泥の底に沈む身体を(壱)   初出:2014.06.29ブログサイト「月の芳香」

主人(義父)× 飼い犬・由利香


母親の再婚相手である義父は優しい男性だった。
家族となり幸せだったのに、いつしか想ってはならない感情が芽生えていた。
私は義父が傍にくると動揺を隠すように、普段以上に言葉少なになっていく。
頭を撫でてくれる優しい義父が好きなのか。
それとも一人の男として、なのか自分でもわからなかった。



うっとおしい男を見ながら、私は心の中で焦っていた。
早く家に戻らなければならないと。
これ以上遅れたら恐ろしい言葉が主人の口から放たれる、そう知っていたから。
何よりも聞きたくない言葉。考えるのさえ放棄したい恐怖。
いつ自分へと向けられるのか怯えているのだ。毎日、毎日。
気に入られていた筈の実母は数年前に姿を消していた。
「もう飽きた」
主人のたった一言をキッカケに。
母親が無事であることを祈っていた。でも同時に、二度と私たちの前に出て来て欲しくないとも思っている。
ありえない事だけれど、もしも二人がヨリを戻してしまったら。
今度は私が捨てられてしまうに違いないから。

今、私が身も心も差し出している主人は、母が再婚した相手だ。
誰もが知っている有名な企業で部長を務めており、母と見合いしたのを機に独身でいることをやめたのだ。
初めて出会った時から、とても優しい男性だった。
すぐに好きになって、この人となら一緒に家族になれると思った。
本当の父親については、幼すぎて記憶に残っていない。
親戚は、酷い男だったと今でも怒っていて、それを聞く度に私はちょっと嫌な気持ちになっていたのだけれど。
義父とこんな関係になって、ようやく父がどんな性格だったのか分かった気がする。
母が好きになるのは支配欲の強い男性なのだ。
知らず知らずに母自身がそんな男を引寄せていたのだろう。
あんなに表面では穏やかで頼りがいのある義父が、裏では性欲の固まりで女を支配して喜ぶのだから。

数ヶ月の間、私は何も気付かなかった。いや、気付いてあげられなかった。
母がとても嬉しそうだったから。
女一人で私を育てていたから自分のことなど後回しで、苦労の連続だったに違いなく、ようやくこれで母も楽が出来ると暢気にそう考えていたのだ。
義父は母を連れて外出することが多く、時には何泊も旅行に出掛けては笑顔で戻って来た。
私は高校二年生であり、一人で留守番することに問題はなかった。
寂しいと思ったのは最初だけで、そのうち、元気な二人だなぁ、と変な感心をしながら女友達の家に外泊に行くこともあった。
旅行先から帰って来た義父はいつも穏やかで、私の頭頂を何度も撫でてくる。
母は逆に疲れきっていたけれど、ぼんやりする中にも満足気な空気を漂わせていた。
そんな幸せそうな二人を私は羨ましいと思っていた。
いつか結婚するなら、こんな関係を築いていきたいと。
それなのに・・・。
まさか二人が歪な関係を結んでいたなんて。
義父が母を調教しているのだと、どうして気付けただろうか。
ましてや、その恐ろしい渦の中に自分が巻き込まれるなんて、分かる筈もない。

ある日のこと、義父は私に恋人が出来たのを知って、その穏やかな表情を厳しいものへと変えた。
「それはどんな男だ。お前とはどこまでいっているのか言いなさい」
いつもの甘やかしてくれる優しい男はどこにもいなかった。
それまで男性と暮らしたことのない私には、怒りを見せる義父に恐怖しか覚えなかった。
男兄弟でもいれば違う反応も出来ただろう。笑って誤魔化すとか、冗談まじりに相手のことを伝えるとか。
でも、私は義父に嫌われたくなくて、イイコでいたくて対応を誤ってしまったのだ。
「ち、違う、の。お義父さん、彼っていうか、まだ交際をOKしただけで、まだよく知らないのよ」
「知らない相手とお前は付き合うのか?」
冷たい目で見つめられて、動揺した私は馬鹿なことを口走ってしまう。
「お義父さんと見た目が似ていたから、その・・・、あっ、ち、違うのっ、そうじゃなくて、その・・・っ・・・」
実際は似ても似つかない人だった。同級生からの後押しもあって付き合ってみるのもいいかな、という程度の。
でもそれを告げたら余計に義父に叱られそうで、何とか他の言葉を探っていた筈なのに何故かとんでもない言い訳を選んで口に出してしまっていた。
「ほう、それは、嬉しくはあるが、・・・だが、そんな理由で恋人を選ぶのは愚かな女の証だ。交際はお断りしなさい」
焦ってオロオロする私を見ながら義父はそう告げると、返答出来ずに固まった私を置き去りに居間を出て行ってしまった。

