落ちしたらしい。
とんでもない失態に焦った彼女の両親はこの家と裏取引し、沙利を籍に入れることに同意していた。
勿論、相手方に僕のことを告げる訳にはいかないから、身分の差で公に出来ない女性、と紹介したと言う。
まだまだ独身で楽しみたかった丈さんを父親である旦那様が説得したのだ。
「結婚していると仕事は有利になるぞ。遊びなら、・・・コレと遊べばいいさ」
そう言って僕を見た父親の視線に熱はなく、いつものように僕を犬として認識していた。
これまで、僕の尻を使用するのは彰だけだった。
双尻や穴に向かって精液を飛ばされ、チンポを弄られることはあっても使われたことはない。
「牝犬の宣言が終わったら、お父さんも兄さんも、好きにコレを使っていいからね」
「おや、丈だけでなく私もいいのかい? コレは彰の牝犬なんだから、私は別の犬でも飼おうかと思っていたんだが」
彰は父親の言葉に首を振ると、僕のチンポを握って勃起させようと擦ってきた。
「勿体ないから別の犬なんていらないよ。お父さんもコレを使っていいからね」
先端から零れていく淫液を指でなぞると、そのまま僕の口元へと運んで来る。
汚いのに、絶対に舐めたくないのに、勃起させる掌の動きで快感に犯されていた僕は、涙に滲む視界に入ったその指を口内へと自ら加え込んでいった。
「そうかい? ありがとうな、彰。・・・お前は本当に優しいな」
微笑む父親が手を伸ばし、彰の頭頂へ置くと髪ごとクシャクシャと軽くかき混ぜていく。
嬉しそうに笑う彰の姿を見て、僕は恐怖と悲しみを覚えていた。
けれど、それも一瞬のこと。すぐに口内を無造作に動き回る指に翻弄され、チンポへの擦り上げが早くなると何も考えられなくなっていた。
この家族にとって籍を入れる日は、僕を正式に飼い犬として認める日だった。
母親が結婚式をしましょう、と言い、父親がそれに賛成したからだ。
彰を誰よりも心配し可愛がっている母親は、彰が楽しめることを常に考えている。
「彰ちゃんはこの数か月、ずっと調教を頑張ったでしょ。だから、その成果を私たちに発表してちょうだい」
「うんっ! お母さんに見せてあげるよっ。僕の犬がどんなに淫乱で従順になったか。牝犬として紹介するね!」
お父さんと丈兄さんも手伝ってね、と言われた2人は嬉しそうに頷いていた。
「この犬をいやらしく飾る品を準備しなくてはな」
「お父さん、僕の意見も入れて下さいね。彰の望む淫乱な牝犬らしく飾らなくては」
それから暫く恐ろしい意見が飛び交い、聞いている僕は頭がクラクラして堪らなかった。
勿論、怖いから、ではなく嬉しさに下半身が熱くなったからだ。
(あぁ、違うっ。こ、こんなのおかしいっ)
最近では心と身体の乖離が著しくて、僕は自分が狂い始めたことを自覚していた。
乳首を彰の指が引っ張り、嬉しそうに嗤っている。
「これで一生、僕の飼い犬だね。牝犬として・・・幸せにしてあげるっ」
とんでもない言葉なのに、僕の身体は心を裏切るように熱く高ぶり始めたのだった。
過去も現在も僕はこの家全員の奴隷だった。
逃げ場なんてどこにもない。
それなのに、本物の結婚式ではないけれど、この家で花嫁衣裳を着て、牝犬になることを誓う式が待っているのだ。
(い、いやだっ、逃げたい!)
それなのに、僕の身体は彼らの指や舌が与えられると悦び、疼き続ける。
大嫌いだった彰も、尻穴に突き込まれる彼の巨根も、何もかもを欲しがり嬌声を上げて嬉しいと叫んでしまう。
放したくない、と自室へ戻ろうとする彰を何度も懇願して引き留めていた。
「駄目だ、放せよ。お前はまだ調教中の犬で、僕のモノになってないだろう?」
欲しければ忠誠を誓え、一生服従して仕えると約束しろ、とその度に嗤って蔑まれていた。
ああ、どうしてこんなことになったのだろう。
逃げられない。いや、本当に逃げたいのか分からない。
分からない、分からないのに。
この淫らな身体は彰を、彰の与える屈辱や淫猥な調教を待ち望んでいる。
それだけは確かなことだった。
監禁生活が4か月を過ぎてから、一度だけ丈さんに連れられて外出したことがあった。
あの日が唯一の逃げるチャンスだったのに。
僕はどうして誰にも助けを求めなかった?
恥ずかしいから? それとも・・・逃げたくなかった?
あれから何度も考えに考えて、でも最終的に出てくる答えは決まっていた。
ここから逃げることは諦めていない。
でも、それを凌駕するほどに、この愚かな身体が心まで引っ張って、彰の与えるモノが欲しいと訴えたからだ。
この家の父親を旦那様、母親を奥様と呼ぶように言われて頷いたのも、自分がこの家の牝犬であることを自覚したからだろう。
彰が与えてくれるモノを甘受したいなら、僕は自分が彼の飼い犬だと認め、その家族もまた僕の飼い主なのだから平伏すべきだと。
丈さんは籍を入れる日から様を付けて呼ぶよう命じていた。
「その方がお前も正式な飼い犬に、いや、牝犬沙利に生まれ変わった実感がするだろう?」
「おお、そうだな。彰のことも、その日から様を付けて呼びなさい。捨てられないよう、何でも言うことを聞くんだぞ」
旦那様が息子の丈さんの言葉に頷きつつ、冷たい目で僕を射止めると返答を迫ってきた。
この家の牝犬として、そう呼ぶのが決まりならば、僕はそれに従うのみだった。
「はい、旦那様」
素直に承諾すると、丈さんが褒美だと尻穴に挿入されている淫棒のスイッチを強へと替えてしまった。
「ひぎぃっ、ひいぃいいい~~~~~~~っ。ひっ、い、いやぁっ、やだっ、だめっ、駄目ぇ~~~っ」
蹲り必死に快感を抑えようとしている僕の足首を掴んだ旦那様が、ちゃんと勃起しているか、と大股開きの恰好を取らせようとする。
首を振って嫌がるけれど、これ以上否定の言葉を言うと、彰を呼ばれて折檻されてしまう。
「僕の ペニスをっ、・・・あぁ、ごめ、ごめんなさいっ、チ、チンポっ、チンポを見てぇええ~~~っ」
こんなに苦しいのに、怒らせないように彼らの決めたルール、言葉使いを守ることを何よりも優先しなくてはならなかった。
そして、それを守ったら、時々だけれど優しく褒めてもらえるのだから、彼らに服従するのは当然のことだった。
▲▲▲
今日は結婚式だと、監禁されている部屋を訪れた彰が楽しそうに笑っている。
「僕はお母さんの手伝いで、お前は兄さんとお父さんのところで待機してろってさ」
普段以上に興奮しているのか、四つん這いで彰を見上げる僕の首に犬の首輪を巻き付けると、リードを勢いよく引き始めた。
痛くて堪らなかったけれど、ここで機嫌を悪くされたら自分の身に降りかかる火の粉が怖かった。
「後で、花嫁衣装の確認するね。ちゃんと淫乱花嫁らしくなってるか、心配だもん」
ニコニコと楽しそうに弾む声を聞きながら、僕は首の痛みと膝が擦られる痛みを耐え続けた。
最初に庭へ引き出されると、僕は丈さんの手で身体を綺麗に洗われることになった。
彰が手伝うと、時間が掛かるし汚れがいつまでも取れない、という理由で彼を奥様の手伝いへ回したらしい。
確かに、丈さんは僕を扱う時も感情の起伏がほぼない人だ。
素早く綺麗にした僕のリードを持つと、丈さんは次は飾り付けだなと旦那様の前に連れて行った。
「よし、その椅子に座って足を肘掛けに置きなさい」
何をされるのか分からない。そんな不安も確かにあったけれど、興奮している自覚があるから素直に頷いた。
恥ずかしさは未だに残っていて、これはずっと変わらないと思う。
でも、この飼い主一家は僕が羞恥したり怖くて泣くことさえ楽しんでいるのだから、このままの僕でいて大丈夫な気がした。
大人しく従った僕の足を調節するように、旦那様が肘掛けの上にまっすぐ乗せ直した。
「お前への贈り物だが、これも拘束具の一種だ。その内、使い方を彰に教えてやるからから楽しめ」
これからは息子の愛玩動物として可愛がってやる、と旦那様と丈さんが交互に僕の勃起している チンポを更に大きくするべく擦り始めた。
「ひゃぎぃっ、ぎひぃっ。ひゅぎっ、ひっ、ひいぃいい~~~~!」
気付かない内に足指全てに宝石の入った飾り環を付けられていた。
これは旦那様の贈り物だという。
「いやぁぁあああ~~~っ。ひっ、ひいっ、や、やめてっ、やめてっ、もう擦ら、・・・っ!」
痛みも確かにあったが、何より気持ち良過ぎて駄目だった。
このままでは射精してしまう、彰の許しなく勝手に出てしまう、と必死に首を振って拒否した。
「おっと、そろそろ出そうですよ。お父さん」
「もういいのか? もっと煽った方が彰が喜ぶだろうに」
駄目です、身体が汚れるでしょ、と丈さんに言われた旦那様が、ああ、そうか、とようやく擦る手を外してくれたのだった。
ブルブル震える僕の身体を旦那様が押さえた後、足首に太幅の鉄の環を溶接されていった。
丈さんの真剣な表情なんて初めてで、痛みも快感も忘れて一瞬見惚れてしまう。
