【 満たされ、微笑む夜 】 初出-2012.10.13

性欲処理として気に入られた少年の話。


どうしても我慢が出来なくて、テーブル上に置かれていたモノを手に取った。
普段ならば触るどころか視界に入れることさえ許せない。
けれど今だけは。
縋るような思いでギュっとそれを握り締める。
(あぁ~、いやだっ、こんな、こんなのっ)
身体の奥底から湧き上がってくる快感に足がガクガクと震えていく。
気持ちが良くて、良くて。もう何も考えたくなかった。

酷く疼いている場所を早く慰めたい。その一心で必死に足を動かして寝室へと向かう。
辿り着いた時には口から涎を、股間からは恥液をボタボタと溢していた。
開かれたドアの先に必要以上に大きなベッドが見え、嬉しさに自然と喉が鳴った。
熱と疼きに侵された愚かな僕の視界に入るのは、特大のベッドだけ。
ここの持ち主が僕を甚振る為に用意した恐ろしい場所だというのに、まるで天国に思えてしまう。
ついさっきまでは、ベッドの上に設置されている窓が一番の恐怖だった。
高層マンションで太陽に近いというのに、暑さを遮るカーテンすらない窓ガラス。
いくら向こうから見えないと教えられてもその恐怖は消えず、このベッドで抱かれる度に恐ろしかった。
そんな場所を今の自分は欲しているのだ。

あんなに怖かったのに、身体の興奮を高めるのに小さな刺激にしかならない窓から目を逸らしてベッドに歩いて行く。
わずか数歩だというのに、何分も掛かったような気がした。
ベッドに腰を下ろし、すぐに仰向けになった。
手に握っていたモノは汗に濡れて気持ち悪いけれど、それでしか自分を助けてくれるモノはないと知っていた。
興奮する己を抑えるように唇を舌で舐めると、ゆっくりと両脚を開いていった。

何度目かの悲鳴を上げて、ついにイクことが出来た。
本物とは肌触りも動きも違うから、慣れない身体が強張っていたのだろう。
でも一度イクことが出来れば、この後は楽になれる筈だった。
普段ならばインターバルを置くことなく二度目が始まり、疲弊した身体を休める暇はなかった。
貪欲な性欲を持つ男が舌なめずりして待っているからだ。
僕はその男が怖かった。
ただ興味を持ったという理由で捕まえ、強引に連行し、陵辱した人物のことが。

数回続けて陵辱された後、ベッドに突っ伏して泣き続ける僕に男が言った。
「飼ってやるから喜ぶといい。大事にしてやるよ、ナマモノだからな」
その言葉は人間に告げるものではなかった。
まるでペットを手に入れた主人の言葉にしか聞こえない。
いや、確実にペットとして扱うつもりなのだろう。
この男の欲が尽きたら解放されると信じていた。
今、起こったことはもう過去のこと。
自分が男に犯された屈辱も、少しとはいえ感じて淫らに動いてしまった羞恥も、いつか忘れて見せると自分に誓っていたのに。
(このままずっと、この男に囚われて、また犯される? ずっと?)
自分の考えが当たっている気がして一瞬で身体が凍った。

逃げられない袋小路に追い詰められたネズミの気分で男をそっと見上げると、唇でニヤっと笑みを作る姿を見てしまった。
「ひっ」
周囲にいる誰もが優しい大人ばかりだった僕は、こんな怖い人物に遭ったのは初めてで、ただただ何も出来ずに嬲られてしまった。
それがマズかったのだろうか。
この男は、僕の知っている誰とも違う存在感を放っており異邦人にしか見えない。
悪魔と同じか、それ以上の何かだと思った。

「来い」
主人がペットを呼ぶように、鋭い視線で絡め取られていく。
それが怖くて小刻みに震え出す身体。指先までも強張り、シーツが上手く掴めない。
逃げたいのに、わずかに後ろに下がることしか出来なかった。
呼ばれて返事をしなかった僕に苛立ったのだろう。
「ちっ、面倒だが最初が肝心だからな。屋敷で飼う前に躾けてやろう」
そう呟いた男は、僕を簡単に捕らえると、
「新築のマンションを用意してやろう。そこで俺好みの身体に調教して屋敷で飼ってやる」
どこか楽しそうに告げる男の手から僕は逃げ出せなかった。


