泥の底に沈む身体を(弐) 初出:2014.07.03ブログサイト「月の芳香」
主人の飼い犬となって数年が過ぎていた。
あれから、私は三年生に進学することなく高校を退学していた。
理由は単純で、主人のことをずっと想って過ごすのに、学校という場所は合わないということだ。
登校する間は友達との朝の挨拶が入って邪魔だし、授業中や放課後、そして帰宅時間と、大切な主人を想うのを中断させる不快な音が周囲に多過ぎるのだ。
主人は、私のこの身体を気に入って下さり、妻であった母を捨ててしまった。
瑣末なことで苛々した気持ちを引きずる訳にはいかない。その影響が身体に反映しては堪らなかった。
もしかしたら、この先、学問が必要になるかも知れないけれど、せめて今だけは主人のことだけを考えていたい。
そう本心を伝えると、
「由利香が望むのなら、まあいいだろう」
思った以上にあっさりと許可をもらえたのだ。
嬉しさに、私は太い楔に貫かれながら微笑んだのを覚えている。
かつて私の義父であり、現在の飼い主である主人は、あと一年で会社を辞めて悠々自適の生活へと移ることになっていた。
定年にはまだ十年以上残っているけれど、株など多くの資産を持っているという。
おかげで、いつでも会社は辞められる、と笑っていた。
私を飼うことになった次の週には新たな家として、新築の高層マンションを購入された。
以前の家は二束三文で売り払われ、私たちがそこを訪れることは二度とないだろう。
今、私は牝犬の一歩手前、仔犬として主人に飼われていた。
何が足りないのか分からないけれど、主人は常に私を可愛い仔犬としか呼んでくれないのだ。
飼い犬として誓約してから数年が経ち、高校は中退、大学も受験しなかった私は、最近になって将来に不安を覚え始めている。
確かに主人には財産があった。
私を飼い続けるのに苦労しないという言葉は本当だろう。
でも、やっぱりそれに寄り掛かってはマズイ気がしてきたのだ。
「就職? 由利香は牝犬になる調教中だろう。会社で働いている暇はない。私の退職後は、その身体を毎日たっぷり虐めて遊ぶ予定だしな」
動くことさえ出来ないほど使用するのに仕事など出来るのか、と主人が笑った。
絶倫の主人に付き合うのがどんなに大変か、今でも恐ろしく感じているのに、そんな怖いことを言わないで欲しかった。
そう思うのに、その嬉しそうな笑みに私の身体はズクズクと疼き始めてしまう。
主人に捕らわれ、泥の中へと踏み込んでしまった。あの瞬間から全ては決まっていたに違いない。
この身体は痛みさえ快楽に変えて、自ら底へと向かって突き進んでいるのだから。
セックス三昧の私たちの家を他人である家政婦に掃除してもらうことが恥ずかしくて、主人に頼んで料理ほか全てを自らの手で行っていた。
母に料理を任せっきりだったから、初めは下手だったけれど、ようやく少しだけマシになってきた気がする。
時々ではあったが、主人が「美味いな」と褒めてくれることがあるのも嬉しい。
好きな人に飼われる現実は私の心を穏やかに保っていた。
母も親戚も、友達ですら必要ないほどに。
伸ばされる掌の熱さ。絡み取られ、嬲られていく舌。
幸せだと涙が零れそうになる毎日が続いていた。
一つ困っているのは、主人の性欲が強過ぎることだろうか。
ハッキリキッパリ絶倫な主人に付いていくのは大変で、疲労感が消えることは滅多になかった。
ベッドに押し倒され、貫かれて、その激しい性交を悦びつつも怯えているのだ。
これで主人が退職したら、私の身体は一月後には壊れてしまうんじゃないかと。
今だって必死に付いていっているけれど、実は朝から晩まで身体を弄られている訳ではなかった。
当然なことに、主人には平日は仕事があるし、土曜日だって午前中は出社なさっている。
日曜日も月に二度は必ず接待ゴルフに出掛けていた。
平日は仕事先の方々との外食も多くて、私がお相手する時間は短い。
だから、土曜日と日曜日が完全な連休になったり、長い休みが来る度に嬉しさ半分、恐怖半分で身体を震わせていた。
日中のみならず深夜まで絶えず身体を弄られ嬲られるのだから。
勿論、大好きな主人に使われることは、とても嬉しいことだ。
本気でそう思っているけれど、休憩があまりにも短いと主人に付いて行くことが辛くなるのだ。
そんな私を主人は強引に引寄せて貫いてくるから、悦びの涙と嬌声を上げながらも、もう少し手加減して欲しいと切に願っていた。
▲
買ってきた野菜などを冷蔵庫へ入れ終えた私は、廊下の突き当たりにある扉を開けて中に入った。
ここは私の衣装部屋として用意されていた。
外出用からパジャマ、下着の類まで全て主人が選んで下さったものだ。
壁一面に取り付けられた大きな鏡。その前に私は歩いて行った。
自分の姿を鏡に映し、後ろを向いたり横を向いたりしながら全身を確かめた。
どうやら買い物に行く前と何も変わっていないようだ、と安心する。
「まったく、迷惑な男だわ」
さっきのことを思い出した私は、つい言葉で苛立ちを表してしまった。
高校で告白され、一度は交際をOKした男が、偶然か調べたのか不明だけれど、買い物中の私の腕を引っ張ると狭い脇道に押し込んだのだ。
「もう一度、付き合ってくれ」
そう言われて、正直呆れてしまった。
あれから何年が経っているのか分かっているのだろうか。
もう一度もなにも、一回も、いや、一時間も付き合っていないのだ。
告白された日に、家まで送ってくれた僅か二十分が相手と二人きりになった時間であり、碌に話もしなかった。
「ごめんなさい。でも、そんな気はないの」
何度も同じ言葉を繰り返して、私は男の腕を振り払って逃げ帰って来ていた。
鏡の中の自分をジっと眺めながら、早く忘れようと暗示を掛けていたのに。
次から次へと不快な情景が思い出されてくる。
首筋に男の息を掛けられたこと、掴まれた手首や腕に相手の汗や唾が飛び散り、気持ち悪く感じたことなどを。
今更ながらにゾっとした私は、急いでその場所を消毒しようと引き出しから薬箱を取り出した。
コットンと消毒液を手に取ると何度も何度も汚れた箇所を消毒し続ける。
(あぁ、もうっ。気持ち悪いったら)
主人以外の男の傍に居た事実さえ消してしまいたかった。
その一心で、洋服を脱ぎ捨て、パンティも靴下も床へと無造作に脱ぎ落としていく。
鏡に視線をやり、形良く整った乳房や、ポッチリと勃った乳首、そこに巻かれた媚薬入りのリボンを確認する。
主人に毎日嬲られる乳首は、多少は伸びたものの、指で掴み易い長さにはなっていなかった。
優しい主人は時間を掛けようと言って下さり、謝る私にこの媚薬入りのリボンをプレゼントしてくれていた。
(大好きです、ご主人さま)
手ずからリボンを巻いて下さる時の笑顔を思い出しながら、私は床に散らばった洋服と下着を抱えると、今度は浴室へと向かった。
あの男の気配を消し去るにはシャワーを浴びるしかないと分かっていたからだ。
浴室の隣にある洗面所兼洗濯場に入り、手に抱えていたものを洗濯機の中へと放り投げる。
(捨てたいけど、せっかくご主人さまが下さった服だから・・・)
全自動のスイッチを押し、洗濯機が回り出したのを確認してから、洗面台の前に用意された椅子に座った。
髪を後ろでまとめているリボンと紐を一気に引き抜き、髪の毛が付いていないのを確認して専用の小箱へ入れた。
綺麗なリボンも、鮮やかで高級な糸で織られた紐も、主人が私に与えてくれたプレゼントだ。
外出する時は、以前のように後ろで髪を一つにまとめ、出来るだけ幼く見せている。
飼い犬となって、自分でも信じられないほどに身体の方は成熟し続けており、表情にさえそれが出ていると、主人が教えてくれていた。
魅力があるなんて思わないけれど、それでも淫蕩な気配を感じ取れる男を自ら引き寄せたくはなくて。
(私の身も心も、全てはご主人さまだけのもの)
洋服だって、髪に付けるリボンや紐の色にも気を配って暗いモノにしているのに。