けれどそれも、輪の真ん中に2箇所、鎖を取り付ける箇所を見つけると顔がピクピクと引き攣った。
次に、 旦那様が右を、丈さんが左の乳首を咥えて勃起させると、根元に銀の輪を嵌めようとする。
中々上手くいかなくて、何度かやり直した結果、胸を強く捩じられ続けた僕の息はもう絶え絶えになっていた。
「先端に付いていたピアスと相まって淫らさが上がったね。・・・どう、お父さん、彰はコレ気に入ってくれるかな」
「勿論だよ、丈。お前のセンスはあの子も認めているからね」
ニヤニヤ嗤って僕の乳首を触っている丈さんを褒めると、旦那様は後ろを振り返って彰を呼び寄せた。
少し離れた場所で黙って見ていた彰が、旦那様の手招きでこちらに近づいて来た。
「お父さん、兄さんもありがとう。僕の牝犬を飾ってくれて」
すぐに乳首を触られると思ったのに、彰の手は僕の下半身へと伸びていった。
旦那様たちから中途半端に煽られたチンポの大きさが気に入らなかったのか。
震えているチンポをギュっと握ると、掌全体で擦ってきた。
やがてそこは大きく勃起し、腹をピタピタと叩き始める。
「うん、これでヨシ!」
媚薬に浸された紅いリボンを旦那様から受け取った彰は、僕のチンポへと外れないようにグルグル結わえていった。
その後、まだ激しく動いているチンポを掴むと、尿道に淫棒を奥深く差し込んでいった。
悲鳴を耐える僕を嬉しそうに見上げた彰の姿は、隠しカメラで撮影していた映像に残っていた。
勿論、そんな彰を優しく見つめるご家族と、泣き喚く僕、いや、今日この日に牝犬となった僕の姿も。
彰から贈られたのは、尿道を塞ぐ為の淫棒だった。
僕を虐め調教するための道具が、今日だけで幾つ増えたのだろうか。
「どう、それの具合は。今日の為に特注したんだよ。ね、牝犬、気持ちイイだろう?」
喜ぶ余裕なんてなかった。
痛くて、痛くて、淫棒を回し始めた彰に許してくれ、と訴えながら涙が溢れてしまう。
「どうせすぐに物足りなくなるって。・・・だってこの後、もっと穴を大きくしちゃうからね」
恐かった。旦那様よりも丈さんよりも、一番に彰のことが。
涙目で恐る恐る見つめ返すと、深く口付けられ、舌で歯裏を舐めてくれた。
喜んでいる、と勘違いした彰が、ご機嫌な顔で褒めるように舌を動かしていく。
やがて、僕の唇を軽く食んだ後、彰はその場を離れて行った。
痛みと悦びに喘いでいると、背後から奥様が近付き、ふわっと花嫁衣裳を着せてくれた。
「自分で留めてね。・・・彰ちゃんが後で確かめるそうよ」
奥様の言葉に頷き、衣装をそっと手に取った。
椅子の肘掛けに両足を乗せたまま、全身が快感の渦に飲み込まれる寸前だと教えるように胸を突きだしていく。
この場に居る全員に、破廉恥で醜態を晒している姿を、これから牝犬へと変化する前の僕を覚えていてもらえるように。
震える指で綺麗な衣装の裾を探すと、身体の前へと持ってきて、順番にボタンを留めていこうとした。
それなのに上手くいかなかった。いくはずもなかった。
大きく育った胸の膨らみ、ブルブル震えるチンポの部分が、どうしてもボタンを留められないからだ。
クスクス笑うご家族の嘲笑が、何故か一層僕のチンポを勃起させ、淫棒の痛みと相まって狂乱へと僕を誘い始めたのだった。
似合うぞ、と丈さんの声が遠くに聞こえていた。
ボーっとする僕の傍に、いつ戻って来たのか厳しい顔をした彰が立っていた。
怖い、と思っていると、背後に回った彰は腰の下の衣装を摘むと、無言で鋏を使い布を切り取り始める。
ジャキ、ジョキっと金属の冷たい音が恐ろしい。
(・・・やっ、ぃやああ~~っ。な・・・ん、・・・ど、して・・・っ)
喋っては駄目だ、と口に手を当て必死に声を抑えた。
誰も何も言わないからその恐ろしい音だけが響き続ける。
ようやく終わったのか、彰が鋏をテーブルにポンっと放る音がした。
そしてすぐに、切り裂いた中に手を差し入れてくる。
冷えた指が僕の尻穴を捉えると、太く長い指が奥を目指して強引に突き進んでいく。
(ひゃいっ。い、いやあ~~~! やあっ、やっ、いやっ、やめてっ、だめぇええ~~~っ。あっ、あひぃ、ひっ、この、このままじゃ・・・)
たった1本なのに、その指が全身を火の塊で焦がしているような体感を与えていた。
尻穴にずっぽり埋まった指がグルグルと回されて惑乱していると、更に2本目、3本目と指が増えていった。
今日初めての彰からの調教は、彼が満足することでようやく終わりを迎えていた。
特別な日であり、淫らな花嫁衣装を見て、その嗜虐な性を相乗効果で爆上げしたのだろう。
一度指を引き抜くと、尻穴を2本の指で拡くように押し広げ始めた。
「丈兄さん、そこに置いてるバイブを押し込んでくれる」
「ああ、いいよ」
兄弟で僕を虐めるのが好きな丈さんは、笑って僕の尻穴へと大きなバイブを突き入れようとする。
肘掛けに両足を乗せているから、股間は全開になっていて伸ばした丈さんの腕とバイブの触感に悲鳴を上げて逆らった。
「おい、動くなよ、入らないだろう」
「気にしないで入れていいよ。丈兄さん」
悲鳴混じりの懇願を続けても、2人はいつものように怒ることもなくバイブを全て押し込んでいく。
(いたいっ。ゆ、ゆるし、てぇ~~。いたいのぉおお~~~っ)
初めての太さだったのかも知れない。そのバイブを外して欲しいのに、もう声を出すことも出来ない。
花嫁衣装の裾を捲り、奥まで腕を伸ばした彰は、ニッコリと僕に笑ってみせた。
「うん、これで完成っと。・・・お母さん、もういいよ」
近寄って来た旦那様が僕抱えると、床へ落とした。
ヒクヒクするチンポが射精しようとするのに、紅いリボンに阻まれて僅かな雫が、それでも途切れることなく流れ始める。
「良く出来たわね。もう、立派な飼い主ね、彰ちゃん」
奥様に褒められている彰の代わりだろう。旦那様と丈さんが僕の腰を持ち上げていく。
そしていつもの四つん這いになれ、と指示を出した。
蹲って泣くことも許されず、犬としての基本姿勢を取った僕は、垂れ落ちている自分の淫液を踏みながら主人である彰へと方向転換した。
「さあ、始めようか。・・・来い、牝犬沙利」
涙に揺れる視界に映ったのは、支配者である彰の、いいえ彰様の姿だった。
彰様の言葉が合図となって、他の3人が用意された椅子に腰掛けていく気配がした。
結婚式は、随分前から奥様が楽しそうに準備し、それを旦那様が手伝っていた。
応接セットの長椅子に、深くゆったり腰掛けた旦那様たちはさっそく談笑を始めており、結婚式の開始を待っている。
手元にはワインと美味しそうなデザートがテーブルに用意されていた。
彰様だけが僕をじっと見ており、まだか、と言わんばかりに無言で促していた。
ヨロヨロとその視線に導かれるように立ち上がった僕は、ゆっくりと足を進めていく。
けれど、それは僅か二歩で終わりを迎えた。丈様の厳しい叱責が飛んできたからだ。
「この馬鹿な牝犬がっ! 犬が歩くなんてことあるか!」
ビクッと身体を震わせた僕に、彰様からも厳しい叱咤が飛んできた。
「聞こえなかったか。淫乱牝犬!」
恥をかかせる気か、と冷えた言葉に怯えた僕は、飼い主の言葉に従い四つん這いへ戻ると、必死に前へと進んで行った。
「よし、いい仔だ。淫乱牝犬の沙利」
優しく頭を撫でられてホッとする。
そうだ、僕は、僕は犬、なんだから。
その日、僕は自分の意志で彰様に永遠の服従を誓った。
特別な行事が終わった次の日、外は大雨だった。
けれど、それを気にする者など一人も居なかった。
家族4人は楽しそうに笑っている。
何処にでもいる普通の、幸せな家族の風景。
けれども、その傍らに居たのは・・・。
「はっ、はあ~~っ。ひ、ひぎぃいいい~~~っ! いやっ、やだぁっ、いっ、いじゃぃいい~~っ」
ボロボロになった花嫁衣装を無理に身体に張り付けた家畜が一匹。
恐ろしい一家に服従し、その魂までも囚われてしまった元人間。
「あがぁああ~~~っ。ひゅぎ、ぎっ、ひぎいぃいい~~~っ! ゆ、ゆる、じてぇ~~~」
荒い息使いを繰り返し、夥しい汗を流しながら、身体中を淫靡なモノで濡らされていた。
飼い主一家に虐めてもらい、悲鳴を上げて被虐心を満足させる愚かで可愛い犬の姿が。
▲▲▲
僕は犬、この家で飼われている犬だ。
宣誓によって飼い犬として認められた時は、身体中がかつてない程の興奮に包まれた。
ご一家から拘束具と精液を全身に与えられたのだ。
旦那様には頭上から、長男の丈様からは赤ちゃんのおしめを替える格好を指示されて真上から掛けて頂いた。
最後に、飼い主の彰様からは、四つん這いのカエルになれ、もっと尻を上げろ、などと細かく指示された後、背中から精液をふりかけてもらった。
自身が出した汗や涎、淫汁がそれに混じり、他人が見たら目を背け、鼻をつまんで逃げ出すに違いない。