初めて犯された場所は高級ホテルの上階で、躾けの為に買ったというマンションも新築の高価物件だった。
外観を見ることが出来たのは引越した初日だけ。後は、ずっと部屋の中から出ることが許されない。
仕事が忙しいのだろう、男は夜遅くやって来ては躾けだと僕を陵辱し、朝早くに出掛けて行く。
他人の手で身体を弄られて羞恥に身悶える自分が嫌だった。
娼婦のように快感に喘ぎ、男の手が欲しい場所に伸ばされるのを願って誘うように媚態を取る。
しかもオンナのような言葉で哀願するなんて。
(こんなの僕じゃないっ)
どんなに否定しようとも、一ヶ月近くマンションに閉じ込められている閉塞感と男の存在に、僕は次第に自分がおかしくなっているのを自覚していた。
最初のように、はっきりとした拒絶が出来ないことを。

一度気付いてしまうと、もう駄目だった。
互いに一度達した後、余韻に浸ることなく続けて襲うくせに、その男の指の動きは優しかった。
抵抗する余裕のない僕を褒めるように二度目の性交は穏やかに始まり、拒否する言動を取らない限り、そのまま終わることを知った。
ならば、もしかしたら、最初から大人しくしていれば、ずっとこんな風に優しいのだろうか。
身体を犯されることはもう諦めていた。どう足掻いても、男が僕に飽きない限りそれは止まないと分かっている。
でも、どうせ同じようになるのならば、身体に負担の掛からない方が嬉しかった。
自分の心を守る為にも。

そんな思いで、昨夜初めて抵抗することなく男の言いなりになった。
自分が馬鹿なことをしている自覚があるから、身体は屈辱にブルブルと震えたけれど、男は喜んだらしく、普段とは違って少しだけゆっくりと時間を掛けてくれた。
「ようやく自覚したか」
常から言葉少ない男が、嬉しそうに呟いてくる。
ズキズキと痛む胸を誤魔化すように、自分は間違っていないと誤魔化すように、男の首に手を伸ばした。
(優しくして、お願いだからっ。もう、痛いのは嫌だっ。こんな場所に閉じ込めないでっ)
暗い思考に閉じ篭ってしまう環境からどうにかして逃げ出したかった。
このままじゃ絶対に狂ってしまう。
目前の男のせいで囚われているのに、その男にしか僕を助けることが出来ないのだ。
ジレンマに苦しむ僕を見て、快感を耐えているとでも思ったのか、男が楽しそうに告げた。
「明日から二日間、仕事で来られない。ゆっくり休め。戻ったら屋敷に連れて行ってやる」
その言葉が耳に届いた後、頬を涙を零れ落ちたのは悲しみからなのか、嬉しさからなのか。
僕には判断出来なかった。



朝が来て、男は掌に乗せた薬を僕に見せた。
「お前を喜ばせる媚薬だ。俺が戻るまで例の玩具で遊んで待つといい」
抵抗する僕を待っているかのように、どこか試すような口調で告げる男。
だから、僕は自ら口を開いて男に薬を飲ませてもらった。
もう拒絶したりしないから。言うことを聞くからここから出して欲しい、そう伝えるように。
僕の態度に満足したのだろう、男は軽く唇を合わせると仕事に出掛けて行った。
玄関に残された僕は、この媚薬がいつ効いてくるのか、いつまで効くのかを今更ながらに不安に思っていた。

あれから、暫らくして薬が効いてきて、出来るだけ我慢したけれど、やがて限界が来てしまった。
誘惑に負けた僕は、自分を慰める為に男が置いていった玩具を手に取った。
ベッドの上で足を開いて、疼きに震える股間へとそれを押し当てる。
簡単に射精する身体。気持ちが良くて堪らなかった。でも、足りなかった。
だから、ペニスから尻穴へと玩具を移動させて、その狭い穴へとゆっくり差し込んでいった。
「ひぎぃいいいいぃぃいいいいい~~っ」
気持ちが良くて、もっともっと奥に入って欲しくて。
犬のように舌を出しては苦しい息を吐いた。
流れる汗。背中をゾクゾクと気持ちいい快感が走っていく。
これが欲しかった。泣きたいほどに。でも、でも、足りないのだ。どうしても。
「いやっ、だっ・・・。ど、うしてっ、ひっ、ひぎっ、いっ、いい、のぉ、にぃ~~」
何が欲しいのか、自分でも分かっていた。決して認めたくはないけれど。