数年前の私を知る人にもバレないように無表情で俯いて歩いていた筈なのに、何故、あの男は気付いたのだろうか。
(ほんとうにムカツク男だわ)
あのまま捕まっていたら、主人の帰宅時間までに買い物も食事の仕度も、浴槽の準備も整わなかったに違いない。
自分から家政婦にもなると誓ったのだ。
それを破ることになったら、きっと主人は私を叱るだろう。
もし、仕事で普段より疲れていたら、怒りで私を捨ててしまうかも知れない。
他人の気持ちなんて風のようなもので、気分次第で方向が変わるのだ。
仔犬と呼んで可愛がってくれていても次の瞬間に突き飛ばされる可能性はゼロじゃないのだから。
私はそれが何よりも怖くて、急いで戻って来たのだった。
ガチっ、ガチャ、ガチャリっ。
いつもとほぼ同じ時間に主人が扉を開けて玄関へと入って来た。
「お帰りなさいませ。ご主人さま」
フリルのエプロンだけを身に着けた私は、主人から鞄を受取ると、それを持って居間へと向かった。
急いで壁一面に作られた棚の一つに鞄を置くと、小走りに玄関へと戻る。
主人はもう靴を脱ぎ、時計とネクタイを外してサイドテーブルの上の専用ケースに乗せていた。
私がそのケースを両手で持つ間に背広を脱いだ主人は、それを無造作に片手に持ったまま少し屈むと私の唇を奪って来た。
くちゅり。ちゅっ、ちゅぶっ。
ぬちゅっ、ちゅっ、ぬちゅり。ぬちゅっ、ちゅっ、ちゅっ。
濡れた音が玄関に響いて恥ずかしいけれど、嬉しくてもっと欲しいと主人の舌を絡め取った。
「ふぅ~~んんっ、んっ。・・・はっ、あぁっ、・・・んん~~っ、んっ、・・・んっ」
ぬちゅりっ、ちゅっ、ちゅぶっ。
上唇を軽く咥えた後、主人の唇はあっさりと離れていった。
いつまでも続けていたい、そんな私の願いは叶わず、はぁ~と暫らく余韻に浸ってしまう。
すぐにハっと気付いて、慌てて主人の後姿を追って走った。
普段ならば長椅子に腰掛けてゆったりなさる筈なのに、主人は台所へと入って行く。
何をするのだろうと見ていると、作っている途中の鍋の火を消しているようだった。
「ご、ご主人さま?」
台所に入ることさえ滅多にない方だったから、私は驚いて近くへと寄って行った。
(何か嫌いな食材でも入っていたのかしら)
嫌な臭いがして火を止めたのかも、と主人を見上げていると、
「明日はお前の誕生日だろう? 会社でそのことに気付いて休暇を取った。急だから普通の山荘だがな」
構わんだろう、と私の腰を抱き寄せて主人がニヤっと笑った。
密着する腰、太腿。それに身体が反応し、玄関でズクズクと疼いていた秘所が更に強く疼き始める。
大きな掌がエプロンの上を這い出すと、より一層の興奮に顔が真っ赤になっていった。
驚きと嬉しさに何も言えない間に、その掌はエプロンを払い除け素肌のままの秘所へと到達した。
ぬちゅっ。ぐちゅっ、ちゅぶっ。
くちゅっ、ちゅぶりっ、くちゅくちゅっ。
「いい仔だ、ちゃんと濡れているな。・・・自分で濡らしたのか、それとも玩具か?」
楽しそうに尋ねられて、私は真っ赤な頬を隠すように小声で答えた。
「オ、オナニーです、ご主人さまぁっ」
恥ずかしいけれど気持ち良過ぎて今にも腰が屑折れそうだった。
ぬちゅぬちゅっ。ぶちゅっ、ちゅっ、くちゅちゅっ。
今夜から予約を取ったという主人に急かされて、秘所を弄られながら私は玄関へと移動することになった。
「洪水だな。ほら、・・・こうやって二本目を入れても」
言葉の通り、中指に加えて人差し指も秘所へと入って来た。
ぬぷっ、と奥に突き進むと同時に私の濡れ濡れの場所が掻き回されていく。
「ひゅぎぃいいいいい~~っ。ひっ、あぎっ、ひ、ひっ、ひんっ!」
ずぶっ、ぐちゅぐちゅっ。
ぬぱ~~っ、ちゅぶっ、ずぶっ、ぐちゅぐちゅぐちゅ。
卑猥な音に目眩がして、興奮している身体の動きと連動し立っていられなくなった。
身体がずるっと落ちた瞬間、
「あぎぃいいいいいいいいいいいいいいいい~~~~っ! ぎっ、ぎひっ、ひっ、ひぎぃいいいいいっ、ぎぃいい~~っ」
「良い声だ。あぁ、そんなに悦んで。可愛いな、由利香は。・・・ふっ、そんなにここで私の指を喰いたかったのか」
ぐちゅぐちゅぐちゅ。
ぬぷっ、ずぶっ、ぐちゅぐちゅぐちゅ。
体重を主人の指二本に掛けてしまった私は、痛みを快感に変えるまでの間、必死に主人へと縋り付いた。
「まったく、お前は本当に可愛いな。今夜は朝が来るまで欲しいだけ可愛がってやろうな」
「・・・ぁっ、・・・は、はい、ご、ご主人、さ、まぁ。・・・ひっ、ひんっ、・・・あっ、あぁ~っ。いぃっ、いいのおぉおお~~~~っ」
主人が私の腰を持ち上げるようにご自分の身体を使って押してくれたけれど、その上下運動が逆に私を被虐へと連れて行ってしまう。
ぬぷっ、ずぷっ、ずぶぶっ、と指を何度も引き出しては押し込まれて、大事な返事をするのがやっとだった。
ぼろぼろ零れる涙は、もう痛みではなく快感のそれであって、体内にある指の存在に意識が集中してしまう。
かなりの時間を掛けて玄関に辿り着くと、主人は一度私の秘所から指を抜き出して、その汚れた指を私に清めさせた。
それから私をそこへ立たせたままで自室へ向かうと、すぐに戻って来られた。
ズボンに合うジャケットを着て、小ぶりのアタッシュケースを持っていた。
「由利香はそのままで構わんぞ。誕生日祝いに、明日の午後は外で露出調教してやろう」
「は、はい・・・」
お礼の言葉を忘れたことに気付いたけれど、もう次の言葉が私の耳に届いてしまった。
「・・・そうだな、ついでに後ろの穴も本格的に調教するか。いつでも使えるようになりたいだろう?」
サイドテーブルの上から時計を掴むと、腕に巻きながら主人が私へと問い掛けてきた。
あぁ、どうしてその言葉を拒否出来るだろうか。
「ゆ、由利香は・・・。あ、あのっ、・・・あ・・・う、嬉しいっ、で、す、ご主人さ、まぁ。・・・あ、あっ、あぁああああ~~~~~っ!」
言い終える前に、また恥ずかしい程に濡れている秘所に二本の指がズボっと突き刺さった。
すぐに引き抜かれ、再度勢い良く押し込まれる。
ぐぷっ、ぬちゅぬちゅ。
ちゅっ、ぐちゅりっ。ぬちゃぬちゃ。
「さて、行くとしよう」
朦朧とする意識を指の出し入れで引き戻され、秘所を掻き回されたまま玄関の鍵を締めた。
主人はカード鍵を器用に片手で内ポケットに入れると、私の背中を押してエレベーターホールへと歩き出したのだった。
▲
駐車場でエレベーターを降りると、一度も指を外すことのない主人に必死に付いて歩いた。
時折、強く指で押し上げられて悲鳴を上げてしまう。
その度に、嬉しそうに主人が微笑んでくれるのが分かった。
誰かに見られたら恥ずかしくて死んでしまいそうな状況なのに。
どうしてこの胸は興奮と安堵に満たされているのだろう。
さすがに車に乗り込む際には指が外されたけれど、運転席に座った主人がアタッシュケースを開き、棒状の玩具を取り出して無言でそれを渡して来られた。
それをどうすればいいのか、問わなくても知っていたから。
私はゴクっと唾を飲み込みながら、秘所へとそれを押し込んでいく。
入れながら脚を大胆に開いて、
「あぁ、み、見てぇっ、ご主人さ、まぁ~~」
ずぶっ、ずぶずぶずぶっ。
激しく濡れている場所はあっさりとそれを飲み込んでしまう。
ツマミ部分の金属の輪だけを残し、私は棒玩具から手を放した。
主人の半分もない大きさだけれど、異物が秘所を占領している、その現実が私の胸を高ぶらせた。
「しゃぶりなさい」
主人の命令に小さく頷いた私は、唇を震わせながら大好きなモノへと顔を落としていった。
暗い道のりを車は進んで行った。
対向車すら滅多にないようで、静かな外と対照的に車内は私の出す卑猥な音が溢れていた。
そう、出発した時からずっと主人の膨張したモノを咥えているのだ。
一度だけ休憩を取り、凶暴に膨れたそれを秘所に突き入れてもらっていた。
口付けを受けながら膣内に射精されると、嬉しさと気持ち良さに吐き出せない想いを必死に叫んだ。
(イイっ、イイのぉおおおおお~~~!)