「彰ちゃん、よく頑張ったわね。立派よ。・・・こんなに立派な飼い主に飼われて、本当に幸せよね」
奥様が振り返って尋ねてこられたので、僕はコクコクと頷いて嬉しいです、と同意を示してみせた。
今、僕は彰様から最近頂いた深い紺色の首輪を身に付けている。
もう長いこと全裸で生活していたから、ほんの少しでも身を隠すモノがあると違和感を感じてしまう。
時々、それが嫌で触っていると、彰様が楽しそうに笑って教えて下さった。
「お父さんたちがお前には羞恥心が足りないってさ」
僕の伸びている乳首の先端に貫かれたピアス、そこにぶら下げられた錘を彰様が無造作に引っ張られた。
「確かに、最近は慣れちゃったみたいだし。・・・う~ん、そうだなぁ、例えば露出調教、とか?」
楽しそう、と彰様が手を叩き、良いことを思い付いた、とはしゃぎ始めた。
「きっと牝犬も楽しめるよ、どう?」
にっこり笑って唆してくる彰様の言葉に、乳首に走った痛みと悦びを表現するように胸を差し出してみせた。
「うん、いいよ。もっともっと、お前の望むように虐めてあげる」
楽しそうな彰様が、おしっこしたいだろ?と聞いて来られたので、僕はそれを見たいんだな、と理解して頷いたのだった。
飼い犬となってから、日中の居場所は庭の大きな木の下になっていた。
雨の日は中に入れてもらえるから辛くはなかった。
いつものように四つん這いのまま歩いて行く。
木から少し離れた場所に、専用の洗い場へが準備されていた。
尻穴に入ったバイブで中が弄られているから気持ちが良くてスピードが遅くなってしまう。
でも、優しい彰様は、そんな姿を楽しそうに見ていて下さるのだ。
今日も尻穴を見せるように高く掲げると、双尻をフリフリしながら進んで行った。
洗い場へ着くと、彰様がバイブのスイッチを切り、一度強引に押し込んで僕に悲鳴を上げさせた後、それを抜き出してしまわれた。
「今はこの淫乱チンポを虐めてあげるっ!」
そう宣言する飼い主を僕は頬を染めて見上げていた。
(可愛いっ)
冷たい視線の飼い犬は恐怖の対象として、こんな風に子供っぽい飼い主の時は遊び相手気分で従っていた。
宣誓を上手に出来たご褒美だ、と旦那様が注文し、彰様の手で嵌めて下さったコックリング。
それを外してもらうと、彰様に掛からない場所まで距離を取った。
片足を上げ、本物の犬として用を足していく。
その瞬間は堪らなく気持ち良かった。
しかも、すぐ傍で彰様が楽しそうに見てくれているのだ。
「よし、いいだろう」
興奮した顔のまま彰様の元へ戻ると、ホースが引き出されていて僕を洗う準備が整っていた。
すぐに腰を落とし、次に重心を前に持っていくように肩でバランスを取った。
汚れた下半身と尻穴を開くよう命令されて、まるで両手で引っ張っているかのように筋肉の動きで尻穴を拡張させた。
勿論、実際は大して開いていないだろう。
でも長い間の拡張調教により、尻穴は自らソコを拡げようとネチっ、ヌチっと淫らなダンスを踊るように動き続ける。
必死に開閉を繰り返していたら、彰様の声が掛かった。
「う~ん、もうちょっと広げたいなぁ」
そう言われたものの、犬の僕は勝手に両手をそこへ伸ばすことは出来ない。
どうしよう、と悩んでいると、彰様がホースの先端を軽く突き入れ、すぐに引き抜いていった。
飽きずに何度もそれを繰り返されて、僕は身体中がムズムズして仕方がなかった。
ほんの僅かしか入れてもらえない上に、痛みも快感も与えてもらえなくて、ただただ気持ちが悪かったのだ。
「うひゃいぃ~っ。・・・オホ~~っ!」
何度も変な叫び声を上げてしまい、面白がった彰様がクスクス笑いながら、もっとしてあげるね、と行為を繰り返すのだった。
しばらくして、遊びは終わり、と告げた彰様が僕の双尻を持ち上げるように掴んでこられた。
「うん、このくらいでどうかなぁ」
淫らに蠢くその場所を覗き込んでいる気配がした。
それからすぐに、両手を使って尻穴を広げるとフ~っといきなり生暖かい息を吹き込まれた。
「ひゃいぃいい~~~っ」
ホースをもっと奥に入れて欲しいっ、それしか考えていなかった僕はびっくりして逃げ出そうとしたけれど、彰様の腕の力で元の場所へと引き戻されていた。
「アハハっ。面白いなぁ、そんなにビックリするなんてさ」
彰様は笑いながら僕の双尻をパンパンっと強めに叩いてこられた。
「アハハ! やっぱり僕の牝犬は変態で淫乱だ。・・・そんなにチンポを振りまくって」
この変態っ、と激しく揺れ続けるチンポと、ピタピタと腹へと叩き込まれる音を笑われてしまった。
そうなるように調教され、それを今では悦んでいた。
だから、もっと叩いて欲しい、もっと僕を虐めて下さい、と強請るように尻を高く掲げて見せた。
やがて、折檻とも遊びとも言える尻叩きが終わると、彰様は大量の冷たい水を浴びせるように尻穴へ向けて流し込んでこられた。
汚れが落ちると同時に、尻穴を通して水が胎内へと少しずつ入っていくのが分かった。
吹き上がり零れる水の方が多かったけれど、彰様が楽しそうに尻穴に指を入れ、また出して、という遊びを始めたからだ。
「はがぁあああああ~~~~っ。ひゅ、ひゅぎぃ~~~。ひぃ、ひぎっ、ひぎぃいい~~っ!」
水を止めた彰様は、横に倒れてしまった僕の腹をチンポがビチビチと叩き、尻穴から水をゴブっと流している姿に満足の笑みを浮かべていた。
「まったく、この淫乱牝犬の相手は大変だっ」
ヒヒっと僕の目を見て嗤うと、ホースを手に巻き付けながら走り始める。
掃除道具置き場の壁、取り付けてある出っ張りに片付けに行かれたのだろう。
楽しそうな主人の声が、快感の涙を溢している僕を置き去りに遠去かっていった。
ずっと庭で遊んでいる彰様が心配だったのだろう。
奥様がおやつにしましょう、と彰様を呼び戻していた。
僕は興奮冷めやらぬ身体を何とか強引に動かすと、一度四つん這いになったのち、後ろ脚を倒れるギリギリまで横に開いていった。
舌を犬のように垂れ、興奮して紅潮した顔とビチビチと激しく動くチンポの見っともない姿を楽しんでもらえるように、と。
水道の水はすでに排出されたのだろう。
代りのように、今はヒクヒク蠢く尻穴から淫液が流れ続けている。
ジュースとデザートを食べ終えた彰様が、ようやく僕のことを思い出して下さったようだ。
こちらにゆっくりと戻って来られる姿が見えた。
(あぁ、気持ちイイ~~っ。はあっ、僕の、僕の恐ろしくて堪らない彰様が、この変態で淫乱な姿をご覧になってるぅ~~っ)
また遊んでもらいたい、虐めて叩いて、淫乱だと蔑んで欲しい。
あの太くて長い、膨張したモノで僕を突き刺して欲しい。
そんな望みを、前方から歩いて来られる彰様は全てお見通しだと言うように、その手に持つ鎖をブンブンと振り回して見せるのだった。
あと少しでこの淫乱牝犬の傍に来てもらえる、そう思ったのに彰様は歩みを止めてしまった。
「来い、牝犬沙利」
歩みを止めた彰様が飼い主らしく命令してくるのが可愛いかった。
これ以上歩くのが面倒になったのだろう。
恐ろしい飼い主は、時々こんな風に可愛く見えることがあった。
鎖を持つ手に引き寄せられるように近付いていく。
舌を垂れたまま、犬としてその足元で立ち止まった。
彰様は腰を屈めると僕の首輪にリードを繋ぎ始めた。
ギュっと首輪を締め直されて痛かったけれど、その痛みさえ快感なのだ。
片足ずつ強引に持ち上げると、足輪にも鎖を素早く繋いでいく彰様の顔は楽しそうでドキドキした。
「お父さんが、そのうち犬用のハーネスを使おうって言ってた」
ここに太くて長いバイブを入れて押さえるんだって、と彰様が僕の尻穴を指さして興奮気味に教えて下さったからだ。
「さあ、散歩しようか。牝犬沙利」
名前に慣れるように、とご家族全員が新しい名前を連呼して下さり、その度に下半身がジンっと熱く高ぶってしまう。
一つに纏めた鎖を大きく引っ張ると、彰様は散歩開始っと大声で僕に命令を下したのだった。
広い庭を数周した所為で身体は汗だくになっていた。
「せっかく入れてあげたのに、もう飛び出てるじゃん」
苛立ち気に彰様が指摘したのは、散歩の途中で挿入して下さったバイブだ。
疼きに震える尻穴でブルブルと振動し、時々スイッチを動かされて彰様が僕の嬌声を楽しまれていた。
その誓いの式で使った太いバイブが、歩いている間に少しだけ抜けてしまったらしい。
「あがぁ・・・っ。うぐっ・・・、ぐっ・・・、うぐっぅううう~~~っ」
強引に押し戻そうとする彰様を補助する為、僕は尻穴を拡張させようと脚を開いていった。
こんなに痛いのに、本当に気持ちが良くて堪らない。
もう何度もコレを使われており、引き抜かれ、押し込まれての調教の成果で、難なく半分以上を収めてしまう。
やがて、バイブの底に付けてある引き抜き用リングだけを残して、僕の尻穴に埋まってしまった。