浅い呼吸を繰り返しながら手にしたモノで更に奥を貫いた。
それでも足りない。グリグリと玩具を動かすけれど足りなかった。
「・・・っ、・・・やっ、だっ、はやくぅ~~っ。あ、ああ、あひぃいぃぃいいい~~。あぁ・・・ぃゃ・・・だめっ、だめぇええぇぇ~~っ」
上半身だけ起き上がると限界まで脚を開き、自分の意思に反して調教されてしまった場所へと、恐ろしいモノが入ったままの場所へと自分の人差し指を捻り入れた。
この熱と快感を鎮めようと必死だった。どうしても太さが足りなくて我慢出来ない。
太いモノが欲しかった。こんな玩具じゃなくて、本物のアレが。

焦ったのが悪かったのか、慣れていないからか、上手くいかなくて指がすぐに外れてしまう。
余計に身体の熱が上がり、焦燥感に身悶えた。
「いやぁあああぁぁぁあああ~~っ。あぁっ、たすけ、て~~っ、あぁ、お、願いっ、お願いだからぁっ」
悪魔に自分から救いを求めるなんて愚かだと思う。こうさせる為に媚薬を飲まされたに違いないのに。
それが分かっていても、この後の自分がどうなるのか薄々理解していても助けて欲しかった。
もう、どうなってもいいから快感に震えるこの身体を弄って欲しい。

「お願いっ、何でも、何でもするからっ、助け、てぇ~~」
ベッドから転げ落ち、床に這いつくばって滲む目でドアを見つめた。
このマンションを買った後、悪魔のような男が何か工事をさせたのを知っていた。
多分、僕に与えられた部屋だけでなく全ての部屋に監視カメラと盗聴器が仕掛けてあるに違いない。
今もきっとどこかで見ているのだろう。無様な僕を。あっさり堕ちたな、と笑いながら。
それでも良かった。助けてもらえるのなら。
「あぁ、お願いっ、お願いしますっ、ご主人さまぁ~~。た、たすけ、てぇ~~」
ドアが開くのを確信していた。絶対に迎えに来てくれる、と。
わざとゆっくり時間を掛けるかも知れないが、それだけは間違いなかった。



真白いシーツの上。淫らで淫靡に動く身体。
よほど気に入ったのだろう、与えておいた玩具をひっきりなしに動かしては、自分の好きな場所を弄り続けている。
そうなるように仕向けた男は、モニターに映る少年の姿に頬を緩めた。
本物とは違う玩具であっても大きなモノでそこを貫かれる快感。それに浸る少年は可愛らしい。
調教された身体が本物を求めて苦しさに悶えているのだ。
嬲ってくれと訴える目を見るのは楽しいものだった。

一目見て気に入り、強引に手に入れた少年、厚史(あつし)。
初日の強姦まがいの行為で、身体は簡単に堕ちた。
けれども、その心は中々素直にならなかった。当然といえば当然だったが。
「来い」
主人である自分が呼んでも、のろのろと顔を上げてこちらを見るだけで、ブルブル身体を震わせつつ後ろへ下がってしまう。
もう一度呼ぶか、苛立って手を伸ばして捕まえる以外に方法はなかった。

多忙な仕事の合間に楽しむ為に屋敷で飼うつもりでいた。
だが、まずは従順になるよう躾けることが必要だと判断し、建設されたばかりのマンションを購入した。
最上階の部屋は二つしかない上、その住人は俺の従兄弟だったから何の問題も起こらない。
気安い口調の従兄弟は俺と仲が良く、その思考も趣味も、性に対する考えも似ていた。
互いに所有するマンションは幾つもあったが、他人を介入させない為には知られていない場所が都合が良かったのだ。
飼い始める前の調教用に買った俺と、これから犯す為に攫ってくる場所が必要だった従兄弟。
共に意見が一致し、口外する心配のないことに二人で笑った。
学生時代と同じように。

どんな気持ちの変化が起こったのか、初めて厚史が抵抗しなかった。
イクことが出来た余韻に浸る厚史を見ながら、明日から二日ほどスケジュール調整することを決める。
翌朝、玄関を出る直前に口移しで飲ませた媚薬。
それは高価な媚薬で、数日身体中が疼き続けるので有名だった。
会社に着くと、さっそく設置してあるモニターを通して、厚史がどうするのかを見守った。
すぐに堕ちたら迎えに行くつもりだったが、さすがにそう簡単にはいかないようだ。
必死に我慢する姿を見る度に俺の下半身も興奮したが、まずは躾けの方が大事だと書類に視線を戻す。
次から次へと新たな仕事に追われ、気が付けば外は暗くなっていた。
「ふむ、そろそろか」
モニターに視線をやると、厚史が泣きそうな顔を晒していた。