それからまた運転を再開した主人のモノを咥えさせてもらった。
大きく膨らみドクドクと動くそれが愛しくて喉奥へと押し込んでは少しだけ引き出すのを繰り返した。
秘所に入れ直した玩具の異物感はいつの間にか無くなっていた。
森の奥、人家から遠く離れた場所にある山荘に着き、管理人から鍵を受け取ると、更に奥にあるという別荘へと向かった。
車を停め、アタッシュケースを持った主人が運転席から降りると、私も慌てて助手席から降りた。
「四つん這いだ、由利香。尻の穴を開け」
ボンネットの上にアタッシュケースを置いた主人が、数本の外灯と車のライトを頼りに中から何かを取り出そうとしていた。
それを目の端に映しながら、私は地面へと膝を曲げて落とすと両手を付いた。
エプロンのみの裸体、出掛けに履いてきたサンダルは車の中に落ちて裸足のままだった。
夜風は冷たくて、身体がブルブルと寒さに震え始めている。それなのに。
本物の犬のようにお尻を高く掲げ、主人の目前に恥ずかしい穴を晒している事実にカァ~~っと身体の熱が上がり始めていた。
「これを外すのは明日の午後だ。それまで少しでも中を拡いておくんだ」
ずぶっ。ぐっ、ぐぐっ。ずぶっ、ずぶぶっ。
秘所に入っている玩具よりは小さいのだろう。
すでに何度も拡張されてきた場所だったからか、時間は掛かったけれど全てを中へ入れることが出来たようだ。
「おいで、由利香。お前の誕生日のお祝いを始めよう」
優しい言葉と笑顔に誘わるように、お尻に挿入された玩具の存在を意識したまま、私はフラフラと立ち上がって歩き始めたのだった。
秘所は中出しされた所為でぐちゅぐちゅに濡れまくり、恥音が途切れることなく続いていた。
入ったままの玩具とお尻の穴の玩具とが何とも言えない痛みと疼きを与えてくれて、一歩進むごとに強烈な快感が私を襲ってくる。
「イイ~~~~っ。イイっ、イイよおぉおおおおおおお~~~~っ。・・・はっ、はぁっ、あっ、あんっ、イイっ、イイのっ」
無意識に迸る本音。主人以外誰もいないという環境に、私の正直で浅ましい感情が爆発してしまう。
「やっ、いやぁ~~っ。あ、穴がっ・・・、だめぇ~~~。ゆ、由利香っ、いっちゃ、いっちゃうぅうううううううう~~~~~~っ!」
救いを求めて涙目で前を見つめると、主人が扉に寄り掛かって私を面白そうに見ていた。
「普段以上に感じているようだな。そんなに二穴を塞がれるのが好きなら、もっと太いのを用意してやろう」
主人が何か言葉を発している、それだけしか分からなかった。あまりの気持ち良さに朦朧とする意識を必死に取り戻そうとした。
「好きなだけ感じるといい。だが勝手にイクのは許さん。私を満足させるのがお前の仕事だからな」
大好きな主人が何か私に語り掛けているというのに、この淫乱な身体は今にもイキそうでイケない苦しみに悶え続けていた。
「さあ、そのままイキそうなのを我慢してここへ来い。二泊あるから、たっぷりと虐めてやろう、その尻の穴の奥までな」
正直、よく聞こえなかったけれど、この数年の調教で主人の好む行為を理解していた。
飼い犬は勝手にイクことは許されない。
まずは主人が私の身体を蹂躙し、射精を終えた後でないと許可は与えられない、ということを。
ビクンビクンっと身体を揺らしながら、必死に主人の元へと歩いて行った。
ポタポタと秘所から恥液が、そして涎と汗が地面へと落ちていく音が耳に届いて恥ずかしい。
いや、本当は聞こえていないのだろう。でも、そう感じるのだ。
ずっと、歩くたびに嫌らしい音が静かな周囲に響き渡っている。
(あぁ、欲しいっ。欲しいのっ。由利香の大好きな、ご主人さまのアレが・・・)
早く口いっぱいに咥えたかった。
それから、勿論、濡れている秘所の奥の奥まで貫いて欲しい。
お尻の穴は滅多に使わないから今でも痛みの方が強いし怖いけれど、大好きなご主人さまがそこを気に入っているのを知っていたから。
私の全てを捧げたかった。誕生日だからってご主人さまに何かをしてもらうつもりなんてない。
何でも私が、そう自分から積極的に差し出したいのだ。
「もう飽きた。どこかへ消えろ」
母へ与えられたであろう言葉を聞きたくなかった。
その言葉以上の恐怖なんて私にはないのだから。
▲
夜が明けても繋がった腰は離れることがなかった。
主人の体力に付いていけない私は何度も意識を失っては強引に引き戻されてしまう。
やがて、時計を確認した主人が嘆息し、ようやく動きを止めてくれた。
「仕方ない、少しだけ休ませてやろう」
前夜の休憩時に主人が買っておいてくれた弁当を食べると、私たちは汚れたベッドとは別のベッドに移動した。
横になった私の背後から主人が腰を引き寄せ、太腿を掴んで脚を開かせようとする。
それに気付いた私は、その性欲に感心しながら自ら脚を開いていった。
秘所に指を入れた主人が大胆に掻き回してきて、眠りたいのに興奮に身体が高まってしまう。
くちゅ、くちゅくちゅっ。ぬちゅっ、くちゅりっ。
「あ~~ぁっ、あっ、あっ、はぁ~~んんっ。・・・んっ、あっ、あんっ、ぁ・・・っ・・・」
「由利香、お前のここは弄れば弄るほど私の指に吸い付いてイヤラシイな。ほら、抜こうとすると、・・・嫌がって引き止めようとするのが分かるだろう?」
感じるだろう、と耳元に囁かれ、その卑猥さと行為に背中がビクっと震えてしまう。
「ひんっ、・・・ひっ、ひんっ。んっ、んん~~っ、・・・んっ! ご、ご主人さまぁ~~っ、あっ、ああぁ~~~~っ」
抜けようとした指が再度押し込まれて目の裏がチカチカして堪らなかった。
「もう一度、ここへザーメンをぶち込みたいが、陽が昇っている間に野外調教のプレゼントをやらんとな」
二本目の指が増やされて中を拡張するように粘膜が押し広げられていくのが分かった。
そうして三本目の指が何とか入ったところでようやく主人の動きが止まった。
「・・・さぁ、このまま指を入れておいてやるから眠るといい」
主人の言葉は絶対であり、たとえ他人の指という異物が入ったままでも眠らなければならなかった。
それに、もうずっと前から身体は悲鳴を上げて限界を訴えていたから、私は動かなくなった指に安心するようにすうっと眠りに入っていった。
疲労が溜まっていたのだろう。主人が起きたのは午後三時過ぎだった。
予定より遅くなったことに暫らく眉をひそめていらしたけれど、私は良く眠れて嬉しかった。
備え付けのレンジで買っておいたカレーを温めて昼食を摂った後、二人で一緒に浴室へ向かった。
あまり広くはなかったけれど、互いの身体をくっつけながら洗い合い、空の浴槽に入って交わった。
昨夜からお尻の穴に入ったままの玩具の存在をいつしか忘れており、秘所を勢いよく貫かれて初めて思い出した。
そんな主人から与えられたモノを貪欲に吸収する己が恥ずかしくて頬が真っ赤に染まっていく。
「さぁ、お前の初野外調教だ。たっぷり楽しませてやろう」
唇を奪われ、舌を絡み取られて、粘膜という粘膜をねっとりと舌で撫でられた。
貫いたまま立ち上がった主人に促された私は、悲鳴を上げながら浴槽を跨ぐと、ヨロヨロと玄関へと押し出されるようにして歩いて行った。
「ひゃい~っ、いっ、いひぃいいいい~~~っ。ひっ、ひぁっ、あっ、あっ、あひぃっ、ひっ、ひぎっ、ひぃ~~~~っ」
痛いのに気持ち良くて。動きにくいのに、ずっと繋がっていたかった。
主人の動きに合わせて玄関を抜け出すと、あっちだよ、と促された方向へ二人揃って歩んで行く。