「ぎぃひいいいい~~~っ。ひいぃぎゃっ、あぎゃぃいいい~~~! あぐ、あっ、あぐぅ~~~」
涎を垂らし、快感を伝えるように彰様を見つめた僕に、彼は嗤って深い口付けを与えて下さるのだった。
乳首を飾るピアスを摘んでは、ギリっと強く捻って放す、を繰り返されていく。
(んんんんぐう~~~っ、・・・んんっ、ふんむぅうう~~っ)
ついでとばかりに錘まで引っ張って遊び始めた彰様が、口付けと痛みの嬉しさで涙する僕の瞳に映っていた。
自分の犬を構って愉しそうに微笑む彰様の姿を、ご家族3人が窓ガラス越しに立って頷き合っている。
そのことが飼い犬としての存在意義と、この家に迎えられた事実を教えてくれていた。
水色のワンピースを指差して、丈(じょう)さんがそれを着るよう指示を出した。
僕は一歩足を踏み出すと、それを外商の彩木さんから受け取った。
どういう顔をすればいいのか分からず立ち竦んでいると、彩木さんが優しい声で話し掛けて来くれた。
「お嬢様、あちらの試着室をお使い下さい。きっとお似合いですわ」
男の僕に『お嬢様』という言葉はおかしいと思う。
でも、僕にはそれを訂正することが許されていないかった。
傍には丈さんが立っている。
口を開いた瞬間、連れ出され酷い目に遭うと脅されていたからだ。
彩木さんの言葉に、丈さんが頷いて僕に視線を当てた。
「そうだな、着て見るといい」
口調は優しかったが、何度も言わせるな、とその目が命じていた。
見栄っ張りの丈さんのことだから、コレと決めたら購入するのは間違いない。
だからここで着る必要なんてないのに。
彩木さんを待たせていたし、丈さんはもう少しで怒り出すだろう。
ワンピースを手に試着室に向かうしかなかった。
背後にピタリと丈さんが張り付いているから、今のところ女装だとバレずにすんでいる。
そのことだけが唯一の救いだった。
カーテンを開けると、ハイヒールを脱いで中に入った。
目に鮮やかな爪先が映り、羞恥に頬が朱に染まっていく。
これは今朝、出掛けに彼の母親が塗ってくれたものだ。
面白そうに僕を見る丈さんに気付いて、出て行って下さい、と小さな声で頼んだ。
何も言わず出て行く丈さんにホッとすると、覚悟を決めて服を脱いでいった。
着て来たものは、隅に置いてある袋に全部突っ込んでおく。
畳む余裕などないし、どうせそのまま持って帰ってすぐ捨てられる運命なのだ。
手早くワンピースに着替えて姿見で確認すると、指で裾を伸ばした。
鏡に映った服は思った以上に膝上で恥ずかしかった。
じゅくっ、じゅくっ。
静かな試着室に僅かだが、けれど確実に恥音が聞こえてハっとした。
(いぃひいぃい~~っ!・・・だ・・・だ、だめぇ~~っ。駄目なのぉ~~っ)
とっさに蹲って音を出す場所を閉じ込めようと足掻いた。
じゅぶっ、じゅぶっ。じゅくっ、じゅぶっ。
(やあ~~っ、やだぁ、あっ、あああぁ~~。た、たすけ、たすけてぇ~~)
その時、いきなりカーテンが引かれて、丈さんが試着室に踏み込んで来た。
床に蹲る僕を見て、厭らしい顔で嗤う。
「立て。そのまま帰るぞ」
僕の腕を引っ張って立ち上がらせると、振り向いて誰かに話し掛けていた。
「では、カードは屋敷へ直接お願いします」
「はい。かしこまりました」
野木原家を担当する彩木さんの声だった。
穏やかなその声に僕は正気を取り戻すと、ヨロヨロと壁に手を当てながら立ち上がっていた。
どうやら僕が蹲っている姿を見ていないようだ、とホっとする。
「行くぞ。結婚報告のカードは期日には間に合うよう手配した。家に戻る」
「・・・は、い」
紙袋を渡され、よろけながらも丈さんの後ろを必死に付いて歩いて行く。
彩木さん他数名に丁寧なお辞儀で見送られて、丈さんの運転する車が発進した。
彼らの姿が視界から消え、ようやく僕は安心して呻くことが出来た。
「ぃひっ・・・、ひっ、ひっ、ぃぎいいいいい~~いいっ! ・・・は、はぁっ、・・・はあっ」
俯いて悲鳴を抑えようとする僕に、丈さんが手に隠し持ったリモコンで身体に入っている淫具の出力を上げてきた。
「い、いやっ、いやあぁあああ~~~っ!」
どんなに叫んでも助けてはくれない。
それでも悲鳴は止まらなかった。
「じょ、う、さんっ! ひっ、ひぎっ、ひ、ひっ・・・。や、やめ、・・・お、願いし、ますぅ~~。あっ、ああぁ、・・・やっ、ぃや~~~っ」
「駄目だ。これはアイツから頼まれて調教してるんだからな」
止めて欲しい、という僕の懇願を無視して丈さんは続けた。
「お前の飼い主は誰だ? 俺じゃない。そうだろう?」
家に戻って、彼に哀願しろと僕に言っているのだ。
「ひいぃい~~っ。い、いやっ、いやだっ。・・・あがっ、あぐぅう、ぎっ、ぎひぃいいい~~っ」
口答えした罰だとでも言うように更に出力を上げられてしまい、僕は家へ戻るまでの間、車中で終わることのない刺激と拷問に悶え続けた。
喘ぎ続けたせいだろう。流れる涙と汗、淫液で真新しいワンピースは酷い有様だった。
「早くしろ! このクズが」
丈さんが苛立って僕に命じてくる。
「・・・ぅっ・・・。ご、ごめんな、さい・・・」
屑折れそうな脚をガクガク震わせながら、僕は車から降りて玄関を潜った。
「遅かったね、兄さん」
「ああ、ただいま。遅くなって悪かった。彰(しょう)、具合はどうだ?」
「大丈夫、熱もないしね」
兄弟は仲良く言葉を掛け合って笑っている。
僕の身体を兄から弟へと渡し、兄はワンピースを捲り上げて尻穴へと指を差し入れてきた。
渡された弟は、同じようにワンピースを捲り上げると、刺激に勃起しているチンポを弄りながら僕の唇へと舌を差し入れてきた。
(・・・ んぐぅっ・・・。ひいっ、いやあぁ~~、やめてっ・・・ソコっ、弄っちゃ・・・)
丈さんは僕に対して何も感情を持っていないから、突き入れた指は乱暴だった。
彰の方は、僕の飼い主だという自覚からか、手を緩めない厳しさと壊さない程度の飴を混ぜて弄ってくる。
「ありがとう、丈兄さん。お願いしてた調教、上手くいったみたいだね」
「いや。・・・お前の好きなブルーにしたんだけどな。皺くちゃになっちまった」
出掛ける前に差し込まれていた尿道の淫具へと、いつしか彰の関心が移ってしまった。
淫具が、ずぶっ、ずるっ、ずんっ、と抜き出されては突き込まれていく。
これまでの淫虐に耐え何度も何度も揉まれて感じ易くなった双尻を、彰の手助けをするように丈さんが撫で回してくる。
(いぎいぃいい~~~っ! ・・・あっ・・・、あぁ~~っ、はあっ、はあぁ~~っ)
嫌なのに気持ちが良くて声が出そうだった。
「さてと、俺は会社に戻るか。・・・じゃあな、沙利。後は頼んだぞ」
丈さんはそう言って、ワンピースの上から双尻の狭間に指を突き入れてきた。
ぐり、ぐりぃっ。ずぶり、ずぶりっ。
「や、・・・やめてぇっ。 ・・・じょう、さ、ん・・・」
濡れた目で振り返り、丈さんに懇願した僕を、彰が強引に自分の方へと向けさせる。
「ははは。飼い主に忠実に使えろよ、牝犬沙利」
じゃあな、と好青年にしか見えない笑顔で丈さんは会社へと戻ってしまった。
この家に残されたのは、僕たち2人だけ。
濡れた淫靡な恥音と見っとも無い嬌声だけが玄関に響き続けた。
▲▲▲
野木原彰は、4ヶ月前まで僕が家庭教師として教えていた子だ。
両親の事故死で天蓋孤独の僕には羨ましいほど、家族全員の仲が良かった。
会社役員の父親、教育アドバイザーの母親、父親とは別の会社で働く兄の丈さん。
幼い頃から病弱で、高校にも行かず家で勉強している彰は家族の中心人物だった。
家族全員で彼を守ろうとする意志と態度は誰が見ても明白で、僕もその一端に加えられるんだなあ、なんて甘いことを考えていたんだ。
彼自身も年が近い僕に懐いてくれて、家庭教師として遣り甲斐があった。
そう、あの日までは。
いつものように夕食を一緒に食べて家族の帰りを待っていた。
楽しく冗談を言い、笑い合う。
そんな僕の箸から里芋の煮物がポロっと落ちてしまい、テーブルの下に転がってしまった。
「あっ。ご、ごめん」
急いで席を立とうとする僕を手で止め、彰がテーブルの下に潜り込んだ。
(悪いなぁ)
僕は暢気にそんな事を思っていたのだ。
ぴちゃっ。 ぬちゅぅっ。
(えっ・・・)
足先を、いや、足の指を何かザラっとしたもので舐められてビクっと身体を震わせる。
慌ててテーブルの下を覗き込んだ僕の目に映ったものは。
病弱の割りに、しっかり筋肉の付いている彰の姿。
彼が僕の爪を、足の指を、舌を伸ばして舐めていたのだ。
それも、ワザと唾を溜めてそこにまぶしているのが分かった。
「やめろっ! 彰、何のつもりだっ! ・・・止めろって!」
笑えない冗談だ、と叫んで立ち上がろうとした。
それなのに。
ガシっ、ずるずるっ、・・・ドンっ!