何度も噛み締めたのだろう、唇が切れているようで痛々しい。
けれど、快感に震える唇は涙と涎に濡れており、ふっくらと瑞々しくて美味そうだった。
今すぐに口付けて、中に舌を差し込んで歯裏まで舐めてやりたかった。
涙に濡れた目も頬も俺の目には美味い料理にしか見えないのだ。
どうやら厚史に触ることも出来ず、見るだけの状況に禁断症状に陥ってしまったのだろう。
(まったく、ガキか俺は)
己の性への貪欲さに少しだけ笑って俺は席を立った。
モニターを消し、残った仕事を箱と棚に収めて電気を消した。
別の場所で残業していた部下に声を掛けて部屋にカードキーを差した。
マンションへは15分もすれば着くはずだった。
それまで、厚史の指は己を慰めてくれるモノを放ることはないだろう。
あんなに善がって、身体を揺らしているのだから。


待ち望んでいた男、道田秀規(みちだひでき)がやって来たのは、どれくらい経ってからなのだろう。
淫らな熱に侵された身体を持て余し、宥めてくれる唯一の相手を誘うような目で見てしまったのか。
ドアを開いた道田は無言で僕の尻穴を貫いてきた。
「ひゃぎぃいいいいいいぃぃいい~~っ。ひ、ひぎぃ、ひゃい、ひゃぎっ、ひっ、ひぃいいいぃぃ~~」
痛みに悲鳴を上げたけれど、身体は、心は、道田のそれを待ち望んでいたのだ。
嬉しくて嬉しくて、涙で見えない目で男の首へと手を伸ばした。
「ひんっ! ひゃい、いひゃぁいぃいいいい~~っ。あひっ、あひぃっ」
言葉にならない快感を必死で貪り続ける。
尻穴に大量に射精されても満足出来なくて、次をちょうだい、と腰を揺すって強請った。

翌朝、全てを思い出した時、媚薬に負けた屈辱よりも、何度も何度もはしたなく道田を誘った自分に羞恥してしまった。
憑き物が落ちたような気分かと言えば、まだ足りないのが本音で、一体、あとどれくらいすればこの身体は満足してくれるのだろう。
恐ろしかった、自分が。
でも、同時にホっとしていたのだ。
やっぱり、道田は来てくれたと。
じくじくと疼く身体を毛布で隠していると、コツコツと歩く音がして、バっと毛布が剥ぎ取られてしまった。
「何をしている。出掛けるぞ。……ああ、朝食は車の中で出してやろう」
眠っている間に綺麗にされたのか、体には汚れの痕跡はなかった。
新しいシーツを出した道田は、僕を全裸のまま包むと膝の裏に片手を差し入れて抱き上げた。
くちゅ、ぬちゅぬちゅっ。
「ひゃんんっ、やっ、ひゃっ、・・・ひぃんんっ」
ぬちゅっ、くちゃり、ぬちゅっ、ちゅぶっ。ぬぷっ。
器用に布の合わせ目から手を差し込み、歩きながら道田が僕の尻穴へと二本の指を差し込んで回し続ける。
「今日から我儘は許さないからな。俺が望む時に素直にその身体を差し出せ。疲れていようとな」
ペニスの先端から零れ出した淫液をペニスの砲身へと塗り込む道田の指が気持ち良かった。
恥ずかしいのに嬉しくて、何を言われたのか理解しないままにコクっと頷いてしまう。
玄関を向かうと、知らない誰かが立っていた。
足元に、少年が蹲っている。

背の高い男性は、道田と同じような年齢でスーツを着ていた。これから出社するのだろう。
「ひぐぅっ、ぐっ、うぐっ」
道田と親しそうに話している男性は穏やかな雰囲気を漂わせていたけれど、その足元の少年の姿を見る限り、見た目とは真逆の性格の持ち主だと感じた。
さきほどから唸っている少年の口元は幅広の革紐によって頭の後ろで結ばれており、口の中にも何かが挟まっているようだった。
苦しさと痛さが、同じことをされたことのある僕にも分かるから、すぐに視線を逸らした。
助けることも出来ないのに、見下ろしているなんて申し訳がないからだ。
それに、道田の指の動きは止まるどころか激しくなっていて、まるで自分が与えていることから意識を逸らしたことを怒っているように思えた。
「ひゃいっ、いっ、いひゃいっ、いひぃいいいぃぃいいい~~」
ズブっと勢いよく二本の指を尿道に突き立てられて泣き出した僕を、道田がじっと見ていた。