あの後、私は義父を追い掛けて説明しようとしたけれど、結局上手く伝えられなかった。
いつも優しい義父に初めて叱られたショックもあり、夕飯が喉を通らなかった。
高校二年生にもなって交際のことで口を挟まれるなんて、という反抗心は勿論あった。
まだ好きじゃない相手であっても一度はOKしたのに、すぐに断りを入れる気まずさもあった。
でも、あの適当な言い訳を喜ばれたことに仄かに嬉しさを覚えてしまったことが一番のショックだった。
(私はどうしてしまったのだろう。何でこんなにドキドキしているの)

義父を男として見たことはなかった。母の再婚相手で、私が結婚するまで一番近くにいる優しい人だとしか。
家族が出来たことを単純に喜んで暮らしていたのに、さっきの事で何かが私の中に宿った気がする。
絶対に持ってはいけない変な気持ちが。
(違う、違うわ。私は正常よ。何を考えているのっ、お義父さんにも失礼だわ)
いつものように楽しそうに義父へと喋っている母を見ながら、私はコップを手に取った。
(お母さん、嬉しそう。本当にお義父さんが好きなんだ)
食事をしながら適度に母の言葉に頷く義父が何度も視界に入ってくる。
こっそりと何度も何度も、時には大胆にジっと義父を見つめているというのに、私は存在しないかのように二人だけが喋り続けていた。
(私の視線に気付いている筈なのに。お義父さんっ、こっちを見てよ)
会話に加わりたいなら積極的に声を出せばいいと分かっていた。でもそれは何故かしたくないのだ。
自分でも分からない感情が湧き上がり、今にもヒステリックに叫び出しそうだった。
見えない何かが喉元に引っ掛かっているみたいで気持ちが悪い。
それを押し流すように、私はお茶をゴクンゴクンと飲み干していた。



翌朝、学校へ着いてすぐに私は交際をOKした相手を呼び出していた。
「ごめんなさい。あれからよく考えたの。それで申し訳ないけれど、・・・お断りしたいの」
簡単に納得してもらえるとは思わなかった。自分が相手の立場で考えたら、怒り心頭で口汚く罵られても仕方がないと思う。
でも、彼は分かったと頷いて走り去ってしまった。
(なんか、呆気ないって思うのは傲慢かしら)
もう少し引き止められたり、理由を尋ねられたりすると思って色々考えていたのにアッサリ頷かれて釈然としない。
勿論、自分の方が失礼な女だと分かっているけれど、こんなものなのだろうか。
最悪な場合、一発ぐらい頬を殴られてもいいと覚悟していたのに、これで終わりだなんて。
(つまり、それだけ私には興味が薄くて、適当に交際を申し込んでみたってだけなのかな)
もしかしたら、今頃、怒りで震えながら教室へ向かっているかも知れないし、悲しんでいるかも知れないけれど。
「これでお義父さんに報告出来るわ」
そう、相手のことを悪く言う権利は私にはないのだ。
結局のところ、義父から叱られたくない、それが私の本音であり、これまでのように可愛がってもらえる娘でいたい、それだけなのだから。

