「囚われし者】 初出-2009.08.22

夫婦である二人は、互いに囚われて生きている。


ショッピングカートを押して広いスーパーの中を進んでいた。
火照った身体のせいで額には汗がビッショリ浮かび、前方が良く見えない。
涙が出ている気がして慌てて片手を右目に当てると指先で拭っていく。
私のこの見っともない姿を、誰もが嘲笑って見ているような気がしていた。
セーラー服であることに加えて、短く整えたスカート丈は膝上15㎝。
あぁ、こんなに辛いのに、どうして私の身体は悦びに震えているのだろう 。
彼が躾けの一貫だとネットで購入したのは現役女子高生の制服だった。
ここへ来る直前に手渡されて呆然と見つめるしか出来なかった。
拒否する言葉も、拒絶する態度も何も取らない私は、彼に全てを囚われていたのだ。

彼は自ら制服を着せようして、ゆっくりと私に近付いて来た。
慌てて後ろに後ずさったけれど壁にぶつかり逃げ出せなかった。
彼の命令だから着ることは構わなかった。でも着せてもらうなんて恥ずかしすぎる。
羞恥を堪えて自分で着るからと服を受け取った。
彼は面白そうな顔で、オタオタしながら制服を着ていく様子を眺めている。
見ないで、小さく呟いたのを聞きとがめたのか、折角結んだスカーフを外されてしまった。
「やだ、何を 。・・・いっ、いたっ。ひっ、ひいぃぃいいいいいい~~~~」
ブラジャーをずらし、左の乳房をむんずと掴み出すと乳首を貫いている金の環を摘んで強く引っ張られたのだ。
「ひいいいっ、いひぃっ、いやぁ~! ひいいいい~~っ。やぁだっ、いたいっ、 いやあぁ~~~。・・・ご、ごめん、 な、さいぃいっ。ゆ、許し、てぇええ~~っ」
何度も何度も強く引っ張られてしまった。
痛くて痛くて、必死に懇願を繰り返すしかなかった。

「ふん、気持ちいいクセに。コッチも虐めて欲しいだろう?」
彼が左の環を捩じりながら、もう片方の乳房もブラジャーから出そうと指を伸ばしてくる。
「ぃやぁあああ~~っ。許してっ、許して、許してぇええ~~っ。・・・あぁ、あぁ~、お願い、お願いっ、ちぎれちゃう、ちぎれちゃうよぉおおおお~~~」
「はっ、千切れるかよ。お前のこれ、淫乱乳首、びろびろじゃねえか!」
そう言って、引っ張られて長く伸びてしまった乳首に舌を這わしていく。
「あは~~ぁ、 はあああんんっ! あんっ、あんっ! ・・・んんっ んん~~っ」
気持ち良くて喘ぐ私を彼は醒めた目で見つめると、指を環から外してしまった。
「さっさと用意しろ。別荘に着くのが遅くなる」
「 ああっ、 はあぁっ、はあ・・・っ・・・。 は、はぃっ 」
濡れている乳首に風が当たって気持ちが良かった。
コクンと頷くと私は震える手でブラジャーの中に乳房を納めていった。

裏地に乳首が擦れてジンっと痺れる。
震える手でスカーフを結び、信じられない丈のスカートを履いた。
黒のハイソックスの上に、彼から常に付けていろと命令されている五連の金の足環を付けていく。
何とか支度を終えた私を一瞥し、彼は玄関へさっさと歩いて行ってしまった。
家中の戸締りを再確認した後、最後に金魚3匹に餌を与えていつものように話し掛けた。
「ゴメンね、三日後の夕方には戻るから」
ツンツンっと水槽を音が出ないように叩くと、彼が待っているだろう玄関に向かった。



短時間で終わらせようと、必死にメモに書かれてあるモノを取ってはカゴに入れていった。
背中にも汗が浮き上がり、セーラー服が張り付いて気持ち悪い。
急いで店を出ようと、全ての品を揃えてレジでお金を支払っていく。
カートのまま外の駐車場に出た私は、彼の車を探して辺りを見回した。
プっ、と近くでクラクションが聞こえたので、合図の方向を振り向いた。
厳しい太陽の光と深緑のコントラストに目を眇めた。
車名を知らない、でも彼のと同じ車を見つけた私はゆっくりとそこへ近寄って行った。