スーツ姿の男性に後を任せてエレベータを降りると、道田は僕を抱いたまま車へと歩いて行く。
(どんな車だろう)
先方を見た僕の目に、またしてもスーツ姿の見知らぬ男性が立っていた。
さっと、後部座席の扉を開き、直立不動のまま首だけで礼をする男性。
道田はそんな彼を無視して車内へと僕を下した。
「ひゃいっ!」
尿道から抜けない二本の指が微妙に中で折り曲げられ、その刺激に脳が痺れていく。
「いい子だ。今日はここだけを苛めてやろう」
怖い言葉もよく聞き取れなかった。聞こえたところで、僕に何が出来ただろうか。
また、このマンションの最上階の部屋に閉じ込められるだけだ。
もっとも、これから連れて行かれる屋敷でも同じように閉じ込められるのかも知れないけれど。

車内で尿道を弄られながら、道田の差し出すビスケットを食べた。
機嫌の良い男は、ペットボトルの水も口元に当ててくれて、ゆっくりと飲ませてくれる。
ぐちゅっ、ちゅぶっ。ぬちゅ、にちゃ~。
淫液の音と臭いに頬が熱くなるけれど、指の動きを止めて欲しいとは思わなかった。
他人を使うことに慣れている道田を見たことで、逃げても捕まってしまうことを確信したからだ。
ましてや、あの可哀想な少年を捕まえたであろう青年を見てしまっては、恐怖に震えるしかない。
道田の知人までもが悪魔なのだ。僕に何が出来るだろう。
「ちゃんと噛んで食べろ。・・・あとは、これだな」
喘いでいるばかりの僕の唇を道田の指がツイっと摘まんで叱られてしまった。
慌てて噛み砕いていると、ペットボトルに残った水で媚薬の効果を消す薬を飲むように促された。
はい、と受け取った小さなカプセルの薬。確かにこれで媚薬は流れてくれるのだろう。
でも僕は知っている。分かってしまったのだ。
道田という新たな媚薬が、恐怖と興奮を伴って僕の身体に注ぎ込まれ身体中に染み込んでしまったことを。

屋敷に連行されていると思ったけれど、到着したのは大きなビルだった。
車内から見上げても屋上が見えないほどの高層ビルで、ここの社長が道田だと言うからビックリする。
社長なんて中年以上がなるものだと勝手に考えていた僕に、
「グループ会社の一つだ。他にも兼務している会社がある」
一族で他業種の会社を運営していると僕に教えてくれた後、道田が助手席に居る人に声を掛けた。
「用意していた服を出せ」
上から口調の男だとずっと思っていたけれど、これは生来のモノだったらしい。
部下なのだろう助手席の人が紙の袋を渡してくれた。
中に入っていたのは、僕の服だった。
ピンクのシャツにブルーのジーンズ。靴下はなかったから裸足でスニーカーを履いた。

胸元のボタンを真ん中まで外されて恥ずかしかったのに、ジーンズのチャックまで全開にされてしまう。
シャツで隠されているとはいえ、膨らみで分かってしまうかも知れない。
スーツのポケットから万年筆を取り出した道田が、僕の尿道へとそれを差し込んで来た。
「いぎぃいいいいいいぃぃいいいい~~っ。ひっ、ひぎぃ~~っ」
「俺の指が入っていない間はそれで遊んでいろ」
穏やかな口調でそう告げると唇を奪われた。
運転席にも助手席にも人が居るのに、この男には羞恥心がないようだった。
恥ずかしくて震えていた僕も、やがて下半身からくる疼きと、道田が摘んで来た乳首の先端からの痛みに何も考えられなくなっていった。

秘書だという助手席の人がガードしてくれて、道田と二人でエレベータに乗り込む。
扉が閉まるとすぐに万年筆を抜き取られ、それに気付かない速さで二本の太い指が入ってきた。
さっきまでとは太さの違うモノに粘膜を擦られ、拡げられて喘いだ。
「厚史、下を向いてろ。うちの警備員に男娼だと思われるぞ」
楽しそうな言葉にギョっとして、慌てて俯いた。
よく考えれば、こんな大きな会社なら警備室があって常時モニターを見ているに違いない。
それでも、指の動きに乱れるように身体が揺れるのを止められなくて、とうとう僕は涙を溢してしまった。