交際を断ったことを告げた私に、
「そうか。これからはよく考えて相手を選びなさい。お前の性質をよく分かっている相手を、な」
「はい、お義父さん」
優しく微笑みながら語り掛ける義父の姿に、私はホっとして唇を歪めた。
何故泣きそうになるのか自分でも分からない。でも、涙が今にも零れそうだった。
「どうした、おいで」
そんな私を義父が引寄せて、膝の上に乗せてくれた。
幼い子供になったようで恥ずかしくて堪らなかった。でも、急にそこから逃げるのも義父に申し訳なくて戸惑ってしまう。
「お前もそのうち気付くだろう。その身体と心が何を望んでいるのかを」
小さく呟かれた言葉に顔を上げると、義父が横へと視線を向けていた。
そこには母が立っており、私を鋭い視線で見ていた。
初めて見る表情は、私を侮蔑し、敵視していると悟らせるほどに強烈だった。
慌てて義父の膝から立ち上がると、急いで階段を上って自分の部屋へと駆け込んだ。
ベッドにうつ伏せになり、必死に動揺を抑える。

どれくらい経ってからだろう。いつの間にか私は眠っていたらしい。
気が付くと外は真っ暗だった。
カーテンを引き、無意識にお風呂に入る準備を始めていた。
下着とパジャマを持ち、髪を纏めていたリボンとゴムを取り去る。
ゆっくりと階段を下りて、両親の部屋の前をそっと浴室へと進んで行った。
こんなに遅い時間にお風呂に入るのは初めてだった。
大抵は私が一番に浴室を使っている。
夕食を食べてから一時間以内にシャワーを浴びなくては気持ち悪いからだ。
部活に入っていないから運動した訳でもないけれど、これも習慣なのだろう。

二人を起こさないようにしなくちゃ、そう思いながら歩いていたら甲高い女性の声が耳に入ってきた。
「ひぁ~っ、・・・も、もっとぉおおうぅ~~っ。も、もっと強くぅっ、強くっ、い、れてぇ~~~~~~~!」
「うるさいぞ、牝犬。普段は娘を気にして声を抑えるくせに、今日はどうした。・・・まさか、嫉妬しているんじゃあるまいな」
普段とは違う冷たい声だった。でもこれは絶対に義父だと確信出来た。
(じゃぁ、相手は、・・・あの高い声はお母さんなの?)
少し開いた扉から明かりが漏れており、そこから汚らわしい言葉が次々と聞こえて来る。
私は最初の驚きが治まると、次に嫌悪感から身体中がブルブルと震え始めた。それなのに立ち竦んでしまい動くことも出来ない。

「っあぁあああ~~~~っ。いっ、いひっ、いひぃいいいいい~~~っ」
悲鳴が引っ切り無しに聞こえてくる。でも必ず同時に哀願する単語が続いていた。
「お願いっ、お願いしますっ、もっと、もっと虐めてぇええ~~! 淫乱なこの、身体をぉおおおおおお~~っ」
「ちっ、一人で先走るな、馬鹿女め。・・・ったく、主人を満足させることも忘れるような愚かな牝犬を飼うのは疲れるな」
ズンっ、ズンっ。ズチュ、ぬちゅりっ。
何をしているのか、されているのか考えたくもない嫌らしい音が廊下へと響き渡った。
こんなことが毎日繰り返されていたと思うと、胸がムカムカした。
思春期の娘として嫌悪するのは当然だと思っていても、母への罵倒が脳裏を渦巻く。
(ウルサイっ、ウルサイっ! なんてみっともない悲鳴なのっ。こんな女が私を産んだなんて許せないっ)
少しだけ開かれている扉を覗き込むのが怖くて、私はそこから伸びた光に視線を当て続けていた。

最初は、母への憤りだけだった。思春期のセックスに対する嫌悪感でムカムカする気持ちの方が勝っていたからだ。
けれども、途中から義父の言葉に意識が集中してしまう。
「ひんっ、ひっ、ひいぃいいいいいっ。いっ、いたいっ、いたいっ、いたいっのにぃいいい~~~~っ!」
「多少は楽しめるかと飼ってはみたが、・・・やはりコイツは中継ぎだな」
義父の呆れたような口調に、母は駄目な女なのだと思った。
あんなに優しい義父に選ばれたのに、その義父を満足させられないなんて。
「あぁああ~~~っ。はぁあああ~~んんっ、んっ、んんっ、イイっ、イイっ、イイ~~~~~~~っ」
「ちっ、煩い牝犬だな。少しは主人の目を愉しませるような媚態を取れ、馬鹿が。突き入れる気も失くすだろうが」
バシバシっ、と(多分)母のお尻を叩いている音がした。
それにさえ悦びの声を上げる母を汚らわしいと思う一方で、義父が母をそれほど好きでないことを知って胸がジクジク疼いた。