さっきまでの太陽光のせいなのか、ハッキリ顔が見えないけれど、助手席に彼が乗っているのは分かった。
彼は酒屋に行くと言って、このスーパーに私一人を置いて行ってしまったから少し不安だったのだ。
でも、こうして時間通りに迎えに来てもらえたことでホっと胸を撫でおろしていた。
ガタガタと大量の食材の乗ったカートを、彼の座っている車へと押して歩いた。
熱い。熱かった。身体の中心が燃えるようにジンジンと疼いて堪らない。
(誰か、助けてっ)
意識が朦朧として手がカートから離れようとしたその時。
彼の手がガシっとカートを掴まえたのが視界に入って意識がクリアになった。
(ああぁ、やっと。やっと虐めてもらえるっ)
嬉しさで泣き笑いを浮かべる私を無視すると、彼はカートを方向転換して車のトランクへ歩いて行ってしまった。

せっかく買った品物が無造作に移された後、彼はトランクを閉じた。
一度もこっちを見てくれない。ワザと私を無視しているようだった。
これも調教の一つだと言うのだろうか。
そんな彼の態度に悲しみを覚えながらも、私の視線は彼の身体から離れなかった。
不埒であからさまなその視線は、他人が見たら眉を顰めるものに違いない。
男を欲しがり、それだけしか目に入らない最低なオンナだと。
でも、それが偽りない私の本心だった。

焦らすように、彼がカートを決められた場所に戻すよう指示を出してきた。
屑折れそうになりながら、疼く身体を叱咤して私はそれに従った。
(ああぁ~~~~っ。もうっ、もうっ我慢できないぃ~~~!)
車へと戻って来る途中、今まで必死に堪えていたモノが身体の中でうねり、出口を探すように吹き出そうとしていた。
今すぐスカートを捲り上げて指をパンティに突っ込んで弄りたくて堪らなかった。
公衆の面前だろうと構わない。だから・・・ 。
そう考えて実行しそうになった私に、冷ややかな彼の言葉が浴びせられた。
「少しでも俺に恥をかかせるような真似をしたら、素っ裸でホームレスの群れに投げ込んでやるぞ」
確実にそうするだろう彼の性格を思い出して、私は心の中で悲鳴を上げた。
(ひぃいいいいいい~~~~~~。やだ っ、いやぁああ~~~~っ!)
拒否する心と裏腹にまだ身体中が熱く高ぶっていた。
絶対にされたくない仕打ちなのに、心の奥底でそのシチュエーションに惹かれている自分なんて認めたくないのだ。
「いくら否定しようとお前はマゾだ。俺がどんな言動をしようと自分から進んで壊れたがるのが証拠だ」
以前、彼から言われた言葉はずっと心に突き刺さっていた。

ブンブンと首を振って拒否する私を顎で促すと、彼は運転席に回って腰を下ろしてしまった。
置いて行かれないよう 慌てて助手席のドアを開けて中に座った。
自重によって、忘れていた身体の奥に突き刺さっているバイブの大きさと痛みが襲い掛かってくる。
(あぁはぁああああ~~~~っ! いいっ、いいっ。いいよぉおおお~~~~~)
一回でも大声を上げてしまったら、他人が何事かと振り向くだろう。
場合によっては警察を呼んでしまうかもしれなかった。
だから、ここに着いた時から必死に叫びを止めていたのに、もう限界だと身体が囁いてくるのが辛い。
気持ち良かった。この痛みを待っていたの、と叫びたいのに。
自分が腰を振って座席にお尻を押し付けていることに気付かないまま、私は必死に前を見つめていた。