僕の太腿を掴んだ彰が、椅子から床へと僕を引き摺り落としてしまった。
「いてぇ~~っ」
痛みに顔をしかめる僕は、それが悪ふざけだとまだ信じていた。
「おい、彰。なんで、こん・・・」
「黙れ」
冷たい声が聞こえたような気がした。けれど、それは彰の次の行動で耳に残らない。
床に押し倒されて呻く僕の上に乗った彰が、舌を差し込むキスを仕掛けてきたのだ。
(うっ、うぅむうううう~~~っ)
苦しくて息が出来ない。
どうにかして彰を引き剥がそうと、上からどけっ、と胸をドンドン叩いたのだが、予想外の強さで逆に押さえ込まれてしまう。
長い長いキスだった。
舌を強引に絡ませるキスに、いつしか抵抗を忘れていた。
何分にも感じたのは気のせいだろうか。
痺れる唇に手の甲を当てると、そこは熱をもって膨れていた。
「しょ、彰っ。い、一体何の冗談なんだっ」
そこでようやく彰の顔を見た僕は、ギョっとして無意識に後ずさった。
そこに居たのは、1匹の飢えた狼。
鋭い目で僕を見つめ、ワザと舌舐めずりしながら近寄ってくる。
「い、ぃやだっ、やだあ~~っ。・・・だ、誰かっ、誰か、助けてくれっ」
じゅるっ、と涎の滴る音が何処かで聞こえた気がした。
気付くと外は真っ暗になっていた。
数時間も彰に陵辱されていたのだろう。
指一本動かせない僕の耳に玄関を開ける音が聞こえてきた。
(よかった・・・)
丈さんか、この家の奥さんだろう。
助かった。そう、思った。
たとえ、僕が誘ったと勘違いされ、怒鳴られたとしても構わない。
この野獣から僕を助け出してくれるなら。
けれど、どうしてだろう。家族の誰かが戻って来たというのに、叱られるに決まっているのに。
彰は僕の上から全く退こうとしなかった。
それどころか、力強いストロークで僕のお尻を貫き続けている。
カチャっ。
この部屋のドアが開かれ、そして丈さんと奥さんが入って来た。
「彰」
「彰ちゃん」
のっそりと顔を上げた彰に、2人は信じられない言葉を発した。
「おっ、犯ったか。・・・どうだ、その穴の具合は?」
「あら、まあ。どうして床でなんか。風邪引いちゃうわ。彰ちゃん、貴方は身体が弱いんだからちゃんとベッドでなさいな」
ピキっと固まる僕を無視して、何事も無かったように彼らは彰に声を掛けている。
兄は頭を撫で回し、母親は暖房を入れようかしら、と呟いているのだ。
「お母さんっ。・・・想像以上に気持ちイイ~~っ。やっぱり僕っ、コレを、この牝犬を飼いたいな。駄目?」
「へえ~。そんなに気持ちイイのか。後で僕にも貸してくれよ」
兄弟の恐ろしい言葉を、その母親は叱るでもなく優しく諭していく。
「まあ、丈さん。ちゃんと調教が終わってからになさいな。犬には誰が飼い主なのかキッチリ分からせなきゃ」
信じられない言葉の連続に、僕の思考はまとまることなくグルグルと回り続けた。
「飼っていいんだ! ありがとうっ。お母さん、僕っ、コレで退屈を紛らわすよ」
いい子ねぇ、と母親から頭を数回撫でられて彰が無邪気に笑っている。
目を細めて、そんな2人を見ている丈さんの目は優しかった。
絶望に震える僕を振り返った彰は、ニンマリ嗤うと太い杭で穿ちを再開したのだった。
その後、家に帰って来た父親も、彰の体調を気遣うだけで、僕の上から退くように言うことは無かった。
あれからのことは考えたくなかった。
頭のおかしい家族会議で僕を飼い犬にすることが決定されたのだ。
「最初の躾けは肝心だぞ。反抗しないよう徹底的に調教して従順にさせるんだ」
父親の言葉に、丈さんが頷き、こう発言した。
「彰は、この家の庭で飼いたいのか? それとも空いている部屋で飼うつもりかな?」
自分のことなのに発言権などない僕は、彰の手によってタオルの猿轡と縄による両手の縛りの所為で黙って聞いているしかなかった。
「庭でもいいけど、病気になったら困るわ。彰ちゃんにうつると嫌だし、捨てる場所にも困っちゃう」
恐ろしい言葉なのに、誰もそれを気にしないのがこの家族の異常性を物語っていた。
「そうだね。じゃあ、本当は庭で飼おうと思ったけど、空いている部屋を使おうかな。お父さんも兄さんも手伝ってくれる?」
楽し気にお願いする彰に2人が鷹揚に頷くのが見えた。
こうして驚愕する僕を置き去りに、空いている部屋に監禁され、気紛れに連れ出されては3人の男によって調教されることになった。
一度も自分のアパートに戻ることは許されなかった。
毎日毎日、顔を合わせるたびに家族全員が僕の胸を掴み上げては、大きくなるよう揉み続けた。
父親も丈さんも僕の身体を弄って遊ぶことはあっても、自分のモノで僕の尻を貫くことはなく、それだけが救いだった。
触られ、弄られ、叩かれては、常に感謝を言葉にしろと命令されて、反抗する度に折檻された。
犬だから全裸だ、と四つん這いと合わせて基本にされてしまい、泣く泣く従うしかなかった。
母親は僕を中心に家族が楽しそうに遊んでいるだけで嬉しいらしい。
四つん這いの姿勢が崩れた時のみ注意するだけだった。
いつしか、女性のように膨れた胸と、咥え易いように伸ばされた乳首。
ウエストを細くする為だと、男性3人に腰を掴まれては激しく動かされた。
「よし、ここまで細くなれば、もう大丈夫だろう」
僕の睾丸を紐で結び、コロコロと掌の中で転がして遊ぶ父親が、女のように細くなってしまった腰を見て言った。
「うん。僕も待ちきれないや」
背後からその腰を掴み、激しく穿っている彰がピッチを上げながら笑った。
「お母さん、例の衣装は予定に間に合うのかな?」
ピアスごと乳首を揉み潰し、痛みに顔を顰めた僕を見ていた丈さんが母親に尋ねる。
「ええ、明後日には届くわ。楽しみね、牝犬の花嫁姿」
母親が、弄られ喘ぐ僕を見ながら晴れやかに笑った。
(いぎぃいい~~~! ひっ、ひきゃあぁああ~~~~っ。あ、あっ、・・・あはぁっ。あっ、あんっ、ああ~~っ)
彰が嬉しいと叫び、強引に引き抜いた杭を恐ろしい勢いで押し込んできた。
悲鳴を上げて抵抗したいのに僕専用だと購入された淫具が口腔を占領していた。
それを外せないよう取付けてある金具が後頭を締め付けている。
狂っている家族の中で、僕だけが正気を保っているなんて無理だったのだろう。
すでにこの身体は暴力的な調教で、彼らが与える全ての行為を悦びに変化させ、感謝さえするようになっていた。
▲▲▲
僕は、数日後に丈さんと結婚式を挙げることになっていた。
沙利とは、丈さんの婚約者の名前だ。
その本当のお相手は、以前から付き合っている彼氏と駆け落ちしたらしい。
とんでもない失態に焦った彼女の両親はこの家と裏取引し、沙利を籍に入れることに同意していた。
勿論、相手方に僕のことを告げる訳にはいかないから、身分の差で公に出来ない女性、と紹介したと言う。
まだまだ独身で楽しみたかった丈さんを父親である旦那様が説得したのだ。
「結婚していると仕事は有利になるぞ。遊びなら、・・・コレと遊べばいいさ」
そう言って僕を見た父親の視線に熱はなく、いつものように僕を犬として認識していた。
これまで、僕の尻を使用するのは彰だけだった。
双尻や穴に向かって精液を飛ばされ、チンポを弄られることはあっても使われたことはない。
「牝犬の宣言が終わったら、お父さんも兄さんも、好きにコレを使っていいからね」
「おや、丈だけでなく私もいいのかい? コレは彰の牝犬なんだから、私は別の犬でも飼おうかと思っていたんだが」
彰は父親の言葉に首を振ると、僕のチンポを握って勃起させようと擦ってきた。
「勿体ないから別の犬なんていらないよ。お父さんもコレを使っていいからね」
先端から零れていく淫液を指でなぞると、そのまま僕の口元へと運んで来る。
汚いのに、絶対に舐めたくないのに、勃起させる掌の動きで快感に犯されていた僕は、涙に滲む視界に入ったその指を口内へと自ら加え込んでいった。
「そうかい? ありがとうな、彰。・・・お前は本当に優しいな」
微笑む父親が手を伸ばし、彰の頭頂へ置くと髪ごとクシャクシャと軽くかき混ぜていく。
嬉しそうに笑う彰の姿を見て、僕は恐怖と悲しみを覚えていた。
けれど、それも一瞬のこと。すぐに口内を無造作に動き回る指に翻弄され、チンポへの擦り上げが早くなると何も考えられなくなっていた。
この家族にとって籍を入れる日は、僕を正式に飼い犬として認める日だった。
母親が結婚式をしましょう、と言い、父親がそれに賛成したからだ。
彰を誰よりも心配し可愛がっている母親は、彰が楽しめることを常に考えている。
「彰ちゃんはこの数か月、ずっと調教を頑張ったでしょ。だから、その成果を私たちに発表してちょうだい」
「うんっ! お母さんに見せてあげるよっ。僕の犬がどんなに淫乱で従順になったか。牝犬として紹介するね!」
お父さんと丈兄さんも手伝ってね、と言われた2人は嬉しそうに頷いていた。
「この犬をいやらしく飾る品を準備しなくてはな」
「お父さん、僕の意見も入れて下さいね。彰の望む淫乱な牝犬らしく飾らなくては」
それから暫く恐ろしい意見が飛び交い、聞いている僕は頭がクラクラして堪らなかった。
勿論、怖いから、ではなく嬉しさに下半身が熱くなったからだ。
(あぁ、違うっ。こ、こんなのおかしいっ)
最近では心と身体の乖離が著しくて、僕は自分が狂い始めたことを自覚していた。
乳首を彰の指が引っ張り、嬉しそうに嗤っている。
「これで一生、僕の飼い犬だね。牝犬として・・・幸せにしてあげるっ」
とんでもない言葉なのに、僕の身体は心を裏切るように熱く高ぶり始めたのだった。
過去も現在も僕はこの家全員の奴隷だった。
逃げ場なんてどこにもない。
それなのに、本物の結婚式ではないけれど、この家で花嫁衣裳を着て、牝犬になることを誓う式が待っているのだ。
(い、いやだっ、逃げたい!)