このままだと義父は母を捨てて、この家を出て行ってしまうかも知れない。
せっかく家族になれたのに、また私は幸せな暮らしを失くしてしまう。
良く考えれば私の思考はオカシイと思う。いや、普通に考えても確実にオカシイだろう。
でも、私は本気で義父に捨てられたくなかった。
初めて出来た父親が優しくて嬉しい気持ちもある。けれども、それ以上の何かが私を急きたてていた。
早く何か手を打たないと義父がこの家を出て行ってしまうと。

その夜は結局お風呂に入ることは出来なかった。
滅多にすることのないオナニーを布団の中で繰り返し、気がつくと朝になっていた。
ズクズク疼く胸の痛みを隠しながら階下へ向かうと、浴室の横にある洗面台で顔を洗った。
ゆっくりと居間へ入ると、義父がのんびりと新聞を読んでいた。母は台所で忙しく動き回っている。
(あぁ、これまでもこうして二人は仮面を着けていたんだ)
裏の顔を知ってしまった私は、そう考えてから自分の間違いに気付いた。
どの家の夫婦だって必ずセックスするだろう。そして子供が生まれるのだ。
それは人間社会が続いていく為に必要なこと。本能に過ぎない。

二人は夫婦で誰もが普通にやっていることの、ちょっとした特別バージョンなのかも知れない。
今でも母に嫌悪を覚えている自分に嫌気がさすけれど、夫婦の営みに口を出す権利などなくて。
「おはようございます、お義父さん」
「あぁ、おはよう」
挨拶をしながら義父の前を通って母の元へと向かった。
「おはよう、お母さん。何か手伝うよ」
夕べ受けた鋭い視線を忘れるように、嫌悪感を見せないように普段と同じ口調で挨拶する。
「おはよう、由利香。もうほとんど出来ているの。お皿を出してね」
母も普段通りの穏やかな口調で私に指示を出した。
「うん。これと、これにするね」
料理の色味を確認し、それに合うお皿を出していく。
この後、私たちは何事もなく食事を摂るのだろう。
そう、いつものように。
これまでとは違う気持ちを育て始めた私を置き去りにして。


夫婦の隠し事を見た夜から、私はずっと自分の気持ちを抑えようとしていた。
母への見下しと、義父への持ってはならない想いを。
あれから色々と考えて気付いてしまったのだ。
母への嫌悪は、私が義父を好きだからだと。
一度そう気付いてしまうと、普段と同じようには義父を見れなくなってしまった。
初めて好きなったのが義父だなんて背徳過ぎるし、もし、それを本人に知られては一緒には暮らせないだろう。
母が父に捨てられるよりも先に、私の所為で義父が家を出て行ってしまうに違いない。

バレないように、そう思うのに、必死に隠して抑えているのに。
義父を避けようにも、穏やかな顔で優しい言葉を掛けられたらその場から立ち去ることなんて出来なくて。
「由利香、ここに座って学校の話をしてくれないか」
「は、はい」
好きな気持ちを悟られないように緊張していると、
「どうした、ここしばらく様子がおかしいな。何か悩み事があるのかな。話してこらん」
「えっ、な、何も、ないで、す。学校、楽しいし・・・」
「そうか、それならいい。ところで、急なんだが、明日からの三連休、一緒に旅行に行かないか」
それまで俯いてた私は、義父の言葉にビックリして思わず顔を上げてしまった。
「か、家族旅行?」
段々と母と一緒にいるのが気まずくなっていた私は嫌だなぁと思ってしまう。
仲の良い二人を見ているなんて辛過ぎる。そう考えて、断ろうと口を開いたら、
「いや、お母さんは用事があって留守番なんだよ。だから、代わりに由利香に付き合ってもらいたいんだ」
ただ旅行に誘われた。それも母の代役なのに私の心は羽が生えたように軽くなっていく。
「は、はい。私でよかったら」
「そうか。三日間、よろしくな」
優しく微笑まれて、私はボーっと義父を見つめるしか出来なかった。