痴女同然の私に彼が横眼で指示を出してきたから、発進し始めた車の中で背筋を伸ばすようにして座り直した。
(あぁはぁ~~っ、あっ、あぁんん~っ! いいっ、いいっ、気持ちいいっ!)
パンティの中に指を突き入れる代わりに座席に何度も座り直すことで、その衝動を抑えようとする。
広いスーパーの駐車場から国道に出て、暫らく無言で走った後で彼が言った。
「公衆の場で俺に恥をかかせようとしたな。お前には仕置きが必要なようだ」
そう言い放つと、私の二つの穴に入っているバイブの出力を最大にしてしまった。
「ひぎゃあああああいぃいいい~~~~っ。はっ、はっ、はがあぁ~~~っ」
自分でイイところを見つけて善がる快感とは段違いのソレが与えられて私は何も考えられなくなってしまった。
「あはっ、はっ、はあっ、あっ、あっ、あっ、・・・んん~~~~~っ! 」
まるでクリトリスを指てギュっと潰されているような痛みが来たかと思えば、尻穴の奥まで突き進むようなむずがゆい、でも気持ちイイ感覚に襲われていく。
「はっ、はぎぃいい~~~~っ。イイっ、イイっ、いやぁ、いやっ、だめっ、イっちゃ、イっちゃうぅ~~っ、イっちゃうのぉおお~~~~~」
車内で二人きり。その安心感に、イクことしか考えられない私はひたすら喘ぎ続けた。
躾けられた身体は彼の言動に従い、時にはそれに逆らってまで自分の欲を満たそうとするのだ。

あともう少しでイケる、そう思ったのに。
「そう悦ばれると仕置きにならんな」
マゾはこれだから嫌だ、と呟いた彼にパチっとスイッチが切られてしまった。
「いっ、いぃやあぁあああ~~~っ。ああっ、あぅうう・・・。ど、どうして、どうし・・・。あぁ、い、 いやぁああああ~~~~」
さっきまで存分に中をかき回してくれたモノが止まってしまい、熱く高ぶる身体だけが置き去りにされてしまう。
(もうすぐイケそうだったのにぃいいい~~~っ)
「 ・・・・・・ったく、ふざけるなよ 」
何故怒っているのか、何がいけなかったのか。
どんなに懇願しても、その後、彼は一度もスイッチを入れてはくれなかった。



ビル群が遠くに消えると、ようやく車は郊外に出て順調に進み始めた。
途中まで渋滞に引っ掛かっていたものの、この先は大丈夫だとラジオで流れている。
身体の疼きが一時的に静まり、思考も何とか元に戻っていた。
(今日買った食材で、明後日まで持たせなきゃ)
購入したのは殆どがレトルト食品だった。後はパンと卵にハム。野菜が少々。
調味料にコーヒー、ゴミ袋が三種類。水のペットボトルが10本ほど。
週末毎に二人で別荘を訪れては、彼の調教を受けていた。
今回は、彼の仕事の都合で三週間も籠もることになる為、胸がずっとドキドキしていた。
(はぁぅっ・・・。久しぶりに彼にたっぷり虐めてもらえるんだわ)
今、二つの穴を塞いでいる玩具は静まっている。
前回のスーパーのように痴女になって彼から叱られることもなくここまで来ていた。
最初の頃の辛い調教も、今では慣れたせいか、すぐに快楽に変わると身体の芯から熱く高ぶらせる要素になっていた。
何より、別荘では普段よりも彼と長く一緒にいられるのだから不満などある筈がなかった。

たとえ、彼がどんな理由で私を調教していようと構わない。今はそう思っているのだ。
真の望みが、私を完全に支配して飼育し、最終的に破壊することであろうとも。
そう、私は彼が命じるままに大歓迎で足を開いてみせよう。
家でのセックスでは満足出来ないほど、私の身体は彼からの陵辱を待っているのだから。
どんな卑猥な言葉であっても口にするだろう。
私が本当に望むもの。
彼の心を求める言葉以外は 。


私は現在19歳、数ヶ月後に20歳になる。
無言で隣に座っている彼は、私の夫で46歳だ。
夫は、私の母の昔の恋人だった。
恋人である母が、自分の親友であった父に惹かれて別れを告げられたという。
それでも友人同士に変わりはない、とフラれた後も両親と親しい付き合いを続けていた。
一月に一度は必ず家に遊びに来ており、幼い私を構ってくれたのを覚えている。
優しい彼を私は大好きで、訊ねて来るのをいつも待ち侘びていたほどだ。
私の5歳の誕生日も、彼はお祝いのプレゼントを持って来てくれた。
大喜びした私は、招かれるままに膝に飛び乗った。
父と同じ煙草の臭いが私の鼻をくすぐり、臭いよとワザと鼻を摘んで抗議したことは懐かしい思い出の一つだった。

優しく微笑む彼の笑顔と臭いに安心したのだろう。あの後、私は腕や膝に凭れて眠ってしまった。
そんな眠る私の姿を写真に撮り、三人で私をからかい合う。
いつ見ても仲の良い両親達を見るのが嬉しかった。
彼は自分に甘くて優しい、第二のお父さん。そう思っていたからだ。