柔らかな草地を選んでくれたのだろうか。そこで突放された私は、主人からの命令に従ってオナニーをして見せた。
乳首を弄り、同時に秘所を自分の指で弄り回して、卑猥で淫乱な姿で楽しんで欲しいと訴えた。
暫らくご覧になっていた主人は、いきなり私の背を押して四つん這いにすると、お尻に入っていた玩具をズズっと一気に引き抜き始める。
ぬぽっと音が聞こえた後、膨張した熱いモノがぽっかり空いたお尻の穴に強引に押し込まれて、想像していなかった私は動揺と恐怖、そして痛みに叫んでしまった。
「ひゃぎぃいいいいいい~~~~っ。ひゃいっ、いひゃいぃいいいいいい~~~~っ」
最初の慣れる間は悲鳴を上げて逃げようとした。
けれども、四つん這いの状態で散歩させらているうちに痛みが快感へと変わっていくのが分かった。
「おうっ、おう、いいぞ。・・・由利香、尻の穴を閉じたり開いたりしてみろ」
「は、はい。あっ、あっ、あぁ、あひっ、・・・はっ、はっ、はあぁああああ~~~~~~っ」
一番感じる秘所とはまた別の妖しい疼きが胸の中に留まっていた。
苦しいのに、早く抜いて欲しいのに、主人が少しでも抜こうという素振りを見せると、私のそこは必死にそれを引き止めようとするのが分かる。
「あぁ、どうし、てぇ~~っ。気持ち、悪いっのにぃいい~~。い、いっ、いやぁあ~~~っ、感じっ、感じちゃうぅのおぉ~~~~っ!」
陽が完全に落ちてからも、お尻の穴で繋がったまま乳首を弄られ、唇を奪われて主人の求めに応じ続けた。
真っ暗になり、さすがに今日の野外調教は終了にしよう、と主人が告げた。
感じてイキそうになるたびに激しく貫かれ、すでに中出しを三回、口の中にザーメンを二回入れてもらっていた。
一度もザーメンをもらっていない秘所は濡れ濡れで、ビクビクと疼き震え続けている。
「由利香、気持ち良かっただろう?」
背後から囁かれて、私はコクっと頷いた。
今までだって何度もお尻を使われたけれど、こんなに感じたのは初めてだった。
「これからは上の口も合わせて三つの穴で私をもっと楽しませることが出来るだろう。・・・勿論、この可愛い乳首や大きく育ってきた乳房でもな」
ズルっ、ズブっ、ズブブっ。
ぬぽっ、とイヤらしい音を立てて、あれだけ出したのに膨張しているモノが引き出されていった。
さぁ、綺麗にしろ、と眼前に差し出されたけれど、私はそれを当然と受け止める牝犬だったから、目を細めて愛しいモノを清めていくのだった。
室内に入ってからも、夜食を摂ることなく調教というセックスが再開された。
まずはシャワーを浴び、身体をさっぱり綺麗にすると、寝室まで我慢出来ずに繋がり合った。
眠くなるとベッドに乗り上げ、身体を弄られながら失神するように眠った。
翌朝、昼から出勤だという主人に起こされて、眠い目を擦ってベッドから下りた。
べた付く身体をシャワーで洗い落とし、ようやく目が覚めて息を吐き出す。
セックス以外なにもしない誕生日だったなぁ、と改めて思った。
嫌な訳じゃなくて、こんなにも求められて嬉しいと感じる反面、主人が退職したら、ずっとこんな毎日なのだ、とちょっと動揺しているのだろう。
歯を磨いてから居間に戻ると、アタッシュケースから主人が白いブラウスを出して渡してくれた。
「さすがに朝は人に見られるとマズイからな」
全裸で動き回ることに慣れてしまい、恥ずかしさすら感じていなかった私は、そこで初めて自分が裸で平気なことに気が付き、慌ててブラウスを受け取ったのだった。
家への帰り道も出来ればご主人さまのモノを咥えていたかった。
でも、車の数が二日前の夜とは違い過ぎて、大人しくしているしかない。
ウズウズしている私を面白そうに見ていた主人が、
「仕方ないやつだ。自分で穴を弄るといい。但し、前だけだ。後ろは我慢しておけ。会社の帰りに昨日より大きな玩具を買ってきてやろう」
野外調教が上手くいったご褒美だ、と主人が笑った。
すぐに運転に集中されて前を向いてしまわれたけれど、嬉しさと恥ずかしさに、
「は・・・ぃ・・・」
小さな声でしか返事出来なかった。
朝起きてからお尻の穴がジクジクと痛んでいる。
酷使した痛みで間違いはないけれど、仄かに疼きを感じていた。
きっと、これからは痛みよりも疼きの方が大きくなるのだろう。
自分の指を下半身へとゆっくり持っていった。
ブラウスしか着ていないから、そこは風がス~っと通るたびに疼いては淫液が溢れ出ていた。
こんな状態で指を動かしたら、恥音が車内に響き渡り、足元に零れ落ちて水溜まりが出来るに違いない。
でも、そんなみっともない姿を、淫乱でどうしようもない飼い犬を主人に見て欲しくて。
私は外から覗かれる可能性を無視するように大胆に脚を開いていった。
▲
あれから、主人は大量の玩具を買っては私に与えてくれている。
今では秘所とお尻の穴の両方に太くて歪な形の玩具を入れて過ごすようになっていた。
外出先では、痛みとそれを凌駕する快感に屑折れそうになることが多かった。
でも気持ちが良くて。とても、とても感じてイキそうになるから。
買ってもらった野暮ったい服を着ては買い物に出掛けていた。
あと数ヶ月で退職する主人は、淫乱さが増した私を調教しやすい場所が必要だと、普通より大きい屋敷とプライベートを守る広い敷地を購入してくれていた。
間もなく内装が終わるという。
私の為に用意された場所。
そう思うだけで引越しするのが楽しみだった。
平気なフリをしていても、初めは泥の中へ自分から入っていくことに恐怖を持っていた。
いいえ、今でも怖いことは間違いじゃない。
それでも、由利香、と優しく呼んでくれる主人から離れられないのだ。
母を捨て、義理とはいえ娘となった私を飼い犬にした悪魔のような人から。
泥の底に沈む身体を、自分から横に倒してもっと奥へと堕としていく。
己に相応しいのは、この澱んで暗い、汚れた場所以外にないのだと。
何も持たない私が唯一差し出せる身体を捧げて、どうか捨てないでと必死に縋っている。
淫乱な身体は、空虚な人形に成り下がった私に残された唯一の生きる糧なのだ。
主人と二人、誰も訪れない屋敷に閉じ篭ろう。
悪魔のような人を私のこの身体で更に闇に堕とす為に。
他には誰もいらない。欲しくない。
際限なく交じり合えば、いつか一つになって解けてしまうかも知れない。
屑折れた二人の身体が泥になって固まり、風によって少しずつ消えていく。
そんな愚かで馬鹿げた物語を私は夢見ていた。
目蓋を閉じたら決して開かなくていい、そんな夢を。
主人の飼い犬となって数年が過ぎていた。
あれから、私は三年生に進学することなく高校を退学していた。
理由は単純で、主人のことをずっと想って過ごすのに、学校という場所は合わないということだ。
登校する間は友達との朝の挨拶が入って邪魔だし、授業中や放課後、そして帰宅時間と、大切な主人を想うのを中断させる不快な音が周囲に多過ぎるのだ。
主人は、私のこの身体を気に入って下さり、妻であった母を捨ててしまった。
瑣末なことで苛々した気持ちを引きずる訳にはいかない。その影響が身体に反映しては堪らなかった。
もしかしたら、この先、学問が必要になるかも知れないけれど、せめて今だけは主人のことだけを考えていたい。
そう本心を伝えると、
「由利香が望むのなら、まあいいだろう」
思った以上にあっさりと許可をもらえたのだ。
嬉しさに、私は太い楔に貫かれながら微笑んだのを覚えている。