かなり後になってから、本当は母には用事などなかったことが分かった。
義父が母に旅行に来ないよう命じたのだ。
でもそれを知っても私は母の事を可哀相だとは思わなかった。
何故なら、その三連休で私は義父の新たな牝犬に選ばれ、母が捨てられることを聞いていたからだ。



旅行先は鄙びた温泉地で、私たちの宿泊先は家族用に設置されたコテージだった。
「由利香とは話をする機会が少ないからね。今回は本音で語り合うことにしよう」
義父の言葉に、本音なんて無理だと思いながらも小さく頷いた。
(ああ、どうしてあの時、私は義父に想いがバレていないと思っていたのかしら)
今、思い返してみても、私の態度で両親には気持ちがバレバレだったに違いない。
すでに母は日常的に私を敵視していたし、義父は母よりも先に私に声を掛けるようになっていた。
それを素直に喜んでいた私は、二人とって新たな牝犬候補にしか見えなかった筈だ。
幼い恋心で舞い上がっていた私は、用意されたコテージで義父に押し倒され、抵抗する間もなく身体を奪われてしまった。
バージンを失う時は痛みに叫んだけれど幸せでもあった。
大好きな人に初めてを捧げたのだから。

次の朝に目覚めた私は、一瞬だけ昨日と同じ幸せを感じることが出来た。
真上から義父が見下ろしており、優しく微笑んで唇を奪ってくれたからだ。
でも、その後は反動のような恐怖に落とされてしまい、抜け出すことの許されない迷路に入ったことを知った。
ベッドに身体を固定され、身動きが取れなくて焦る私に義父が微笑んだ。とても幸せそうに。
「これでようやく、あの馬鹿女を抱かなくて済むな。・・・由利香、理由が分かるか?」
嬉しそうに尋ねられて、私は恐々と口を開いた。
「か、代わりに私を・・・だくか・・・ら・・・」
二人とも私の前では普通を装っていたけれど、義父の態度とあの夜の言葉で母に飽きていることは気付いていた。
「そうだ、正解だな。だが、同時に間違っている」
恐怖に怯えているのに何故か勃っている乳首に指を絡めながら義父が耳元へと顔を寄せてくる。
「まだ短いな。ほら、すぐに私の指から逃げてしまう。安心しなさい、これから毎日じっくりと舐めて太く長くしてやろう」
プルっと義父の指から逃れた乳首は、何度も何度もその大きな掌に包まれて揉まれた後、舌を伸ばした義父に捕まって舐め咥えられた。
ぴちゅ、ぴちゃ。ちゅっ、ちゅぶっ。
恥ずかしい音が左の乳首から聞こえていたと思ったら、次は右へといつの間にか移っていた。
繰り返される行為に下半身が疼いて堪らなかった。
「気持ちイイだろう? これからずっと聞き分けのいい仔犬でいたら長く飼って可愛がってやるぞ」
悪魔の囁きなのに何故こんなに心地いいのか。
昨夜から与えられ続ける優しい愛撫に私はコクコクと無意識に頷いていた。

コテージでの初日は優しく激しくバージンを奪われ、翌日は私の飼い主となった義父に隷属することを誓いながら貫かれた。
そのまま調教へと移った義父、いいえ、主人の指示に従い、その恐ろしく太くて膨張したモノへの奉仕を繰り返した。
最終日は、出立するギリギリまで主人の股間に顔を埋めて昨日の復習をし、合格をもらって車へと乗り込んだ。
ズキズキと疼く乳首と下半身に身体がユラユラと揺れてしまう。
そんな私を見て主人がニヤリと笑った。
私の頭部を大きな掌で掴むと口付けてくれる。
「この調子だと、すぐに可愛い牝犬になるな。・・・由利香、咥えろ」
優しく舌を嬲られてうっとりしていると、強引に頭部を下へと押された。
そのまま太く膨張したモノへと押し付けられていく。
でも、それに抵抗する気は起きなかった。何故って、私の主人の命令なのだから。
「むっぐぅっ。うぐっ、ぐぅっ、うっえっ、・・・ぇぐうっ、ぐっ、ふぐっ」
「いいぞ、もっと奥まで咥えろ。ほら、どうした、もっと喉を使うよう教えただろうが」
苛立ちの混じった声に怯えた私は、慌てて口を更に大きく開いた。
擦れ違う車や停車中の人たちに、こんな嫌らしい場面を見られていたかも知れないと戻ってから気付いたけれど、だからといってこれからも主人の命令に背く気にはならなかった。