それなのに、僕の身体は彼らの指や舌が与えられると悦び、疼き続ける。
大嫌いだった彰も、尻穴に突き込まれる彼の巨根も、何もかもを欲しがり嬌声を上げて嬉しいと叫んでしまう。
放したくない、と自室へ戻ろうとする彰を何度も懇願して引き留めていた。
「駄目だ、放せよ。お前はまだ調教中の犬で、僕のモノになってないだろう?」
欲しければ忠誠を誓え、一生服従して仕えると約束しろ、とその度に嗤って蔑まれていた。
ああ、どうしてこんなことになったのだろう。
逃げられない。いや、本当に逃げたいのか分からない。
分からない、分からないのに。
この淫らな身体は彰を、彰の与える屈辱や淫猥な調教を待ち望んでいる。
それだけは確かなことだった。
監禁生活が4か月を過ぎてから、一度だけ丈さんに連れられて外出したことがあった。
あの日が唯一の逃げるチャンスだったのに。
僕はどうして誰にも助けを求めなかった?
恥ずかしいから? それとも・・・逃げたくなかった?
あれから何度も考えに考えて、でも最終的に出てくる答えは決まっていた。
ここから逃げることは諦めていない。
でも、それを凌駕するほどに、この愚かな身体が心まで引っ張って、彰の与えるモノが欲しいと訴えたからだ。
この家の父親を旦那様、母親を奥様と呼ぶように言われて頷いたのも、自分がこの家の牝犬であることを自覚したからだろう。
彰が与えてくれるモノを甘受したいなら、僕は自分が彼の飼い犬だと認め、その家族もまた僕の飼い主なのだから平伏すべきだと。
丈さんは籍を入れる日から様を付けて呼ぶよう命じていた。
「その方がお前も正式な飼い犬に、いや、牝犬沙利に生まれ変わった実感がするだろう?」
「おお、そうだな。彰のことも、その日から様を付けて呼びなさい。捨てられないよう、何でも言うことを聞くんだぞ」
旦那様が息子の丈さんの言葉に頷きつつ、冷たい目で僕を射止めると返答を迫ってきた。
この家の牝犬として、そう呼ぶのが決まりならば、僕はそれに従うのみだった。
「はい、旦那様」
素直に承諾すると、丈さんが褒美だと尻穴に挿入されている淫棒のスイッチを強へと替えてしまった。
「ひぎぃっ、ひいぃいいい~~~~~~~っ。ひっ、い、いやぁっ、やだっ、だめっ、駄目ぇ~~~っ」
蹲り必死に快感を抑えようとしている僕の足首を掴んだ旦那様が、ちゃんと勃起しているか、と大股開きの恰好を取らせようとする。
首を振って嫌がるけれど、これ以上否定の言葉を言うと、彰を呼ばれて折檻されてしまう。
「僕の ペニスをっ、・・・あぁ、ごめ、ごめんなさいっ、チ、チンポっ、チンポを見てぇええ~~~っ」
こんなに苦しいのに、怒らせないように彼らの決めたルール、言葉使いを守ることを何よりも優先しなくてはならなかった。
そして、それを守ったら、時々だけれど優しく褒めてもらえるのだから、彼らに服従するのは当然のことだった。
▲▲▲
今日は結婚式だと、監禁されている部屋を訪れた彰が楽しそうに笑っている。
「僕はお母さんの手伝いで、お前は兄さんとお父さんのところで待機してろってさ」
普段以上に興奮しているのか、四つん這いで彰を見上げる僕の首に犬の首輪を巻き付けると、リードを勢いよく引き始めた。
痛くて堪らなかったけれど、ここで機嫌を悪くされたら自分の身に降りかかる火の粉が怖かった。
「後で、花嫁衣装の確認するね。ちゃんと淫乱花嫁らしくなってるか、心配だもん」
ニコニコと楽しそうに弾む声を聞きながら、僕は首の痛みと膝が擦られる痛みを耐え続けた。
最初に庭へ引き出されると、僕は丈さんの手で身体を綺麗に洗われることになった。
彰が手伝うと、時間が掛かるし汚れがいつまでも取れない、という理由で彼を奥様の手伝いへ回したらしい。
確かに、丈さんは僕を扱う時も感情の起伏がほぼない人だ。
素早く綺麗にした僕のリードを持つと、丈さんは次は飾り付けだなと旦那様の前に連れて行った。
「よし、その椅子に座って足を肘掛けに置きなさい」
何をされるのか分からない。そんな不安も確かにあったけれど、興奮している自覚があるから素直に頷いた。
恥ずかしさは未だに残っていて、これはずっと変わらないと思う。
でも、この飼い主一家は僕が羞恥したり怖くて泣くことさえ楽しんでいるのだから、このままの僕でいて大丈夫な気がした。
大人しく従った僕の足を調節するように、旦那様が肘掛けの上にまっすぐ乗せ直した。
「お前への贈り物だが、これも拘束具の一種だ。その内、使い方を彰に教えてやるからから楽しめ」
これからは息子の愛玩動物として可愛がってやる、と旦那様と丈さんが交互に僕の勃起している チンポを更に大きくするべく擦り始めた。
「ひゃぎぃっ、ぎひぃっ。ひゅぎっ、ひっ、ひいぃいい~~~~!」
気付かない内に足指全てに宝石の入った飾り環を付けられていた。
これは旦那様の贈り物だという。
「いやぁぁあああ~~~っ。ひっ、ひいっ、や、やめてっ、やめてっ、もう擦ら、・・・っ!」
痛みも確かにあったが、何より気持ち良過ぎて駄目だった。
このままでは射精してしまう、彰の許しなく勝手に出てしまう、と必死に首を振って拒否した。
「おっと、そろそろ出そうですよ。お父さん」
「もういいのか? もっと煽った方が彰が喜ぶだろうに」
駄目です、身体が汚れるでしょ、と丈さんに言われた旦那様が、ああ、そうか、とようやく擦る手を外してくれたのだった。
ブルブル震える僕の身体を旦那様が押さえた後、足首に太幅の鉄の環を溶接されていった。
丈さんの真剣な表情なんて初めてで、痛みも快感も忘れて一瞬見惚れてしまう。
けれどそれも、輪の真ん中に2箇所、鎖を取り付ける箇所を見つけると顔がピクピクと引き攣った。
次に、 旦那様が右を、丈さんが左の乳首を咥えて勃起させると、根元に銀の輪を嵌めようとする。
中々上手くいかなくて、何度かやり直した結果、胸を強く捩じられ続けた僕の息はもう絶え絶えになっていた。
「先端に付いていたピアスと相まって淫らさが上がったね。・・・どう、お父さん、彰はコレ気に入ってくれるかな」
「勿論だよ、丈。お前のセンスはあの子も認めているからね」
ニヤニヤ嗤って僕の乳首を触っている丈さんを褒めると、旦那様は後ろを振り返って彰を呼び寄せた。
少し離れた場所で黙って見ていた彰が、旦那様の手招きでこちらに近づいて来た。
「お父さん、兄さんもありがとう。僕の牝犬を飾ってくれて」
すぐに乳首を触られると思ったのに、彰の手は僕の下半身へと伸びていった。
旦那様たちから中途半端に煽られたチンポの大きさが気に入らなかったのか。
震えているチンポをギュっと握ると、掌全体で擦ってきた。
やがてそこは大きく勃起し、腹をピタピタと叩き始める。
「うん、これでヨシ!」
媚薬に浸された紅いリボンを旦那様から受け取った彰は、僕のチンポへと外れないようにグルグル結わえていった。
その後、まだ激しく動いているチンポを掴むと、尿道に淫棒を奥深く差し込んでいった。
悲鳴を耐える僕を嬉しそうに見上げた彰の姿は、隠しカメラで撮影していた映像に残っていた。
勿論、そんな彰を優しく見つめるご家族と、泣き喚く僕、いや、今日この日に牝犬となった僕の姿も。
彰から贈られたのは、尿道を塞ぐ為の淫棒だった。
僕を虐め調教するための道具が、今日だけで幾つ増えたのだろうか。
「どう、それの具合は。今日の為に特注したんだよ。ね、牝犬、気持ちイイだろう?」
喜ぶ余裕なんてなかった。
痛くて、痛くて、淫棒を回し始めた彰に許してくれ、と訴えながら涙が溢れてしまう。
「どうせすぐに物足りなくなるって。・・・だってこの後、もっと穴を大きくしちゃうからね」
恐かった。旦那様よりも丈さんよりも、一番に彰のことが。
涙目で恐る恐る見つめ返すと、深く口付けられ、舌で歯裏を舐めてくれた。
喜んでいる、と勘違いした彰が、ご機嫌な顔で褒めるように舌を動かしていく。
やがて、僕の唇を軽く食んだ後、彰はその場を離れて行った。
痛みと悦びに喘いでいると、背後から奥様が近付き、ふわっと花嫁衣裳を着せてくれた。