かつて私の義父であり、現在の飼い主である主人は、あと一年で会社を辞めて悠々自適の生活へと移ることになっていた。
定年にはまだ十年以上残っているけれど、株など多くの資産を持っているという。
おかげで、いつでも会社は辞められる、と笑っていた。
私を飼うことになった次の週には新たな家として、新築の高層マンションを購入された。
以前の家は二束三文で売り払われ、私たちがそこを訪れることは二度とないだろう。
今、私は牝犬の一歩手前、仔犬として主人に飼われていた。
何が足りないのか分からないけれど、主人は常に私を可愛い仔犬としか呼んでくれないのだ。
飼い犬として誓約してから数年が経ち、高校は中退、大学も受験しなかった私は、最近になって将来に不安を覚え始めている。
確かに主人には財産があった。
私を飼い続けるのに苦労しないという言葉は本当だろう。
でも、やっぱりそれに寄り掛かってはマズイ気がしてきたのだ。
「就職? 由利香は牝犬になる調教中だろう。会社で働いている暇はない。私の退職後は、その身体を毎日たっぷり虐めて遊ぶ予定だしな」
動くことさえ出来ないほど使用するのに仕事など出来るのか、と主人が笑った。
絶倫の主人に付き合うのがどんなに大変か、今でも恐ろしく感じているのに、そんな怖いことを言わないで欲しかった。
そう思うのに、その嬉しそうな笑みに私の身体はズクズクと疼き始めてしまう。
主人に捕らわれ、泥の中へと踏み込んでしまった。あの瞬間から全ては決まっていたに違いない。
この身体は痛みさえ快楽に変えて、自ら底へと向かって突き進んでいるのだから。
セックス三昧の私たちの家を他人である家政婦に掃除してもらうことが恥ずかしくて、主人に頼んで料理ほか全てを自らの手で行っていた。
母に料理を任せっきりだったから、初めは下手だったけれど、ようやく少しだけマシになってきた気がする。
時々ではあったが、主人が「美味いな」と褒めてくれることがあるのも嬉しい。
好きな人に飼われる現実は私の心を穏やかに保っていた。
母も親戚も、友達ですら必要ないほどに。
伸ばされる掌の熱さ。絡み取られ、嬲られていく舌。
幸せだと涙が零れそうになる毎日が続いていた。
一つ困っているのは、主人の性欲が強過ぎることだろうか。
ハッキリキッパリ絶倫な主人に付いていくのは大変で、疲労感が消えることは滅多になかった。
ベッドに押し倒され、貫かれて、その激しい性交を悦びつつも怯えているのだ。
これで主人が退職したら、私の身体は一月後には壊れてしまうんじゃないかと。
今だって必死に付いていっているけれど、実は朝から晩まで身体を弄られている訳ではなかった。
当然なことに、主人には平日は仕事があるし、土曜日だって午前中は出社なさっている。
日曜日も月に二度は必ず接待ゴルフに出掛けていた。
平日は仕事先の方々との外食も多くて、私がお相手する時間は短い。
だから、土曜日と日曜日が完全な連休になったり、長い休みが来る度に嬉しさ半分、恐怖半分で身体を震わせていた。
日中のみならず深夜まで絶えず身体を弄られ嬲られるのだから。
勿論、大好きな主人に使われることは、とても嬉しいことだ。
本気でそう思っているけれど、休憩があまりにも短いと主人に付いて行くことが辛くなるのだ。
そんな私を主人は強引に引寄せて貫いてくるから、悦びの涙と嬌声を上げながらも、もう少し手加減して欲しいと切に願っていた。
▲
買ってきた野菜などを冷蔵庫へ入れ終えた私は、廊下の突き当たりにある扉を開けて中に入った。
ここは私の衣装部屋として用意されていた。
外出用からパジャマ、下着の類まで全て主人が選んで下さったものだ。
壁一面に取り付けられた大きな鏡。その前に私は歩いて行った。
自分の姿を鏡に映し、後ろを向いたり横を向いたりしながら全身を確かめた。
どうやら買い物に行く前と何も変わっていないようだ、と安心する。
「まったく、迷惑な男だわ」
さっきのことを思い出した私は、つい言葉で苛立ちを表してしまった。
高校で告白され、一度は交際をOKした男が、偶然か調べたのか不明だけれど、買い物中の私の腕を引っ張ると狭い脇道に押し込んだのだ。
「もう一度、付き合ってくれ」
そう言われて、正直呆れてしまった。
あれから何年が経っているのか分かっているのだろうか。
もう一度もなにも、一回も、いや、一時間も付き合っていないのだ。
告白された日に、家まで送ってくれた僅か二十分が相手と二人きりになった時間であり、碌に話もしなかった。
「ごめんなさい。でも、そんな気はないの」
何度も同じ言葉を繰り返して、私は男の腕を振り払って逃げ帰って来ていた。
鏡の中の自分をジっと眺めながら、早く忘れようと暗示を掛けていたのに。
次から次へと不快な情景が思い出されてくる。
首筋に男の息を掛けられたこと、掴まれた手首や腕に相手の汗や唾が飛び散り、気持ち悪く感じたことなどを。
今更ながらにゾっとした私は、急いでその場所を消毒しようと引き出しから薬箱を取り出した。
コットンと消毒液を手に取ると何度も何度も汚れた箇所を消毒し続ける。
(あぁ、もうっ。気持ち悪いったら)
主人以外の男の傍に居た事実さえ消してしまいたかった。
その一心で、洋服を脱ぎ捨て、パンティも靴下も床へと無造作に脱ぎ落としていく。
鏡に視線をやり、形良く整った乳房や、ポッチリと勃った乳首、そこに巻かれた媚薬入りのリボンを確認する。
主人に毎日嬲られる乳首は、多少は伸びたものの、指で掴み易い長さにはなっていなかった。
優しい主人は時間を掛けようと言って下さり、謝る私にこの媚薬入りのリボンをプレゼントしてくれていた。
(大好きです、ご主人さま)
手ずからリボンを巻いて下さる時の笑顔を思い出しながら、私は床に散らばった洋服と下着を抱えると、今度は浴室へと向かった。
あの男の気配を消し去るにはシャワーを浴びるしかないと分かっていたからだ。
浴室の隣にある洗面所兼洗濯場に入り、手に抱えていたものを洗濯機の中へと放り投げる。
(捨てたいけど、せっかくご主人さまが下さった服だから・・・)
全自動のスイッチを押し、洗濯機が回り出したのを確認してから、洗面台の前に用意された椅子に座った。
髪を後ろでまとめているリボンと紐を一気に引き抜き、髪の毛が付いていないのを確認して専用の小箱へ入れた。
綺麗なリボンも、鮮やかで高級な糸で織られた紐も、主人が私に与えてくれたプレゼントだ。
外出する時は、以前のように後ろで髪を一つにまとめ、出来るだけ幼く見せている。
飼い犬となって、自分でも信じられないほどに身体の方は成熟し続けており、表情にさえそれが出ていると、主人が教えてくれていた。
魅力があるなんて思わないけれど、それでも淫蕩な気配を感じ取れる男を自ら引き寄せたくはなくて。
(私の身も心も、全てはご主人さまだけのもの)
洋服だって、髪に付けるリボンや紐の色にも気を配って暗いモノにしているのに。
数年前の私を知る人にもバレないように無表情で俯いて歩いていた筈なのに、何故、あの男は気付いたのだろうか。
(ほんとうにムカツク男だわ)
あのまま捕まっていたら、主人の帰宅時間までに買い物も食事の仕度も、浴槽の準備も整わなかったに違いない。
自分から家政婦にもなると誓ったのだ。
それを破ることになったら、きっと主人は私を叱るだろう。
もし、仕事で普段より疲れていたら、怒りで私を捨ててしまうかも知れない。
他人の気持ちなんて風のようなもので、気分次第で方向が変わるのだ。