このまま家へ戻るのだと思っていたら、途中で主人が私をラブホテルへと連れ込んでしまった。
(えっ、どうして)
理由が分からずにオロオロする私を見て、主人がニヤリと笑った。
「その椅子に座って、肘掛けに両脚を乗せろ」
反抗することもなく私は椅子に腰掛けた。
ゆっくりと、嫌らしい箇所を見てもらえるように脚を肘掛けへと乗せていく。
スカートがめくられ、主人の手によって裾がウエストで纏められた。
そのまま服との隙間に押し込まれてしまう。
これで主人には私の股間がはっきりと見えることになる。パンティも着けていない生まれたままの姿を。
「まだ零れているな。どうだ、中で溜めておくのもいいが流れていくのも気持ちがいいだろう、うん?」
閉じている箇所に指が入れられ、ねっとりと何度も嬲られていく。同時に舌を絡めての濃厚な口付けを受けながら。
(あぁ、気持ちがイイっ。ずっとこうしていたい)
セックスを覚えたばかりなのに、いや、だからこそ気持ちがイイことにのめり込んでいく自分がいた。
「いい仔だ。アレを捨てて来るから、ここでオナニーしながら待っていろ。遅くとも明日の朝には迎えに来てやる」
「は・・・い・・・」
「弄っていいのはマンコとクリトリスだけだ。たっぷり楽しむといい」
濡れた指を私の口に押し付けて主人が微笑む。
私もそれに微笑んで、指を受け入れる為に口を開いた。


許されたオナニーを繰り返す度に失神しては意識を取り戻した。
どれほど時が過ぎたのかは分からない。
今居る部屋は広い寝室だったが、隣の部屋に続く廊下を誰かが歩いている気がした。
振り返る余裕などない私は疲弊した身体を小刻みに揺らした。
両脚は痛みに悲鳴を上げ、股間は嬲り続けた所為で熱と痛みを持っている。
触ることの許されなかった乳首はピンと勃ち上がり、ブルブルと震えて私のうつろな視界に映った。
「由利香、待たせたな。さぁ、我が家へ帰ろう。・・・それとも、まだこのままオナニーを続けるか? 好きな方を選ぶといい」
顎を取られ、目を覗き込まれて、初めて主人の言葉が脳に浸み込んでいく。
「・・・ぁ・・・。ご、ご主人さまぁあ~~~~、ゆ、由利香っ、頑張ったのっ。だ、だから、家に帰りたっ、・・・家に一緒にっ、戻りたい、ですっ」
股間に入れたままの指を動かし、主人の性欲を煽るように淫らな姿を晒していく。

一度だけ見たことのある母とのセックスの中で、主人が言った内容が脳裏に焼き付いていた。
自分の欲望よりも主人の満足を優先させること。
主人の目を愉しませるような媚態を取ること。
この二つが出来なくて母は馬鹿女と呼ばれて捨てられることになったのだ。
「躾け始めて数日だというのに、由利香はなんて淫乱で可愛い仔なんだ。かつてない程にお前に溺れてしまいそうだ」
女を惑わせ従わせる為の甘い毒のある言葉だと本能で分かっていても、目前の男からは逃げられなかった。
母を嫌悪しだした時から。いや、義父に叱られないように怯えたあの時から、私はもう泥の底に沈み始めていたのだ。
今更、逃げ出すつもりなどなかった。
「ご主人、さまぁ~~っ。あっ、あはぁっ、み、見てっ、淫乱な、牝犬のっ、由利香をっ。ずっと、見て・・・いてっ・・・」
ぐちゅぐちゅっ、と嫌らしい音が部屋中へと響き渡る。
私の指と秘所の隙間から主人の太い指が入り込んで掻き回し始めたからだ。
唇を奪われ、舌を絡ませ合って、私たちは熱い快楽へと突き進んでいった。



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