「自分で留めてね。・・・彰ちゃんが後で確かめるそうよ」
奥様の言葉に頷き、衣装をそっと手に取った。
椅子の肘掛けに両足を乗せたまま、全身が快感の渦に飲み込まれる寸前だと教えるように胸を突きだしていく。
この場に居る全員に、破廉恥で醜態を晒している姿を、これから牝犬へと変化する前の僕を覚えていてもらえるように。
震える指で綺麗な衣装の裾を探すと、身体の前へと持ってきて、順番にボタンを留めていこうとした。
それなのに上手くいかなかった。いくはずもなかった。
大きく育った胸の膨らみ、ブルブル震えるチンポの部分が、どうしてもボタンを留められないからだ。
クスクス笑うご家族の嘲笑が、何故か一層僕のチンポを勃起させ、淫棒の痛みと相まって狂乱へと僕を誘い始めたのだった。
似合うぞ、と丈さんの声が遠くに聞こえていた。
ボーっとする僕の傍に、いつ戻って来たのか厳しい顔をした彰が立っていた。
怖い、と思っていると、背後に回った彰は腰の下の衣装を摘むと、無言で鋏を使い布を切り取り始める。
ジャキ、ジョキっと金属の冷たい音が恐ろしい。
(・・・やっ、ぃやああ~~っ。な・・・ん、・・・ど、して・・・っ)
喋っては駄目だ、と口に手を当て必死に声を抑えた。
誰も何も言わないからその恐ろしい音だけが響き続ける。
ようやく終わったのか、彰が鋏をテーブルにポンっと放る音がした。
そしてすぐに、切り裂いた中に手を差し入れてくる。
冷えた指が僕の尻穴を捉えると、太く長い指が奥を目指して強引に突き進んでいく。
(ひゃいっ。い、いやあ~~~! やあっ、やっ、いやっ、やめてっ、だめぇええ~~~っ。あっ、あひぃ、ひっ、この、このままじゃ・・・)
たった1本なのに、その指が全身を火の塊で焦がしているような体感を与えていた。
尻穴にずっぽり埋まった指がグルグルと回されて惑乱していると、更に2本目、3本目と指が増えていった。
今日初めての彰からの調教は、彼が満足することでようやく終わりを迎えていた。
特別な日であり、淫らな花嫁衣装を見て、その嗜虐な性を相乗効果で爆上げしたのだろう。
一度指を引き抜くと、尻穴を2本の指で拡くように押し広げ始めた。
「丈兄さん、そこに置いてるバイブを押し込んでくれる」
「ああ、いいよ」
兄弟で僕を虐めるのが好きな丈さんは、笑って僕の尻穴へと大きなバイブを突き入れようとする。
肘掛けに両足を乗せているから、股間は全開になっていて伸ばした丈さんの腕とバイブの触感に悲鳴を上げて逆らった。
「おい、動くなよ、入らないだろう」
「気にしないで入れていいよ。丈兄さん」
悲鳴混じりの懇願を続けても、2人はいつものように怒ることもなくバイブを全て押し込んでいく。
(いたいっ。ゆ、ゆるし、てぇ~~。いたいのぉおお~~~っ)
初めての太さだったのかも知れない。そのバイブを外して欲しいのに、もう声を出すことも出来ない。
花嫁衣装の裾を捲り、奥まで腕を伸ばした彰は、ニッコリと僕に笑ってみせた。
「うん、これで完成っと。・・・お母さん、もういいよ」
近寄って来た旦那様が僕抱えると、床へ落とした。
ヒクヒクするチンポが射精しようとするのに、紅いリボンに阻まれて僅かな雫が、それでも途切れることなく流れ始める。
「良く出来たわね。もう、立派な飼い主ね、彰ちゃん」
奥様に褒められている彰の代わりだろう。旦那様と丈さんが僕の腰を持ち上げていく。
そしていつもの四つん這いになれ、と指示を出した。
蹲って泣くことも許されず、犬としての基本姿勢を取った僕は、垂れ落ちている自分の淫液を踏みながら主人である彰へと方向転換した。
「さあ、始めようか。・・・来い、牝犬沙利」
涙に揺れる視界に映ったのは、支配者である彰の、いいえ彰様の姿だった。
彰様の言葉が合図となって、他の3人が用意された椅子に腰掛けていく気配がした。
結婚式は、随分前から奥様が楽しそうに準備し、それを旦那様が手伝っていた。
応接セットの長椅子に、深くゆったり腰掛けた旦那様たちはさっそく談笑を始めており、結婚式の開始を待っている。
手元にはワインと美味しそうなデザートがテーブルに用意されていた。
彰様だけが僕をじっと見ており、まだか、と言わんばかりに無言で促していた。
ヨロヨロとその視線に導かれるように立ち上がった僕は、ゆっくりと足を進めていく。
けれど、それは僅か二歩で終わりを迎えた。丈様の厳しい叱責が飛んできたからだ。
「この馬鹿な牝犬がっ! 犬が歩くなんてことあるか!」
ビクッと身体を震わせた僕に、彰様からも厳しい叱咤が飛んできた。
「聞こえなかったか。淫乱牝犬!」
恥をかかせる気か、と冷えた言葉に怯えた僕は、飼い主の言葉に従い四つん這いへ戻ると、必死に前へと進んで行った。
「よし、いい仔だ。淫乱牝犬の沙利」
優しく頭を撫でられてホッとする。
そうだ、僕は、僕は犬、なんだから。
その日、僕は自分の意志で彰様に永遠の服従を誓った。
特別な行事が終わった次の日、外は大雨だった。
けれど、それを気にする者など一人も居なかった。
家族4人は楽しそうに笑っている。
何処にでもいる普通の、幸せな家族の風景。
けれども、その傍らに居たのは・・・。
「はっ、はあ~~っ。ひ、ひぎぃいいい~~~っ! いやっ、やだぁっ、いっ、いじゃぃいい~~っ」
ボロボロになった花嫁衣装を無理に身体に張り付けた家畜が一匹。
恐ろしい一家に服従し、その魂までも囚われてしまった元人間。
「あがぁああ~~~っ。ひゅぎ、ぎっ、ひぎいぃいい~~~っ! ゆ、ゆる、じてぇ~~~」
荒い息使いを繰り返し、夥しい汗を流しながら、身体中を淫靡なモノで濡らされていた。
飼い主一家に虐めてもらい、悲鳴を上げて被虐心を満足させる愚かで可愛い犬の姿が。
▲▲▲
僕は犬、この家で飼われている犬だ。
宣誓によって飼い犬として認められた時は、身体中がかつてない程の興奮に包まれた。
ご一家から拘束具と精液を全身に与えられたのだ。
旦那様には頭上から、長男の丈様からは赤ちゃんのおしめを替える格好を指示されて真上から掛けて頂いた。
最後に、飼い主の彰様からは、四つん這いのカエルになれ、もっと尻を上げろ、などと細かく指示された後、背中から精液をふりかけてもらった。
自身が出した汗や涎、淫汁がそれに混じり、他人が見たら目を背け、鼻をつまんで逃げ出すに違いない。
「彰ちゃん、よく頑張ったわね。立派よ。・・・こんなに立派な飼い主に飼われて、本当に幸せよね」
奥様が振り返って尋ねてこられたので、僕はコクコクと頷いて嬉しいです、と同意を示してみせた。
今、僕は彰様から最近頂いた深い紺色の首輪を身に付けている。
もう長いこと全裸で生活していたから、ほんの少しでも身を隠すモノがあると違和感を感じてしまう。
時々、それが嫌で触っていると、彰様が楽しそうに笑って教えて下さった。
「お父さんたちがお前には羞恥心が足りないってさ」
僕の伸びている乳首の先端に貫かれたピアス、そこにぶら下げられた錘を彰様が無造作に引っ張られた。
「確かに、最近は慣れちゃったみたいだし。・・・う~ん、そうだなぁ、例えば露出調教、とか?」
楽しそう、と彰様が手を叩き、良いことを思い付いた、とはしゃぎ始めた。
「きっと牝犬も楽しめるよ、どう?」
にっこり笑って唆してくる彰様の言葉に、乳首に走った痛みと悦びを表現するように胸を差し出してみせた。
「うん、いいよ。もっともっと、お前の望むように虐めてあげる」
楽しそうな彰様が、おしっこしたいだろ?と聞いて来られたので、僕はそれを見たいんだな、と理解して頷いたのだった。
飼い犬となってから、日中の居場所は庭の大きな木の下になっていた。
雨の日は中に入れてもらえるから辛くはなかった。
いつものように四つん這いのまま歩いて行く。
木から少し離れた場所に、専用の洗い場へが準備されていた。
尻穴に入ったバイブで中が弄られているから気持ちが良くてスピードが遅くなってしまう。
でも、優しい彰様は、そんな姿を楽しそうに見ていて下さるのだ。