仔犬と呼んで可愛がってくれていても次の瞬間に突き飛ばされる可能性はゼロじゃないのだから。
私はそれが何よりも怖くて、急いで戻って来たのだった。
ガチっ、ガチャ、ガチャリっ。
いつもとほぼ同じ時間に主人が扉を開けて玄関へと入って来た。
「お帰りなさいませ。ご主人さま」
フリルのエプロンだけを身に着けた私は、主人から鞄を受取ると、それを持って居間へと向かった。
急いで壁一面に作られた棚の一つに鞄を置くと、小走りに玄関へと戻る。
主人はもう靴を脱ぎ、時計とネクタイを外してサイドテーブルの上の専用ケースに乗せていた。
私がそのケースを両手で持つ間に背広を脱いだ主人は、それを無造作に片手に持ったまま少し屈むと私の唇を奪って来た。
くちゅり。ちゅっ、ちゅぶっ。
ぬちゅっ、ちゅっ、ぬちゅり。ぬちゅっ、ちゅっ、ちゅっ。
濡れた音が玄関に響いて恥ずかしいけれど、嬉しくてもっと欲しいと主人の舌を絡め取った。
「ふぅ~~んんっ、んっ。・・・はっ、あぁっ、・・・んん~~っ、んっ、・・・んっ」
ぬちゅりっ、ちゅっ、ちゅぶっ。
上唇を軽く咥えた後、主人の唇はあっさりと離れていった。
いつまでも続けていたい、そんな私の願いは叶わず、はぁ~と暫らく余韻に浸ってしまう。
すぐにハっと気付いて、慌てて主人の後姿を追って走った。
普段ならば長椅子に腰掛けてゆったりなさる筈なのに、主人は台所へと入って行く。
何をするのだろうと見ていると、作っている途中の鍋の火を消しているようだった。
「ご、ご主人さま?」
台所に入ることさえ滅多にない方だったから、私は驚いて近くへと寄って行った。
(何か嫌いな食材でも入っていたのかしら)
嫌な臭いがして火を止めたのかも、と主人を見上げていると、
「明日はお前の誕生日だろう? 会社でそのことに気付いて休暇を取った。急だから普通の山荘だがな」
構わんだろう、と私の腰を抱き寄せて主人がニヤっと笑った。
密着する腰、太腿。それに身体が反応し、玄関でズクズクと疼いていた秘所が更に強く疼き始める。
大きな掌がエプロンの上を這い出すと、より一層の興奮に顔が真っ赤になっていった。
驚きと嬉しさに何も言えない間に、その掌はエプロンを払い除け素肌のままの秘所へと到達した。
ぬちゅっ。ぐちゅっ、ちゅぶっ。
くちゅっ、ちゅぶりっ、くちゅくちゅっ。
「いい仔だ、ちゃんと濡れているな。・・・自分で濡らしたのか、それとも玩具か?」
楽しそうに尋ねられて、私は真っ赤な頬を隠すように小声で答えた。
「オ、オナニーです、ご主人さまぁっ」
恥ずかしいけれど気持ち良過ぎて今にも腰が屑折れそうだった。
ぬちゅぬちゅっ。ぶちゅっ、ちゅっ、くちゅちゅっ。
今夜から予約を取ったという主人に急かされて、秘所を弄られながら私は玄関へと移動することになった。
「洪水だな。ほら、・・・こうやって二本目を入れても」
言葉の通り、中指に加えて人差し指も秘所へと入って来た。
ぬぷっ、と奥に突き進むと同時に私の濡れ濡れの場所が掻き回されていく。
「ひゅぎぃいいいいい~~っ。ひっ、あぎっ、ひ、ひっ、ひんっ!」
ずぶっ、ぐちゅぐちゅっ。
ぬぱ~~っ、ちゅぶっ、ずぶっ、ぐちゅぐちゅぐちゅ。
卑猥な音に目眩がして、興奮している身体の動きと連動し立っていられなくなった。
身体がずるっと落ちた瞬間、
「あぎぃいいいいいいいいいいいいいいいい~~~~っ! ぎっ、ぎひっ、ひっ、ひぎぃいいいいいっ、ぎぃいい~~っ」
「良い声だ。あぁ、そんなに悦んで。可愛いな、由利香は。・・・ふっ、そんなにここで私の指を喰いたかったのか」
ぐちゅぐちゅぐちゅ。
ぬぷっ、ずぶっ、ぐちゅぐちゅぐちゅ。
体重を主人の指二本に掛けてしまった私は、痛みを快感に変えるまでの間、必死に主人へと縋り付いた。
「まったく、お前は本当に可愛いな。今夜は朝が来るまで欲しいだけ可愛がってやろうな」
「・・・ぁっ、・・・は、はい、ご、ご主人、さ、まぁ。・・・ひっ、ひんっ、・・・あっ、あぁ~っ。いぃっ、いいのおぉおお~~~~っ」
主人が私の腰を持ち上げるようにご自分の身体を使って押してくれたけれど、その上下運動が逆に私を被虐へと連れて行ってしまう。
ぬぷっ、ずぷっ、ずぶぶっ、と指を何度も引き出しては押し込まれて、大事な返事をするのがやっとだった。
ぼろぼろ零れる涙は、もう痛みではなく快感のそれであって、体内にある指の存在に意識が集中してしまう。
かなりの時間を掛けて玄関に辿り着くと、主人は一度私の秘所から指を抜き出して、その汚れた指を私に清めさせた。
それから私をそこへ立たせたままで自室へ向かうと、すぐに戻って来られた。
ズボンに合うジャケットを着て、小ぶりのアタッシュケースを持っていた。
「由利香はそのままで構わんぞ。誕生日祝いに、明日の午後は外で露出調教してやろう」
「は、はい・・・」
お礼の言葉を忘れたことに気付いたけれど、もう次の言葉が私の耳に届いてしまった。
「・・・そうだな、ついでに後ろの穴も本格的に調教するか。いつでも使えるようになりたいだろう?」
サイドテーブルの上から時計を掴むと、腕に巻きながら主人が私へと問い掛けてきた。
あぁ、どうしてその言葉を拒否出来るだろうか。
「ゆ、由利香は・・・。あ、あのっ、・・・あ・・・う、嬉しいっ、で、す、ご主人さ、まぁ。・・・あ、あっ、あぁああああ~~~~~っ!」
言い終える前に、また恥ずかしい程に濡れている秘所に二本の指がズボっと突き刺さった。
すぐに引き抜かれ、再度勢い良く押し込まれる。
ぐぷっ、ぬちゅぬちゅ。
ちゅっ、ぐちゅりっ。ぬちゃぬちゃ。
「さて、行くとしよう」
朦朧とする意識を指の出し入れで引き戻され、秘所を掻き回されたまま玄関の鍵を締めた。
主人はカード鍵を器用に片手で内ポケットに入れると、私の背中を押してエレベーターホールへと歩き出したのだった。
▲
駐車場でエレベーターを降りると、一度も指を外すことのない主人に必死に付いて歩いた。
時折、強く指で押し上げられて悲鳴を上げてしまう。
その度に、嬉しそうに主人が微笑んでくれるのが分かった。
誰かに見られたら恥ずかしくて死んでしまいそうな状況なのに。
どうしてこの胸は興奮と安堵に満たされているのだろう。
さすがに車に乗り込む際には指が外されたけれど、運転席に座った主人がアタッシュケースを開き、棒状の玩具を取り出して無言でそれを渡して来られた。
それをどうすればいいのか、問わなくても知っていたから。
私はゴクっと唾を飲み込みながら、秘所へとそれを押し込んでいく。
入れながら脚を大胆に開いて、
「あぁ、み、見てぇっ、ご主人さ、まぁ~~」
ずぶっ、ずぶずぶずぶっ。
激しく濡れている場所はあっさりとそれを飲み込んでしまう。
ツマミ部分の金属の輪だけを残し、私は棒玩具から手を放した。
主人の半分もない大きさだけれど、異物が秘所を占領している、その現実が私の胸を高ぶらせた。
「しゃぶりなさい」
主人の命令に小さく頷いた私は、唇を震わせながら大好きなモノへと顔を落としていった。
暗い道のりを車は進んで行った。
対向車すら滅多にないようで、静かな外と対照的に車内は私の出す卑猥な音が溢れていた。
そう、出発した時からずっと主人の膨張したモノを咥えているのだ。
一度だけ休憩を取り、凶暴に膨れたそれを秘所に突き入れてもらっていた。
口付けを受けながら膣内に射精されると、嬉しさと気持ち良さに吐き出せない想いを必死に叫んだ。
(イイっ、イイのぉおおおおお~~~!)