エレベータを降りる間際に指が引き抜かれ、もう一度、あの万年筆を入れられた。
少しでも細くなったことを喜ばなければならないのに、僕は物足らない自分に気付いて愕然とした。
そう、足りなかったのだ。さっきのアレがいい、あの太さがいいと、そう身体が訴えている。
社長室に入った道田は椅子に座ると、さっさと仕事を始めてしまった。
僕は何をすればいいのか分からず、股間の疼きを押さえるようにモジモジしながら突っ立っていた。
「厚史、俺の万年筆を返しなさい」
勝手に差し込んだくせに、返却を迫る道田に泣きそうになった。
自分で抜き出すなんて痛くて怖いし、そう、それにきっと、すごく気持ちがいいと思うからだ。
でも、そんな姿を、表情を彼は見たいのだろう。それが分かっているから僕は、
「は、はい」
返事をして、ゆっくりと自分の股間へと手を掛けていった。


抜き出した万年筆を使って、そ知らぬ顔で仕事を続ける道田。
後からやって来た秘書が、その横で指示を受けていた。
二人とも僕の方は一度も見なかった。まるでここには他に誰も居ないと言うかのように。
自分の膨張したペニスの砲身を、淫液で濡れた左手で擦っていた。
右手の人指し指と中指を交互に突っ込んで尿道の中をグリグリ弄り続ける。
万年筆のように硬くもなくて重みもない、道田の二本の指の太さには全然足りない、それが辛くて堪らなかった。
「ひぎっ、ひっ、ひいぃっ」
それでも引っ切り無しに零れる嬌声は、道田の命令で小さく抑えられている。
仕事の邪魔だと言われれば、頷いて必死に抑えるしかなかった。

数分の休憩と、昼食時だけ、道田が直接そこを弄ってくれた。
口付けも与えられたから少しだけホっとする。
折り詰め弁当をペニスを弄られながら食べ終えると、
「しばらく寝ていろ」
そう言われて、買いに行かせたという大きなビー玉を強引に五つも入れられてしまった。
この状態では寝られないと訴えたけれど、聞いてくれるはずもない。
「俺の命令に逆らうなと言わなかったか」
怖い口調で睨まれ、更に一つビー玉を増やされてしまった。

いつしかウトウトしてしまったのだろう。目覚めると夕方だった。
「起きたか。よしよし、いい子だ。どら、ビー玉は、・・・ちゃんと入っているな」
僕はソファに横たえられており、すぐ隣で書類を見ていた道田が僕の尿道を確認する。
「少し赤いな。だが、もう少し拡張したいからな。我慢しろ」
舌を絡ませ合う口付けの後、これから会食だと言われて立ち上がった。
またエレベータに乗り、下へと降りて行く。
ビー玉が入っているから何もされなかったけれど、身動く度に痛みと鈍い疼きに泣きそうになった。
車に先に乗り込むと、後から入って来た道田が後頭部に掌を当てた。
何を要求されているのか分かったから、無言でそれを実行した。
くちゅ、ぬちゅり。ちゅぶ、ちゅぶっ。ぬぶっ、くちゅり。
卑猥な音を立てる車中に籠った淫靡な空気に煽られ、僕は道田の出したザーメンを喜んで飲み干していた。


拒否すると叱られ、気持ちいいと喘ぐと優しい言葉が与えられる。
今日一日で道田の手管に翻弄された僕は、怖いのや痛いのは嫌だと自らをペットだと考えるようになっていた。
道田の言うことさえ聞いていれば、逆らわなければ怖いことはされないと。
勿論、痛いことや酷いことをされるのは分かっていた。
どんなに優しい仕草で撫でられようとも、相手はあの道田なのだ。そんなに甘いはずがない。
嗜虐の性を垣間見せることも多く、ビクビクしながら機嫌が戻るのを待つしかなかった。
今の自分の生殺与奪権を持っているのは間違いなく道田で、それに僕は振り回されるだけなのだ。

会食が行われるというホテルに着いた時には、僕は道田のことを飼い主と認めていた。
「あはぁ~~っ、ひっ、ひんっ。・・・ご、ご主人さ、まぁ、早く帰って来てぇええ~~」
主人が僕を置いて出掛けるのを車中の中で泣いて引き止めてしまうほどに。
濡れ濡れの砲身を掌で擦り上げ、尿道の中のビー玉を全部抜き取っては戻していく。
そんな許された尿道弄りを休むことなく続けながら。
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