今日も尻穴を見せるように高く掲げると、双尻をフリフリしながら進んで行った。
洗い場へ着くと、彰様がバイブのスイッチを切り、一度強引に押し込んで僕に悲鳴を上げさせた後、それを抜き出してしまわれた。
「今はこの淫乱チンポを虐めてあげるっ!」
そう宣言する飼い主を僕は頬を染めて見上げていた。
(可愛いっ)
冷たい視線の飼い犬は恐怖の対象として、こんな風に子供っぽい飼い主の時は遊び相手気分で従っていた。
宣誓を上手に出来たご褒美だ、と旦那様が注文し、彰様の手で嵌めて下さったコックリング。
それを外してもらうと、彰様に掛からない場所まで距離を取った。
片足を上げ、本物の犬として用を足していく。
その瞬間は堪らなく気持ち良かった。
しかも、すぐ傍で彰様が楽しそうに見てくれているのだ。
「よし、いいだろう」
興奮した顔のまま彰様の元へ戻ると、ホースが引き出されていて僕を洗う準備が整っていた。
すぐに腰を落とし、次に重心を前に持っていくように肩でバランスを取った。
汚れた下半身と尻穴を開くよう命令されて、まるで両手で引っ張っているかのように筋肉の動きで尻穴を拡張させた。
勿論、実際は大して開いていないだろう。
でも長い間の拡張調教により、尻穴は自らソコを拡げようとネチっ、ヌチっと淫らなダンスを踊るように動き続ける。
必死に開閉を繰り返していたら、彰様の声が掛かった。
「う~ん、もうちょっと広げたいなぁ」
そう言われたものの、犬の僕は勝手に両手をそこへ伸ばすことは出来ない。
どうしよう、と悩んでいると、彰様がホースの先端を軽く突き入れ、すぐに引き抜いていった。
飽きずに何度もそれを繰り返されて、僕は身体中がムズムズして仕方がなかった。
ほんの僅かしか入れてもらえない上に、痛みも快感も与えてもらえなくて、ただただ気持ちが悪かったのだ。
「うひゃいぃ~っ。・・・オホ~~っ!」
何度も変な叫び声を上げてしまい、面白がった彰様がクスクス笑いながら、もっとしてあげるね、と行為を繰り返すのだった。
しばらくして、遊びは終わり、と告げた彰様が僕の双尻を持ち上げるように掴んでこられた。
「うん、このくらいでどうかなぁ」
淫らに蠢くその場所を覗き込んでいる気配がした。
それからすぐに、両手を使って尻穴を広げるとフ~っといきなり生暖かい息を吹き込まれた。
「ひゃいぃいい~~~っ」
ホースをもっと奥に入れて欲しいっ、それしか考えていなかった僕はびっくりして逃げ出そうとしたけれど、彰様の腕の力で元の場所へと引き戻されていた。
「アハハっ。面白いなぁ、そんなにビックリするなんてさ」
彰様は笑いながら僕の双尻をパンパンっと強めに叩いてこられた。
「アハハ! やっぱり僕の牝犬は変態で淫乱だ。・・・そんなにチンポを振りまくって」
この変態っ、と激しく揺れ続けるチンポと、ピタピタと腹へと叩き込まれる音を笑われてしまった。
そうなるように調教され、それを今では悦んでいた。
だから、もっと叩いて欲しい、もっと僕を虐めて下さい、と強請るように尻を高く掲げて見せた。
やがて、折檻とも遊びとも言える尻叩きが終わると、彰様は大量の冷たい水を浴びせるように尻穴へ向けて流し込んでこられた。
汚れが落ちると同時に、尻穴を通して水が胎内へと少しずつ入っていくのが分かった。
吹き上がり零れる水の方が多かったけれど、彰様が楽しそうに尻穴に指を入れ、また出して、という遊びを始めたからだ。
「はがぁあああああ~~~~っ。ひゅ、ひゅぎぃ~~~。ひぃ、ひぎっ、ひぎぃいい~~っ!」
水を止めた彰様は、横に倒れてしまった僕の腹をチンポがビチビチと叩き、尻穴から水をゴブっと流している姿に満足の笑みを浮かべていた。
「まったく、この淫乱牝犬の相手は大変だっ」
ヒヒっと僕の目を見て嗤うと、ホースを手に巻き付けながら走り始める。
掃除道具置き場の壁、取り付けてある出っ張りに片付けに行かれたのだろう。
楽しそうな主人の声が、快感の涙を溢している僕を置き去りに遠去かっていった。
ずっと庭で遊んでいる彰様が心配だったのだろう。
奥様がおやつにしましょう、と彰様を呼び戻していた。
僕は興奮冷めやらぬ身体を何とか強引に動かすと、一度四つん這いになったのち、後ろ脚を倒れるギリギリまで横に開いていった。
舌を犬のように垂れ、興奮して紅潮した顔とビチビチと激しく動くチンポの見っともない姿を楽しんでもらえるように、と。
水道の水はすでに排出されたのだろう。
代りのように、今はヒクヒク蠢く尻穴から淫液が流れ続けている。
ジュースとデザートを食べ終えた彰様が、ようやく僕のことを思い出して下さったようだ。
こちらにゆっくりと戻って来られる姿が見えた。
(あぁ、気持ちイイ~~っ。はあっ、僕の、僕の恐ろしくて堪らない彰様が、この変態で淫乱な姿をご覧になってるぅ~~っ)
また遊んでもらいたい、虐めて叩いて、淫乱だと蔑んで欲しい。
あの太くて長い、膨張したモノで僕を突き刺して欲しい。
そんな望みを、前方から歩いて来られる彰様は全てお見通しだと言うように、その手に持つ鎖をブンブンと振り回して見せるのだった。
あと少しでこの淫乱牝犬の傍に来てもらえる、そう思ったのに彰様は歩みを止めてしまった。
「来い、牝犬沙利」
歩みを止めた彰様が飼い主らしく命令してくるのが可愛いかった。
これ以上歩くのが面倒になったのだろう。
恐ろしい飼い主は、時々こんな風に可愛く見えることがあった。
鎖を持つ手に引き寄せられるように近付いていく。
舌を垂れたまま、犬としてその足元で立ち止まった。
彰様は腰を屈めると僕の首輪にリードを繋ぎ始めた。
ギュっと首輪を締め直されて痛かったけれど、その痛みさえ快感なのだ。
片足ずつ強引に持ち上げると、足輪にも鎖を素早く繋いでいく彰様の顔は楽しそうでドキドキした。
「お父さんが、そのうち犬用のハーネスを使おうって言ってた」
ここに太くて長いバイブを入れて押さえるんだって、と彰様が僕の尻穴を指さして興奮気味に教えて下さったからだ。
「さあ、散歩しようか。牝犬沙利」
名前に慣れるように、とご家族全員が新しい名前を連呼して下さり、その度に下半身がジンっと熱く高ぶってしまう。
一つに纏めた鎖を大きく引っ張ると、彰様は散歩開始っと大声で僕に命令を下したのだった。
広い庭を数周した所為で身体は汗だくになっていた。
「せっかく入れてあげたのに、もう飛び出てるじゃん」
苛立ち気に彰様が指摘したのは、散歩の途中で挿入して下さったバイブだ。
疼きに震える尻穴でブルブルと振動し、時々スイッチを動かされて彰様が僕の嬌声を楽しまれていた。
その誓いの式で使った太いバイブが、歩いている間に少しだけ抜けてしまったらしい。
「あがぁ・・・っ。うぐっ・・・、ぐっ・・・、うぐっぅううう~~~っ」
強引に押し戻そうとする彰様を補助する為、僕は尻穴を拡張させようと脚を開いていった。
こんなに痛いのに、本当に気持ちが良くて堪らない。
もう何度もコレを使われており、引き抜かれ、押し込まれての調教の成果で、難なく半分以上を収めてしまう。
やがて、バイブの底に付けてある引き抜き用リングだけを残して、僕の尻穴に埋まってしまった。
「ぎぃひいいいい~~~っ。ひいぃぎゃっ、あぎゃぃいいい~~~! あぐ、あっ、あぐぅ~~~」
涎を垂らし、快感を伝えるように彰様を見つめた僕に、彼は嗤って深い口付けを与えて下さるのだった。
乳首を飾るピアスを摘んでは、ギリっと強く捻って放す、を繰り返されていく。
(んんんんぐう~~~っ、・・・んんっ、ふんむぅうう~~っ)
ついでとばかりに錘まで引っ張って遊び始めた彰様が、口付けと痛みの嬉しさで涙する僕の瞳に映っていた。
自分の犬を構って愉しそうに微笑む彰様の姿を、ご家族3人が窓ガラス越しに立って頷き合っている。
そのことが飼い犬としての存在意義と、この家に迎えられた事実を教えてくれていた。
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