それからまた運転を再開した主人のモノを咥えさせてもらった。
大きく膨らみドクドクと動くそれが愛しくて喉奥へと押し込んでは少しだけ引き出すのを繰り返した。
秘所に入れ直した玩具の異物感はいつの間にか無くなっていた。
森の奥、人家から遠く離れた場所にある山荘に着き、管理人から鍵を受け取ると、更に奥にあるという別荘へと向かった。
車を停め、アタッシュケースを持った主人が運転席から降りると、私も慌てて助手席から降りた。
「四つん這いだ、由利香。尻の穴を開け」
ボンネットの上にアタッシュケースを置いた主人が、数本の外灯と車のライトを頼りに中から何かを取り出そうとしていた。
それを目の端に映しながら、私は地面へと膝を曲げて落とすと両手を付いた。
エプロンのみの裸体、出掛けに履いてきたサンダルは車の中に落ちて裸足のままだった。
夜風は冷たくて、身体がブルブルと寒さに震え始めている。それなのに。
本物の犬のようにお尻を高く掲げ、主人の目前に恥ずかしい穴を晒している事実にカァ~~っと身体の熱が上がり始めていた。
「これを外すのは明日の午後だ。それまで少しでも中を拡いておくんだ」
ずぶっ。ぐっ、ぐぐっ。ずぶっ、ずぶぶっ。
秘所に入っている玩具よりは小さいのだろう。
すでに何度も拡張されてきた場所だったからか、時間は掛かったけれど全てを中へ入れることが出来たようだ。
「おいで、由利香。お前の誕生日のお祝いを始めよう」
優しい言葉と笑顔に誘わるように、お尻に挿入された玩具の存在を意識したまま、私はフラフラと立ち上がって歩き始めたのだった。
秘所は中出しされた所為でぐちゅぐちゅに濡れまくり、恥音が途切れることなく続いていた。
入ったままの玩具とお尻の穴の玩具とが何とも言えない痛みと疼きを与えてくれて、一歩進むごとに強烈な快感が私を襲ってくる。
「イイ~~~~っ。イイっ、イイよおぉおおおおおおお~~~~っ。・・・はっ、はぁっ、あっ、あんっ、イイっ、イイのっ」
無意識に迸る本音。主人以外誰もいないという環境に、私の正直で浅ましい感情が爆発してしまう。
「やっ、いやぁ~~っ。あ、穴がっ・・・、だめぇ~~~。ゆ、由利香っ、いっちゃ、いっちゃうぅうううううううう~~~~~~っ!」
救いを求めて涙目で前を見つめると、主人が扉に寄り掛かって私を面白そうに見ていた。
「普段以上に感じているようだな。そんなに二穴を塞がれるのが好きなら、もっと太いのを用意してやろう」
主人が何か言葉を発している、それだけしか分からなかった。あまりの気持ち良さに朦朧とする意識を必死に取り戻そうとした。
「好きなだけ感じるといい。だが勝手にイクのは許さん。私を満足させるのがお前の仕事だからな」
大好きな主人が何か私に語り掛けているというのに、この淫乱な身体は今にもイキそうでイケない苦しみに悶え続けていた。
「さあ、そのままイキそうなのを我慢してここへ来い。二泊あるから、たっぷりと虐めてやろう、その尻の穴の奥までな」
正直、よく聞こえなかったけれど、この数年の調教で主人の好む行為を理解していた。
飼い犬は勝手にイクことは許されない。
まずは主人が私の身体を蹂躙し、射精を終えた後でないと許可は与えられない、ということを。
ビクンビクンっと身体を揺らしながら、必死に主人の元へと歩いて行った。
ポタポタと秘所から恥液が、そして涎と汗が地面へと落ちていく音が耳に届いて恥ずかしい。
いや、本当は聞こえていないのだろう。でも、そう感じるのだ。
ずっと、歩くたびに嫌らしい音が静かな周囲に響き渡っている。
(あぁ、欲しいっ。欲しいのっ。由利香の大好きな、ご主人さまのアレが・・・)
早く口いっぱいに咥えたかった。
それから、勿論、濡れている秘所の奥の奥まで貫いて欲しい。
お尻の穴は滅多に使わないから今でも痛みの方が強いし怖いけれど、大好きなご主人さまがそこを気に入っているのを知っていたから。
私の全てを捧げたかった。誕生日だからってご主人さまに何かをしてもらうつもりなんてない。
何でも私が、そう自分から積極的に差し出したいのだ。
「もう飽きた。どこかへ消えろ」
母へ与えられたであろう言葉を聞きたくなかった。
その言葉以上の恐怖なんて私にはないのだから。
▲
夜が明けても繋がった腰は離れることがなかった。
主人の体力に付いていけない私は何度も意識を失っては強引に引き戻されてしまう。
やがて、時計を確認した主人が嘆息し、ようやく動きを止めてくれた。
「仕方ない、少しだけ休ませてやろう」
前夜の休憩時に主人が買っておいてくれた弁当を食べると、私たちは汚れたベッドとは別のベッドに移動した。
横になった私の背後から主人が腰を引き寄せ、太腿を掴んで脚を開かせようとする。
それに気付いた私は、その性欲に感心しながら自ら脚を開いていった。
秘所に指を入れた主人が大胆に掻き回してきて、眠りたいのに興奮に身体が高まってしまう。
くちゅ、くちゅくちゅっ。ぬちゅっ、くちゅりっ。
「あ~~ぁっ、あっ、あっ、はぁ~~んんっ。・・・んっ、あっ、あんっ、ぁ・・・っ・・・」
「由利香、お前のここは弄れば弄るほど私の指に吸い付いてイヤラシイな。ほら、抜こうとすると、・・・嫌がって引き止めようとするのが分かるだろう?」
感じるだろう、と耳元に囁かれ、その卑猥さと行為に背中がビクっと震えてしまう。
「ひんっ、・・・ひっ、ひんっ。んっ、んん~~っ、・・・んっ! ご、ご主人さまぁ~~っ、あっ、ああぁ~~~~っ」
抜けようとした指が再度押し込まれて目の裏がチカチカして堪らなかった。
「もう一度、ここへザーメンをぶち込みたいが、陽が昇っている間に野外調教のプレゼントをやらんとな」
二本目の指が増やされて中を拡張するように粘膜が押し広げられていくのが分かった。
そうして三本目の指が何とか入ったところでようやく主人の動きが止まった。
「・・・さぁ、このまま指を入れておいてやるから眠るといい」
主人の言葉は絶対であり、たとえ他人の指という異物が入ったままでも眠らなければならなかった。
それに、もうずっと前から身体は悲鳴を上げて限界を訴えていたから、私は動かなくなった指に安心するようにすうっと眠りに入っていった。
疲労が溜まっていたのだろう。主人が起きたのは午後三時過ぎだった。
予定より遅くなったことに暫らく眉をひそめていらしたけれど、私は良く眠れて嬉しかった。
備え付けのレンジで買っておいたカレーを温めて昼食を摂った後、二人で一緒に浴室へ向かった。
あまり広くはなかったけれど、互いの身体をくっつけながら洗い合い、空の浴槽に入って交わった。
昨夜からお尻の穴に入ったままの玩具の存在をいつしか忘れており、秘所を勢いよく貫かれて初めて思い出した。
そんな主人から与えられたモノを貪欲に吸収する己が恥ずかしくて頬が真っ赤に染まっていく。
「さぁ、お前の初野外調教だ。たっぷり楽しませてやろう」
唇を奪われ、舌を絡み取られて、粘膜という粘膜をねっとりと舌で撫でられた。