私が8歳になって三ヶ月後、両親が無実の罪(会社の金を横領)でクビになってしまったと聞かされた。
意味が分からなくても不穏な空気を感じていた。でもオロオロするしか私には出来なかった。
「全て上手く取り計らってみせるよ、任せてくれ」
親友だろう、と彼が両親に話している場面に遭遇した私は胸をホっと撫で下ろしていた。
何をどうするのか分からなくても、この人に任せていれば安心だ、と本気でそう信じられたからだ。
でも、それから暫くして家を訪れた彼は、色々と手を回して必死に弁護したけれど無実の訴えは聞いてもらえなかったと告げたのだった。
クビの撤回は叶わない。申し訳ない、と頭を下げながら。

絶望し悲嘆にくれる両親に、彼が一つの解決策を打診してくれた。
「俺の会社に来ればいい」
無駄に日々を過ごしてどうする、と当たり前のように誘ってくれたのだ。
恐縮する両親に首を振ると、少しだけ申し訳なさそうにこう言った。
「実は国内じゃないんだ。隣国に新しく立ち上げた会社に欠員がある」
そう聞いて、私を同行するべきか両親は悩み始めた。
このままじゃ自分のせいで仕事がなくなってしまう。そう考えた私は、叔母さんの家で頑張ると二人に請合った。
再起を図りたい両親の邪魔をしちゃいけないのは分かったし、かといって外国は何となく怖くて行きたくなかったのだ。

最後まで心配そうな両親に笑って手を振り、渡航する二人を見送った。
まさか、その船が事故を起こして両親が死んでしまうなんて誰が思うだろうか。

独りになった私の元にやって来た彼は、優しくこう言ってくれた。
「俺の家で暮らそう」
このまま親戚の家で暮らすのはツライだろうから、と。
確かに一緒に暮らしている親戚には中学生と高校生がいて、それぞれ受験前で家族中が殺気立っていた。
時々、勉強に疲れてイライラしている二人に暴言を浴びせられていた。
いつか引き取られて居なくなる居候が、ずっとこのまま居続ける可能性が出て来て腹が立っているのだろう。
親戚だからと助けてくれた人達も、さすがに同情だけで何とか出来る感情じゃないのは私が一番分かっていた。
戸惑い、恐縮しながらも彼の自宅で暮らすことに同意したのは、その当時だと自然の流れに思えた。
「洗濯、掃除は任せて。料理は、・・・頑張る! 」
明るく宣言した私を、
「馬鹿だな。強がるな」
彼は胸に引き寄せて腕の中に閉じ込めるように抱き締めてくれた。
その瞬間、蓋をしていた何かが溢れ出した私は、思わず泣きじゃくってしまった。
彼は何も言わず、膝に乗せたまま背をゆっくりと大きな掌で撫でてくれたのだった。


彼が、いつから私をそんな目で見ていたのかは知らない。
けれど、私は自分でも気付かないうちに、彼の調教を受けていたようだ。
毎日、出掛ける時に頬にキス。帰ってきたらお帰りのキス。
お風呂も一緒に入ろうと、毎日彼が戻るのを待つように言われてしまう。
膝に乗せられ、可愛いと頬にキスを受けて、いつしかそれが当たり前になっていた。
10歳を過ぎた時、お風呂に一緒に入るのは恥ずかしい、やめたい、と小さな声でお願いしてみた。
クラスメイトの誰もが一人でお風呂に入っていると知ったからだ。

やめたい、その言葉が空気に溶けた後、そっと彼の表情を伺ってみた。
優しい彼だから、きっと笑顔で頷いてくれると信じて。
なのに、視線の先には初めて見る無表情の彼。
無言なのが何故か怖くて、私は怯えて後ずさった。
それが拙かったのだろうか。
私の腕をガシっと掴むと身体を勢いよく引っ張ってくる。
ドンっと彼のお腹にぶつかり、一瞬息が出来なくなった。
ケホ、ケホっと咳き込む私を、クルっと回して抱え直していく強い腕。
私の足を体育座りに調整すると膝に乗せてしまった。