貫いたまま立ち上がった主人に促された私は、悲鳴を上げながら浴槽を跨ぐと、ヨロヨロと玄関へと押し出されるようにして歩いて行った。
「ひゃい~っ、いっ、いひぃいいいい~~~っ。ひっ、ひぁっ、あっ、あっ、あひぃっ、ひっ、ひぎっ、ひぃ~~~~っ」
痛いのに気持ち良くて。動きにくいのに、ずっと繋がっていたかった。
主人の動きに合わせて玄関を抜け出すと、あっちだよ、と促された方向へ二人揃って歩んで行く。
柔らかな草地を選んでくれたのだろうか。そこで突放された私は、主人からの命令に従ってオナニーをして見せた。
乳首を弄り、同時に秘所を自分の指で弄り回して、卑猥で淫乱な姿で楽しんで欲しいと訴えた。
暫らくご覧になっていた主人は、いきなり私の背を押して四つん這いにすると、お尻に入っていた玩具をズズっと一気に引き抜き始める。
ぬぽっと音が聞こえた後、膨張した熱いモノがぽっかり空いたお尻の穴に強引に押し込まれて、想像していなかった私は動揺と恐怖、そして痛みに叫んでしまった。
「ひゃぎぃいいいいいい~~~~っ。ひゃいっ、いひゃいぃいいいいいい~~~~っ」
最初の慣れる間は悲鳴を上げて逃げようとした。
けれども、四つん這いの状態で散歩させらているうちに痛みが快感へと変わっていくのが分かった。
「おうっ、おう、いいぞ。・・・由利香、尻の穴を閉じたり開いたりしてみろ」
「は、はい。あっ、あっ、あぁ、あひっ、・・・はっ、はっ、はあぁああああ~~~~~~っ」
一番感じる秘所とはまた別の妖しい疼きが胸の中に留まっていた。
苦しいのに、早く抜いて欲しいのに、主人が少しでも抜こうという素振りを見せると、私のそこは必死にそれを引き止めようとするのが分かる。
「あぁ、どうし、てぇ~~っ。気持ち、悪いっのにぃいい~~。い、いっ、いやぁあ~~~っ、感じっ、感じちゃうぅのおぉ~~~~っ!」
陽が完全に落ちてからも、お尻の穴で繋がったまま乳首を弄られ、唇を奪われて主人の求めに応じ続けた。
真っ暗になり、さすがに今日の野外調教は終了にしよう、と主人が告げた。
感じてイキそうになるたびに激しく貫かれ、すでに中出しを三回、口の中にザーメンを二回入れてもらっていた。
一度もザーメンをもらっていない秘所は濡れ濡れで、ビクビクと疼き震え続けている。
「由利香、気持ち良かっただろう?」
背後から囁かれて、私はコクっと頷いた。
今までだって何度もお尻を使われたけれど、こんなに感じたのは初めてだった。
「これからは上の口も合わせて三つの穴で私をもっと楽しませることが出来るだろう。・・・勿論、この可愛い乳首や大きく育ってきた乳房でもな」
ズルっ、ズブっ、ズブブっ。
ぬぽっ、とイヤらしい音を立てて、あれだけ出したのに膨張しているモノが引き出されていった。
さぁ、綺麗にしろ、と眼前に差し出されたけれど、私はそれを当然と受け止める牝犬だったから、目を細めて愛しいモノを清めていくのだった。
室内に入ってからも、夜食を摂ることなく調教というセックスが再開された。
まずはシャワーを浴び、身体をさっぱり綺麗にすると、寝室まで我慢出来ずに繋がり合った。
眠くなるとベッドに乗り上げ、身体を弄られながら失神するように眠った。
翌朝、昼から出勤だという主人に起こされて、眠い目を擦ってベッドから下りた。
べた付く身体をシャワーで洗い落とし、ようやく目が覚めて息を吐き出す。
セックス以外なにもしない誕生日だったなぁ、と改めて思った。
嫌な訳じゃなくて、こんなにも求められて嬉しいと感じる反面、主人が退職したら、ずっとこんな毎日なのだ、とちょっと動揺しているのだろう。
歯を磨いてから居間に戻ると、アタッシュケースから主人が白いブラウスを出して渡してくれた。
「さすがに朝は人に見られるとマズイからな」
全裸で動き回ることに慣れてしまい、恥ずかしさすら感じていなかった私は、そこで初めて自分が裸で平気なことに気が付き、慌ててブラウスを受け取ったのだった。
家への帰り道も出来ればご主人さまのモノを咥えていたかった。
でも、車の数が二日前の夜とは違い過ぎて、大人しくしているしかない。
ウズウズしている私を面白そうに見ていた主人が、
「仕方ないやつだ。自分で穴を弄るといい。但し、前だけだ。後ろは我慢しておけ。会社の帰りに昨日より大きな玩具を買ってきてやろう」
野外調教が上手くいったご褒美だ、と主人が笑った。
すぐに運転に集中されて前を向いてしまわれたけれど、嬉しさと恥ずかしさに、
「は・・・ぃ・・・」
小さな声でしか返事出来なかった。
朝起きてからお尻の穴がジクジクと痛んでいる。
酷使した痛みで間違いはないけれど、仄かに疼きを感じていた。
きっと、これからは痛みよりも疼きの方が大きくなるのだろう。
自分の指を下半身へとゆっくり持っていった。
ブラウスしか着ていないから、そこは風がス~っと通るたびに疼いては淫液が溢れ出ていた。
こんな状態で指を動かしたら、恥音が車内に響き渡り、足元に零れ落ちて水溜まりが出来るに違いない。
でも、そんなみっともない姿を、淫乱でどうしようもない飼い犬を主人に見て欲しくて。
私は外から覗かれる可能性を無視するように大胆に脚を開いていった。
▲
あれから、主人は大量の玩具を買っては私に与えてくれている。
今では秘所とお尻の穴の両方に太くて歪な形の玩具を入れて過ごすようになっていた。
外出先では、痛みとそれを凌駕する快感に屑折れそうになることが多かった。
でも気持ちが良くて。とても、とても感じてイキそうになるから。
買ってもらった野暮ったい服を着ては買い物に出掛けていた。
あと数ヶ月で退職する主人は、淫乱さが増した私を調教しやすい場所が必要だと、普通より大きい屋敷とプライベートを守る広い敷地を購入してくれていた。
間もなく内装が終わるという。
私の為に用意された場所。
そう思うだけで引越しするのが楽しみだった。
平気なフリをしていても、初めは泥の中へ自分から入っていくことに恐怖を持っていた。
いいえ、今でも怖いことは間違いじゃない。
それでも、由利香、と優しく呼んでくれる主人から離れられないのだ。
母を捨て、義理とはいえ娘となった私を飼い犬にした悪魔のような人から。
泥の底に沈む身体を、自分から横に倒してもっと奥へと堕としていく。
己に相応しいのは、この澱んで暗い、汚れた場所以外にないのだと。
何も持たない私が唯一差し出せる身体を捧げて、どうか捨てないでと必死に縋っている。
淫乱な身体は、空虚な人形に成り下がった私に残された唯一の生きる糧なのだ。
主人と二人、誰も訪れない屋敷に閉じ篭ろう。
悪魔のような人を私のこの身体で更に闇に堕とす為に。
他には誰もいらない。欲しくない。
際限なく交じり合えば、いつか一つになって解けてしまうかも知れない。
屑折れた二人の身体が泥になって固まり、風によって少しずつ消えていく。
そんな愚かで馬鹿げた物語を私は夢見ていた。
目蓋を閉じたら決して開かなくていい、そんな夢を。
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