彼に買ってもらった綺麗なピンクのトレーナー。
その裾から太くて冷たい指が入り込んできて、私の小さな胸がギュムっ、ギュムっと揉まれていく。
「ひっ、 ひぎいぃいいいぃ~~~っ」
一体何が起こったのか。
激痛と恐怖に襲われた私は、がむしゃらに彼の腕から指から逃れようと足掻いた。
けれどピクリとも動揺しない彼が怖くて怖くて。
「いやぁ! いやああああ~~~っ!」
泣き叫ぶ私を無言のまま床に押さえつけると、最初の陵辱を与えていった。

あれから10年近くが経っていた。
私はずっと彼の家に囚われ続け、調教、飼育されている。
16歳になると同時に役所に書類を出されて、私は彼の妻となっていた。

何か事が起こっても、ただの夫婦喧嘩だと矛を収めるつもりなのだろう。
警察にも誰にも助けを求めないように手を打ったに違いなかった。
けれども、私には逃げる勇気も意志も無かった。
衣食住、全て彼に依存して生きてきたのだから。
中学で学業は終わりだと彼が宣言し、高校には行っていなかった。
「学校で痴態を晒して変態扱いされたいのか」
その言葉に反論出来るはずもない。
毎日の調教の成果で、すでに当時の私は彼のモノが入っていないと絶えず身体が疼きに襲われ、喘ぎ続けるオンナになっていた。
みっともなく哀願を繰り返し、太くて長い玩具を埋めてちょうだいと、ちんぽで慰めてもらわないと生きていけないと、訴える変態に成り下がっていたのだ。
それを自覚しているからこそ、書類に印鑑を押すのに躊躇いはなかった。

結局、彼の言うとおり玩具として生きていくしかないのだろう。
今も大量に塗られた潤滑剤によって、彼の大きなちんぽを受け入れて喘いでいるのだから。
「あはああんんっ! あはっ、あは~~ぁ~~っ。・・・はぅううっ、うんぐぅっ・・・。んんぅ、んっ・・・ 」
尻マンコになった場所を何度も何度も貫かれて巨大な竿を抜き出されていた。
太い指が淫靡に私のマンコとクリトリスを弄くり回しては、快感に揺れる痴態を愉しんでいる。
いつ誰が訪ねてくるのか分からない家と違って、ここでは二人とも野獣になれるのだ。
会社での副社長という立場と、圧し掛かるストレスの発散として身体を使われ嬲られている私は彼の玩具でしかない。
それでもよかった。
(だって、彼はまだ私に優しくしてくれる時があるもの)
いつか、使えない玩具だと捨てられるとしても それでも構わない。
そっと目を伏せ、彼の指に自分の指を絡めて、私は被虐の海に自ら飛び込んでいった。



穏やかな顔で眠る妻、リリィ。
絶頂を迎えると顔を真っ赤にして、恍惚の表情でイったその卑猥さ。
口の端から涎を溢しながら舌を出して俺に哀願すると、魅せつけるように腰を振った可愛い玩具。
それなのに。こんなに追い込んで淫乱なオモチャにしたというのに。
全てを剥ぎ取った、本当の少女の姿がここにあった。

俺の愛情を拒み、別の男を選んだ女の娘。
親友が俺から奪った女に産ませた娘。
二重の意味で俺を苦しめる存在。
徹底的に陵辱し、精神を壊して俺の性具に貶めてやると誓った筈だった。
それなのに 。

手酷く犯し続けて俺に縛り付けはしたものの、精神崩壊する程の調教は出来なかった。
幼かった頃の少女の表情が、仕草が、俺を慕って伸ばされた小さな指が思い出されて。
予想外に順調に進む調教。
けれど、彼女は何処かでまだ俺を慕っているようだった。
極まれに見せる、はにかんだ表情。
苦しげな中でも俺に手を伸ばし、必死に縋ってくる。
痛みを、苦しみを与えている筈のこの俺に 。

少女を見つめながら、もう何度も繰り返したことを自分に言い聞かせた。
焦る事はない。そう、焦る事はないんだ。
時間ならたっぷりある。邪魔者はもう誰もいない。
「必ず、俺をコケにした女そっくりの少女を、俺を裏切った男の娘を壊してやる」
自分の心を奮い立たせるよう呟いていた。

俺の中の獣を起こすことは、今しばらくはないだろう。
そう、今はまだ眠るといい。
ほんの束の間の平穏を貪っている、この今だけは 。
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